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134.三日月の儀式

手に入れた巻物の本数を5本に変更しました。

ここで区切りたいんです。でも短いんです。でも区切りたいんです、すいません。

 三日月の儀式の本番は、三日月が南中、つまり最も高い位置に昇る28時から、沈む40時まで行われる。三日月の日は沈んでいる時間帯も、昇ってから南中するまでの時間も、一日中神様の力は強まっているのだが、さすがに48時間も儀式を続けるのは難しいので、歴史の中でこのような形に変化したと言われている。


 私は18時に家を出て教会に向かった。聖職者の人たちはまだ暗いうちから準備を進めているのだろうけど、私たち信者の場合、儀式の準備は個人の判断に委ねられるわ。といっても、それなりの時間からは教会に行って準備を手伝い、神様に自分たちの姿を見てもらうというのが、暗黙の了解のようなものになっているの。

 教会に着くと、聖職者じゃない人たちも既に10人ぐらい居たわ。儀式のための特別な道具は聖職者、私たちは掃除や飾りつけを担当。飾りつけっていうのは、祝い事だからっていうのと、魔除けっていう言い伝えもあるわ。



 27時過ぎ、儀式が始まる数十分前に教会に集まっていたのは190人ほど。ナシヤットがそんなに大きな街じゃないからか、グルシュ王国にいた頃と比べると少ないわね。


 儀式はまず、それぞれの教会の最高責任者、ここでは私やハルカが成人の儀を受けた時に対応してくれたあのおじいさんが神様に日頃の感謝を申し上げる。そして、型に基づいたお供え物と踊りを踊るの。


 この後は私達一般信徒もやることがあるわ。と言っても、席に座って手を合わせて、感謝と今後の安泰をお祈りするだけだけどね。ただこれが、39時まで続く辛さは、毎月やってても慣れないわね。10時間祈り続けるのは、重要なこととはいえ、キツいものよ。 


 最後は教会で採れる湧き水が配られて、全員で一気に飲むの。これのために、教会が建てられる条件として、敷地内に汲み上げられる地下水がある事が重要なの。



――――――――――――――――――



 ダンジョンからギルドに帰ってきた俺達は、まず受付にイドットの報告と猛毒の罠のクレームをしに向かった。


 イドットについては自然の事なのでなんとも言えないが、大量発生の原因は調べるそうだ。そして猛毒の罠については、大変な事になりそうだった。


「そのようなものは、無いと思うのですが・・・」


「え?」


「バルタ山脈のふもとの、Eランクダンジョンですよね?そのような罠はありませんよ。」


「で、でも俺達は死にかけましたよ?ほら、このボタンだって。」


 そういってあのまま持って帰ってきていたボタンを渡す。すると受付の人は半信半疑、いや8割疑いの目でボタンを見た。


「これが?巻物と一緒に?」


「はい。その青い方を押したら、毒は止まりました。」


「これは、ギルドが用意したものではありません。一応、検査にかけます。預かっても?」


「構いません。良いですよね?」


「ええ。」


 答えてからではあるが、一応ソフィアさんに確認を取る。それにしても、ギルドの物ではないというのはどういう事だろうか。


 面倒な話はそこまでにして、俺達は食事処で昼食を摂ることにした。


「ハルカ君、今日は本当にありがとう。ハルカ君がいなかったら、私達は死んでたわ。」


「本当にそうだよね。ハルカを誘ったソフィアも、良い判断だったよ。」


「訳も分からない毒で死ぬなんて、嫌だからね。」


「その前にイドットに殺られてるわよ。ハルカ、ありがとう。」


「いや、役に立てて良かったです。」


「あ、ハルカ君、これあげるわ。」


 そう言ってソフィアさんが渡してきたのは、さっき手に入れた巻物3本だ。


「私達は一人ずつあれば十分だから、残りはあげるわ。」


「いやでも俺のパーティーも2人なんですけど・・・」


「要らなかったら、売ればいいわ。手伝ってもらったお礼よ。」


「そう、ですか。それじゃ、ありがたく。」


 無限収納(スナフ)に巻物を仕舞い、話を続ける。

 だらだらと話しながら昼食を食べ終え、その後も色々と話し、別れた時には既に33時になっていた。部屋に戻り、何をしようかと考えていると、部屋のインターホンが鳴った。郵便などの可能性もあるが、たった今別れたばかりとはいえ、リリーやソフィアさんは俺の住んでいる場所を知っているので、何か話し忘れたことがあったのだろうか。

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