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135.訪問者

誤字報告ありがとうございました。

今後もよろしくお願いします!

がちゃ


 扉を開けると、そこには・・・誰もいなかった。


「あれ?」


 廊下に出て横の方を見るが、誰もいない。瞬間移動できるピンポンダッシュか?いや、瞬間移動したらダッシュじゃないだろ。


―――それとも、俺の聞き間違いかな?


 そう思って部屋の中に戻ろうとすると、何かが落ちてきた。いや、何かが上から降ってきて、俺にへばりついた。急な衝撃でバランスを崩し、そのまま倒れてしまった。何だ!?暗殺者か!?

 首に手を回された状態で膝もしっかりと固められており、動けない。背中に無限収納(スナフ)の出口を作って剣で突き刺すか?

 しかし、その直後、俺は早まったことをしないで良かったと心の底から思うのだった。


「やっほーハルカ。ボクだよボク。」


 聞き覚えのある声、俺の部屋を知っている、そしてなによりその一人称が俺を襲った人物を特定させた。


「リーア?」


「正解ー。驚いた?」


「お前を殺しかけてた。」


「何それ!?危なっ!?」


 リーアに体を離してもらい、ようやく立ち上がって向き合う。

 最初はインターホンを鳴らしてから天井にへばり付いていたのだろう。まったく、首の骨が折れるかと思った。


「あー、なんだ。とりあえず、中、入るか?」


「うん!お邪魔しまーす。」


 元々入る気満々だったような動きで、サッと部屋の中に入っていった。

 何故リーアがここにいるのか、ゆっくり話すとしよう。


 椅子に座らせ、飲み物を渡す。俺は机を挟んで反対側の椅子に座る。机に肘を乗せ、手を顔の前で組み、顔の下半分を手で隠すようにリーアをじっと見る。そう、まるで組織の長が幹部と話すように。


「で、何でナシヤットに居るんだ?集落に戻ったんじゃなかったか?」


「また来たんだよ。お父さんとの話が終わったからね。」


「話?」


「冒険者になりたいっていう話。」


 え?俺の聞き間違いじゃなければ、リーアは冒険者になりたいって事か?それで、お父さんに許しを貰うための話、と。確かにそれなら、俺のところを訪ねてくるのは分かるが・・・


「ほら、街としてはグルシュ王国の方が近いけど、あそこは亜人迫害の風潮があるからさ。こっちに来るしかないかなーって。」


「そうだな。」


「でも、ずっと森で暮らしてたし、人間の街についての知識なんて、この間来たときに見て回った雰囲気と、お金の有用性と使い方ぐらいだからさ。頼れる人の所に来たってわけ。」


 リーアのこの判断は正しい。だが、まさかとは思うが、一度集落に帰る前に俺の住んでいる場所の情報を手に入れたのって、これを見越しての事だったのだろうか。

 だとするとリーアって、意外と考えて行動するタイプなのかもしれない。もっと、頭より先に体が動くタイプだと思っていた。そういえば集落で軽く闘ったときも、アドバイスを直ぐに良い動きに変えてきたから、頭も使えて体も動くタイプなのだろうか。


 ここに来たって事は、冒険者になることの了解は貰っているという事だ。ミアは集落に残されているのだろう。あのミアの事だからきっと今頃、一生懸命強くなろうとしているに違いない。


「それでね、ハルカ。色々教えてくれないかな?ハルカが冒険者になった時は、どういう事をしたの?」


「あー、分かった。じゃあまず、冒険者としてメンバー登録をしに行こう。」


「うん!ありがとうハルカ!」



――――――――――――――――――



 一階のロビーに降り、受付に向かう。


「あっ、あのっ!」


「はい。」


「あの、冒険者の、メンバー登録をしたいんですけど・・・」


 リーアにしては珍しく、緊張しているようだ。ちなみにリーアは17歳とはいえ、身長が低い。受付の机の上には顔しか出ていないのが、なんとも可愛らしい。


「はい。新規登録ですね。―――では、こちらの宝玉に右手を、こちらの魔銅板に左手をかざしながら、ご自身の名前を心の中で3度、唱えてください。」


 受付の人が取り出したのは、俺が登録したときと同じ、豪華な装飾が付いた台に乗せられた水晶みたいな球と、魔法陣の穴が切り取られた魔銅板だ。まだ何も表示されていない。


 リーアが両手をかざして少しすると、球が内側から光り、同時に板にも緑や紫、青といった色の線が描かれていく。そのまま少しすると、光が納まった。


「はい。もう、いいですよ。」


「も、もう良いんですか?」


「はい!これであなたも、冒険者ですよ!」


 リーアの緊張しきっていた顔が笑顔に変わった。


「これで、その魔銅板はリーアさんに呼応し、変化します。レベルやステータス、獲得したスキルが表示される様になります。ギルドでのお仕事の際は、そちらをご提示願います。」


 俺が受けたものと全く同じ説明をリーアも受けた。


「あ、リーアさん。まだ職業が無いんですか?」


 あぁ!忘れてた!森に居たってことは成人の儀を受けていないんだ!そして勿論、職業も無い。

 でもリーアは17歳だし、成人の儀を受けられるだろう。教会に向かうとするか。

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