137.リーア
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リーア
職業:神の告令
獲得スキル:
月光の祝福
月光を浴びることが条件。任意のタイミングで身体能力を大幅に上げる。
月夜の再生
月光を浴びることが条件。自身及び他者の回復が可能。
月夜の破壊
月光を浴びることが条件。触れている非生物を破壊する。
レベル表示不可
Fランク
ステータス
AP:1500
DP:600
HP:1400
MP:0
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ここに、俺に続く世界のバグが誕生したのだった。
いろいろ突っ込み所はあるものの、順番に見ていこう。まず、職業。いや、そもそもここから既におかしいのだが・・・
「こんな【職業】、見たことがありませぬな。」
「上位職は全て覚えているから、特別職かしら?聖職?」
「いや、こんな職業は存在しないはず・・・これを見なされ。」
そう言っておじいさんが懐から取り出したのは、小さな本だ。
「これは、職業が書かれている、聖書の類の物です。」
渡されたその本を慎重にめくりながら三人で見ていく。―――最後まで見終えたが、リーアが手に入れた神の告令なるものは載っていなかった。つまり、今までに存在しない新しい職業という事だ。まさかこれが高まった神の力なのだろうか。というか、こんな事があり得るのだろうか。
次にスキル。月光の祝福がスキル扱いになっているのか。狼の獣人の捉え方だと月を見る、だったが、魔銅板には月光を浴びると表示されているな。まぁこれは良いとして、続いて表示されているスキルが問題だ。
『月夜の再生』と『月夜の破壊』が強すぎる。例えば鎧を着ていても破壊され、次の瞬間には月光の祝福を受けたリーアが、物凄い勢いで攻撃を仕掛けてくるわけだ。しかも回復もできる。月光を浴びている限りはチートレベルの能力だ。
そしてレベル。ステータスを見てもわかるが、恐らくレベルという概念が通用しないのだろう。いわゆるエラーだ。まぁこれはそういうものとして受け入れるしかない。
「あれ?なんかボク、やっちゃいました?」
「やったわね。やっちゃったわね。でも、大丈夫よ。ハルカもそうだったから!」
「そうだな。手に入れた力はリーアの物だ。好きに使えばいい。」
「とりあえず、こちらでも対応はしますが、冒険者の方ならギルドに報告した方が良いでしょう。」
確かにそれが良いだろう。そういえばふと思ったが、ギルドっていうのは役場みたいな働きもしているな。それも、世界全体にネットワークを持つ、中立組織だ。
ギルドに戻ってきた俺達は、食事処で夕飯を食べながら今後について話すことにした。勿論リーアの分は奢っている。
美味しく夕飯を食べているところに、一投入れてきたのはテイルだ。
「ねぇリーア、提案があるんだけど。」
いつにもなく真剣そうなテイルの雰囲気に、リーアも飲まれている。まぁこの後の展開は予想がついているのだが。そういえば前に俺の考えている事をテイルが当ててきて驚いた事もあったな。これも魂の繫がりの影響なのだろうか。
「私達のパーティーに入らない?」
「え!?ボクが?二人のパーティーに!?」
「えぇ。ハルカも良いわよね?」
「あぁ。リーアなら大歓迎だ。どうするかはリーアが決める事だけどな。」
「ボ、ボクで良ければ、パーティーメンバーに入れてください!」
「決まりだな!」
「決まりね!」
パーティーメンバーの途中加入は珍しい事じゃない。そもそも二人だけのパーティーは全滅の可能性が高いのであまり好まれないのだ。魔銅板を重ね合わせ、波長を同調させる。
そういえば、リーアにはレベルの概念が無かったけど、経験値の割振りとかはどうなるんだろうか。あと、リーアもスキルを覚えられるだろうか?
今俺たちが経験値で覚えているのは魔力探知と暗視だ。狼の獣人は暗闇でも見えるので暗視は必要ないと思うが、魔力探知は必須だろう。
リリー達から貰った視覚共有の巻物は丁度3本だったな。あれも使えるだろうか。
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