132.発見
最近忙しくてなかなか書いている時間が取れません・・・
「おいおい・・・ちょっと多すぎないか?」
「ちょっとこれはやり過ぎだね・・・」
「ま、まぁ、ダンジョンに居る魔物は野生だから、調整はできないんだと思うわ。」
「はぁ、やるしかないか。俺も積極的に戦っていいですか?」
「うーん・・・私達が押され始めたら、お願いできる?」
「分かりました。」
―――キキィッ!
イドット達が数匹、攻撃のために降下してきた。
「はぁっ!やっ!りゃっ!」
リリーに向かっていくイドットは刀の餌食となり落ちていく。
「閃雷!」
ソフィアさんは雷属性の低位魔法でイドットを撃ち落としている。と言っても、そもそも魔法使いは後衛であり、MPが高いとはいえこんなに魔法を放ち続けるものではない。
しかし、既に40、いや50匹は倒しているはずなのに一向に減る気配をみせない。
「リ、リリー。私そろそろ魔力が・・・閃雷!」
「えぇ・・・さすがにこの量を一人は・・・。ソフィア!後ろ!」
「っ!閃こ・・」
ざくっ
「はい、一丁上がり。俺の事忘れてない?」
MP消費による疲れで魔力探知で気付けなかったのか、ソフィアさんが背後をとられていた。さすがにこれには剣を抜いて加勢することになった。
「ありがとうハルカ君・・・!」
「俺もやっちゃって良いですかね?」
「ごめんね、お願い。」
「じゃあソフィアさん、ちょっと失礼します。」
壁を蹴って高くまで跳び上がり、ソフィアさんを越えて前に行く。マナーが悪いが、狭い通路ではこうするしか無い。リリーには影に潜って下を通ってもらう。これで俺の前にはイドットしかいないので、思いっきり魔法が使える。
―――キキッ!キィッ!
イドットが一気に降下してくる。何ともまぁ、ご苦労なことだ。今から倒されるというのに。
「射氷!」
俺の掌から上空にいるイドット達に向けて放たれた吹雪は、大群を凍らせていく。凍ったイドットは飛び続けられるはずもなく、地面に落ち、その衝撃で粉々になっていく。
「まだ残ってるのかよ!?射氷!」
群れの層が厚かったせいか、奥の方まで吹雪が届かなかったらしく、二回目の吹雪を放つことになった。
イドットは何だかんだ1m近くあるので、降ってくる氷の塊は結構危険だ。次々に積もっていく氷のせいで、道が塞がってしまった。
「うわぁ、面倒くさっ。塊炎!」
不死鳥の形をした炎が道を開いてくれる。よし、これで一件落着だ。魔銅板を見てみると、+282匹。とんでもない数がいたんだな。ギルドに言っておかないと、このダンジョンのイドットがこれだけとは限らないし、Eランク冒険者だけでこれに出会ったら、死んでもおかしくはないだろう。
「よし、じゃあ先に進むか。」
「あの、ハルカ?ちょっと圧倒されすぎて動けないんだけど。」
「・・・ねぇ、ハルカ君。低位魔法って、知ってる?」
はい。ごもっともです。そんな事言われても、俺だって低位魔法を使いたい時もあるんです。助けてください。
それから数分歩くと、分かれ道になった。
「あぁ・・・やっぱり地図を描かないとか・・・」
ソフィアさんが面倒くさそうな声を上げる。
「あの、帰ってから描くっていうのはどうですか?くつろぎながら。」
「どういうこと?ここで描かないと忘れちゃうよ?」
「リリー、【旅人】をナメるなよ?憶録道標っていうスキルがあって、行った場所は全部暗記できるんだよ。だから、帰ってからでも地図は描ける!」
「「おぉ~」」
パチパチ
二人が拍手をしてくる。大袈裟に言ったが、なんだか恥ずかしくなってきた。急いで話題を変えなければ。
「で、どっちに進む?」
「どっちでも良いわよ。ソフィアは?」
「じゃあ右に行きましょう。」
「了解。」
右の通路を選び、2分ほど歩いていると、見えないほど高くあった天井がぐんぐんと下がってきており、手を上げれば当たる程にまでになった。
すると、少し先で何かが光っている事に気が付いた。灯光の灯りとは別の何かが道を照らしているのだ。そして、その正体はすぐに分かった。
「これは・・・?」
洞窟の道がすぼんで行き止まりになっている代わりに、そこには赤に黄色の線が入り、鍵穴が付いた、いかにもな宝箱があった。
「やった!何かアイテムよ!それもレア度の高い!」
「開けていいか?」
「えぇ。」
ゆっくりと蓋に触れると、特に何もしていないのに、かちっ、と鍵が開く音がした。そのまま蓋を開けると、中には・・・
「巻物が5本と、ボタン?」
おそらくこの巻物こそ、今回のターゲットだろう。まさかこんな簡単に見つかるとは。しかし、このボタンは何だろうか。箱に赤と青の2つのボタンが付いている。
「これ、何だろう?」
後ろにいるリリーにボタンを渡す。
「うーん?・・・あ!後ろに説明が書いてあるよ。えっと、罠発動装置。どちらかは発動を阻止し、どちらかは威力を高める。」
「何それ!?」
悲鳴に近い声を上げたのは、今しがた巻物が手に入って喜びに満ち溢れた顔をしていたソフィアさんだ。どこの罠の事を指しているのかは分からないが、押すべきか急いでこのダンジョンを離れるべきか。考えている時間もない。
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