138.再び実家へ
内容薄いですね。たまにはこういうのが入らないといい感じに繋がらないんです。
ギルドに新しい職業の事を報告するために、受付でアルバルト支部長を呼んでもらった。普通の受付にいる人に言ったところで、どうせ支部長が来るのだから、最初から支部長に言えば良いのだ。
少しすると、慌てた様子で受付の裏からやってきた。そして、俺を見るなり大声を上げた。
「また君か!今度は何をやったんだ!?」
「いや、今回俺は何もしてないんですけど・・・」
「今回は、ここにいるリーアです。」
そう言ってテイルがリーアを前に押し出す。
「ちょ、ちょっとテイル!」
「えーっと、確か魔王軍の襲撃の時にいましたよね?」
「え?あ、居ました。」
「それで、用件は?」
「ボクの職業についてなんですけど・・・」
リーアが魔銅板を支部長に見せる。支部長は魔銅板を見、もう一度見、一回離れてから再度見て、驚きと呆れの顔になった。
「はぁ、何なんだねこれは。」
「だから、そういう事ですよ。教会の方でも対応する、と言っていましたけど・・・」
「分かった。もうタチバナ君が関係することにいちいち納得するのは辞めた。新しい職業として、資料に追加しておこう。」
「よろしくお願いします。」
さて、リーアがパーティーに加わり、職業の問題も解決・・・はしていないが報告は終わった。残った問題は、リーアの住む場所だ。
「どうするリーア?今私達が住んでいるところで良ければ一緒に住んでもらっても良いんだけど、ちょっと人数が多いかしら?」
「いや、でも迷惑じゃ・・・」
「俺達は別に良いぞ。仲間だしな。そもそも俺だって、自分の部屋を借りれるようになるまでテイルのところに居させてもらうつもりだったけど、今じゃ家賃払ってるし。」
「そういえばそうね。」
「・・・じゃあ、住まわせてもらって良いかな?お金が貯まってきたら直ぐに家賃は払うから!」
こうして三人での生活が始まったのだった。ちなみに今は俺がソファ、テイルがベッドで寝ているが、一枚マットレスがあった。物置になっていた部屋を空け、リーアにはそこで寝てもらう。部屋にあった物は全部無限収納の中に入れた。
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次の日の朝、テイルが作ってくれた朝食を食べながら、リーアが切り出した。
「二人は集落に来てくれた時にボクの家族には会ってるけど、ボクは二人の家族に会ったこと無いから、挨拶しておきたいな。パーティー組んでいるわけだし。」
「そうね。・・・そういえばハルカの家族って・・・」
テイルは俺が転生者であることを打ち明けている。それを思い出したのか、台詞を言い切ることはなかった。魂を繋げたんだし、リーアにも言っておくか。
「リーア、真剣に聞いてくれ。」
「な、何?ハルカ。」
「信じられないかもしれないけど、俺、実は転生者なんだ。」
「―――転生者、ってなに?」
おっとそこが通じなかったか。うん。よし、大丈夫だ。一つずつ丁寧に教えていこう。
「えっとな、転生者っていうのは、一回死んで、他の世界で生まれ変わった人のことを言うんだ。」
「生まれ変わる?そんな事があるの?」
「俺も信じてなかったけどな。でも実際、こうやって違う世界に俺は来た。」
「ちょっと信じられないけど・・・ハルカが嘘をついてないって事は分かるよ。」
「そうか。ありがとう。」
「てことで、私の家族の所に行きましょうか!グルシュ王国だけど、亜人に特別な考え方はしていないわ。」
「うん!それじゃ早速、今日行こう!」
朝ご飯を食べ終え、テイルの実家を目指す。その前に、リーアの頭と顔を隠す為の布を買う。グルシュ王国の中に入る時には顔に巻くので、忍者のような見た目になるだろう。
グルシュ王国に行くには、フェルミからシィ砂漠を通っても良いが、最短ルートを取るとしたら、スレム大森林の北のピソイム平野から直接シィ砂漠に入ったほうが良い。
地球から持ってきたものとは別に大量に買った水筒に水を入れる。全部で十数Lはあるだろう。これでテイルが飲みまくっても大丈夫だ。
テイルはスキルでの高速移動を完璧なものにしたため、俺とリーアは全力で走る事ができる。街の外に出て、まずはピソイム平野からシィ砂漠を目指す。
「そういえば、急に押し掛けちゃって良いのかな?ボクなんて初対面だし・・・」
「別に良いでしょ。私にとっては実家への帰省と同じだし。それに二人が付いてきたって別に何も問題ないわよ。」
「なら良いんだけど・・・」
「リーア、私にも妹がいるのよ。あっちに着いたら、ちょっと相手してくれないかしら?」
「も、勿論良いよ!」
リーアもミアやミアの友達と仲良くしているようだったし、年下との接し方は上手いのだろう。まぁテイルの妹、ルイルは若干魔法戦闘が好き過ぎるところがあるが。そういえばヘイルさんもいたな。俺もリーアも、姉ポジションの人とは関わりが無いに等しいので、また会えるのがなんか嬉しい。
シィ砂漠の途中で携帯食を食べてお昼ごはんを済ました。昼間の砂漠は暑いのでさっさと突破したいな。
ピソイム平野、シィ砂漠と、特に魔物と遭遇することも無く通ることができた。正確には魔物が近くにいてもスルーして物凄いスピードでその場を離れていただけなのだが。
グルシュ王国の外壁が見えてきたところでリーアは布を顔に巻いた。魔銅板があるといっても、俺達と同じように門から入るのは危険過ぎる。本当は違法なのだろうが、壁を超えて入ってもらうことにした。
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