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116.身体強化と欠点

急に戻ってきたにも関わらず、昨日は大勢の方に読んで頂いたみたいで、ありがとうございました!

書く方にも気合が入るってもんです!

今後もよろしくお願いします。

「リーアが、どうかしたんですか?」


「私は、普段の毛色と、祝福を受けたときの毛色が変わりません。」


 そのとおり、イディアさんは今もあの時も、茶色の毛に紫の目をしている。が、リーアも普段は茶色だ。確かに、色が変わっているな。


「実は、あのように色が変わるのは、稀なのです。」


「稀?」


「はい。祝福を扱える中でも、数百人に一人か、それ未満しか居ないと言われています。」


「そうなんですか。―――それは、良い方に、ですか・・・?」


「えぇ。普通、例えば私ですと、能力がだいたい2、3倍ぐらいに伸びます。ですが、伸びるのは筋力のみなので、攻撃力や物理耐久力、スピードが上がるだけです。しかし、変色型は力やスピードだけでなく、視力、聴力、反射神経など、身体能力全てに影響するんです。さらにその伸び率も異常で、数十倍にまでなるんです。」


「リーアのあの身体能力が、数十倍ですか?」


―――なんだそれ、化物か。ただでさえとんでもない身体能力が、数十倍になれば、・・・想像もつかないな。あの時は意識を手放していたから、リーアの動きも覚えてない。


「しかしですね、【月光の祝福】には欠点もあるんです。」


「欠点?」


「はい。効果中は、体力、というよりHPですね。その値も増えます。しかし、効果が切れるとHPは元に戻り、受けたダメージはそのまま残ります。」


「つまり、元のHPより大きなダメージを受けると・・・」


 ダメージ量が残るなら、オーバーキルもいいところだ。


「ええ。効果解除と共に、一気にHPが0になります。ただそれも、普通の倍率なら安全です。しかし、リーアの場合、HP値も異常に高くなります。ですので、祝福状態で残りHPが0に近くなってしまえば、解除された瞬間に・・・」


「命の危険がある範囲にまで入る。」


「えぇ。」


 HPが0になったとしても、通常なら動けなくなるだけで済むし、時間がたてば治る。ただ、体の耐久力をあまりにも越したダメージは、生死に関わってくる。数十倍に跳ね上がったHPを0にされたら、間違いなく危険な域まで達してしまうだろう。


 二人ともリーアを可愛がっている者同士の会話としては、重い雰囲気になってしまった。少しの沈黙の後、イディアさんが急に立ち上がった。


「すいません、のぼせてきてしまいましたので、先に上がります。」


 いつから浸かっていたのかは分からないが、イディアさんは少なくとも俺が来る前から居た。顔も赤くなっているし、上がった方が良い頃合いだろう。俺はもう少しゆっくりしていくが。


「あ、そうだ、ハルカさん。ハルカさんって、今どこに住んでいるんですか?リーアが聞いといてくれ、と。」


「えっとですね―――」


 俺は今住んでいるテイルの部屋の番号を教えた。特に教えない理由もないからだ。まぁ俺だけ他の部屋を借りて場所が移る可能性もあるが、まぁ良いだろう。



――――――――――――――――――



 大浴場から戻ってきたら深夜だったので直ぐに眠りに落ちた。結構遅い時間まで眠っていたと思うが、次の日の朝は、部屋のインターホンの音で起きることになった。


『ハル゛ガー!出てー!っはふぅ。』


 テイルが寝ている寝室から、欠伸交じりの声が聞こえる。しょうがない、ここで意地を張っても来客を待たせるだけだ。ふらふらしながら玄関まで行き、ドアを開ける。


「ハルカ、おはよう!」


 そこには、俺よりも小柄で、ケモミミと尻尾がついていて、茶色の毛を持ってて、昨日の夜イディアさんとの会話の話題になったやつがいた。


「・・・おやすみ。」

 そういってドアを閉め、二度寝しようと奥に向かう。


『ちょっ!ちょっと!?ハルカ!』


 いやおかしいだろ。確かに部屋番号は教えたが、何で教えた次の朝に来るんだよ。


ドンドン!

『ハルカぁ!』

ドンドン!


「あーもう!近所迷惑だ!」

がちゃ


「はぁ、酷くない?」


「で、何か用か?」


「テイルは?いる?」


 テイルを起こしに行き、無理矢理連れて来る。別にリーアに連れてきてくれと言われたわけじゃないが、それに準ずることは言われた。それに、何か俺一人だけってのはやっぱり腹が立つ。


「どうしたのよリーア。もう少し寝かせてよ・・・」


「アハハ、ごめんね・・・。でも、ボク達も時間がないからさ。実は、急いで帰らないといけなくてさ。」


 帰る?集落にか?もう少しゆっくりすれば良いのに、一体どうしたというのだろう。


「いや、明後日は新月でさ、集会があるんだよ。その集会には出ないんだけど、集会場所近くまでの護衛を頼まれてたのを忘れててさ・・・」


「それって、カルトさんも忘れて送り出したって事か?」


「そうかもね。アハハ。」


 リーアやカルトさんの予定把握能力も問題だが、そういう理由があるなら仕方ないだろう。見たところ戦闘のダメージは残っていなさそうだし、ボク達、という事は皆一緒に帰るのだろう。それなら安心だ。


「じゃあ、皆とはもうお別れって事?」


「うん、そうだね。ボク達ももっと一緒にいたかったんだけど。―――またいつでも、集落に遊びにおいでよ!」


「いや、どうやって?森で迷うか、惑香花(ヨワシミ)で死ぬしか選択肢ないわよ?」


「あ、確かに・・・」

「いや、その心配は無い。」


 俺はそう断言した。何故かって?それは、新しいスキルが手に入ったからだ。魔王軍との戦いで、大幅にレベルも上がり、新たな力も身に付いたことは確認済みだ。そしてこれは、その中の一つ。



憶録道標(メモリアルナビ)

一度行ったことのある場所を全て記憶する事ができる。



 一度行ったことのある場所、つまり道順も覚えているわけだ。こういった【旅人】ならではのスキルは、戦闘では使えないものの、チート能力のある俺にはこういったスキルの方が有意だ。

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