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118.第二魔法

エナジードリンクは一日一本までにしましょう。

 レベルが上がり、俺が新しく使えるようになったスキルの内容、第二魔法とは何なのか、無限収納(スナフ)に入れていた魔法辞典を隅から隅まで探してみたが、結局その意味は分からなかった。


「何か、魔法が変わってるんじゃない?」


「いや、俺の魔法は既に変わるんだけどな・・・。一応やってみるか。塊炎(ファイアボール)!」


 普通なら俺の手から放たれた炎の球が飛んでいきターゲットに当たるところだが、俺の場合は殲滅魔法もどきにまで成長する。掌からは不死鳥の形をした炎が飛んでいき、目標周囲を炎の海に沈めた。

 しかし、これでは前と変わりない。第二魔法とは違うだろう。


 その後他の魔法も試してみたりしたが、結論は出なかった。というより、結論が出るより先にお腹が空いたのでお昼ご飯を食べることにしたのだ。

 訓練所に思ったより長くいたようで、いつの間にか28時だった。何かを考えていると時間を忘れてしまうものだ。



――――――――――――――――――



「あぁーっ!」


 お昼ご飯をギルドの食事処で食べ終わり、そのまま椅子に座ってゆっくりしていた時、急にテイルが叫んだ。


「何だよ急に・・・」


「忘れてたわ!ニックと繋がってる通話の腕輪があるのよ!」


「は?いつの間に?」


「いや、魔王軍との戦いの時に、私が補助班のリーダーとして動くために、ニックとも通話ができた方が良いだろうって支部長から貰ってたのよ。」


 なるほどな。確かに、俺が前線からいなくなった時の連絡手段が無いとマズいもんな。たまには役に立つな、あの支部長。


「それで、ニックがどうしたんだ?」


「第二魔法について、ニックなら何か分かるかなーって。ほら、なんとなくニックって何でも知ってそうじゃない?」


「確かにその感覚は分からんでもない。」


「それじゃ、腕輪を取ってくるわね。」


 そう言ってテイルは、部屋に腕輪を取りに行った。今俺が座っている食事処のテーブルは、食事の、というより誰でも使用可能な長椅子とテーブル、といった場所なのだ。特に混んでいるわけでもないので、ここに居座っても何も問題ない。


 しばらくしてテイルが戻ってきた。その手には、見慣れた腕輪を持っている。


「それじゃ、掛けるわね。」


―――ピーっ、ピーっ、ピーっ、ピッ


『はい、ニコラスです。』


「あ、ニック?今大丈夫?」


『えーっと・・・どちら様でしょうか?』


「テイルよ。ハルカと、テイル。」


『何だ、君たちか。いや、腕輪が大量にあってね。どれが誰かも記憶しきれなくてね。それで、何か用かい?』


 大量の腕輪か。確かに、この通話の腕輪は対になっている物としか連絡が取れないのだ。そう考えると、だいぶ不便だな。電話のように一つに纏める事はできないだろうか。

 それより今はニックとの通話だ。


「ニック、第二魔法って知ってるか?」


『・・・第二魔法。どこでそれを?』


 何だその含みまくった物言いは。でも、この感じは知っているって事だろうか。


「俺のスキル内容表示欄に出てきた。第二魔法が使えるようになる、ってな。」


『何だそのスキルは?聞いたことないぞ?』


「いや、それは俺も一緒だ。それより、第二魔法とやらについて知ってる事を教えてくれないか?」


『―――良いだろう。そもそも一般的に使われている魔法は全て、第一魔法と言われるものだ。まぁ生きていてこんな知識を得る人は、世界でも1%程だとは思うけどな。』


 おい待て、急にスケールがとんでもない事になったぞ。やっぱり、第二魔法と言うからには第一魔法があるんだな。


『魔法は属性という分け方で、おおまかに分けられる。火、水、木、氷、雷、地、風、そして力。だいたいどの魔法がどの属性かは想像が付くだろう?ちなみに力は重力系や強化系、拘束系だ。』


「ニック、もしかして難しい話になる?もしそうだったら、私はパス。ハルカ、後で簡単に教えて。」


 そんな事を言ってテイルは腕輪の前から身体を離し、椅子に座り込んだ。


「悪いニック。続けてくれ。」


『あぁ。そして、第二魔法。これらは一部の亜人種や特定の職業を持った人間しか使えない。属性としては、光、闇、時。その3種だ。』


「ニックは、第二魔法が使えるのか?」


『僕の場合は【勇者】だから光属性の魔法は使える。あとは時属性もな。ただ、闇属性は使えない。ハルカが使えるようになったというのは、どこまでなんだろうな。』


 そう言ったまま、考え込み始めたみたいだ。腕輪の向こうから唸り声が聞こえる。今そんなに深く考えてもらわなくても良いんだけどな・・・


「あー、ニック?とりあえずそういう魔法はどこに載ってるんだ?魔法辞典には無いんだが・・・」


『ん?何か、感覚でやればいいんじゃないか?僕もそうやっている。』


 なんだそれ。適当すぎるだろ。―――まぁ良いか。とりあえず訓練所に引き篭もって研究するしかなさそうだな。


「分かった。色々ありがとうニック。」


『いや、また何かあったら遠慮なく連絡してくれ。僕としても、それなりに親しい友達からの連絡は嬉しいからね。それじゃ、また。』


 うん、ニックに聞いて正解だったな。光属性、闇属性、時属性、か。魔法は結構イメージが重要だったりするから、ニックの言い方もあながち間違っていないのかもしれない。


「テイル、ちょっと訓練所に行ってくる。一人で集中したいから、そうだな・・・買い物にでも行ってきたらどうだ?」


「そう?分かったわ。じゃあ、買い物行ってくるわね。第二魔法、頑張ってね。」


「あぁ。」


 そこからは別れて、俺は本日二度目の訓練所に向かった。

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