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115.高額な報酬

お久しぶりです。非常に忙しく、勝手ながら投稿をお休みしていました。

年に何度か、書けない時期が発生する事が予想されます。ご理解の方よろしくお願いいたします。

 レヴィアタンに取り憑かれていたリリーも無事、目が覚めた。他の冒険者も、怪我人は出たものの死者は居なかった。街への被害もなく、完全勝利と言っていいだろう。


「リリー、記憶は大丈夫?」


「うん。大丈夫だと思う。ソフィア、で、ハルカ・・・」


「その、リリー、その・・・」


 もし俺の推測が正しければ、俺がリリーに呼ばれたにも関わらずに行かず、リリーは嫉妬、というか怒り、その感情に付け込まれてレヴィアタンに取り憑かれた。いや、憑かれたのが何でかは関係ない。少なくとも俺はリリーを裏切っているのだ。


「ごめん、リリー。誘ってくれたのに、何も断らずに行かないままで。俺、完全に忘れちゃってて・・・」


 ぺこり、と頭を下げる。―――が、リリーは無言のままだ。どんな表情をしているかも分からない。

 ソフィアさんは一歩引いて見守りに徹してくれたみたいだ。


 誰も口を開かないまま、10分が過ぎた。いや、実際はそんなに経っていないだろうが、俺にはそれぐらい長く感じたのだ。


「私は何も知らなかったけど、多分、魔王軍とかで色々忙しかったんだよね、ハルカも。忘れちゃった事はしょうがないし。」


「本当に、悪かった。」


 俺はなおも頭を下げ続ける。前の世界と今の世界を統合しても、数少ない友達の一人だ。嫌われたら本当に洒落にならない。


「もう怒ってないよ。それに、ハルカは私を助けてくれた、私のヒーローだから。」


 ソフィアさんに、ぽん、と背中を叩かれて顔を上げると、リリーは薄っすらと目に涙を浮かばせ、頬を紅くして俺を真っ直ぐ見つめていた。


「ありがとう、ハルカ。」


 ふぅ、リリーが優しくて(たす)かった。最悪の場合絶交されても文句は言えない立場だったしな。


「でもぉ、罪は償ってもらうよ?」


―――へ?


 リリーの顔に深く影が入り、目だけがランランと輝いている。―――ように見えた。まぁその感覚もあながち間違いでは無く、またしてもレヴィアタンに取り憑かれたかのような、悪魔の笑みを浮かべていた。


「な、何をしろと仰るのでしょうか?」


「うーん・・・今すぐには決まんないから、また今度!いつでも一回、ハルカに何でも言う事を効かせられる権を取得!」


 あれ?リリーってこんなキャラだっけ?口調も、良いとこお嬢様女子からリーダー系女子っぽくなってるし。まあ気にすることないか。

 それよりも、とんでもない権利を取得されてしまった。つまり、今後いつか一度、リリーの言いなりになるという事だ。変な事を要求されなければ良いが。



ピピピピピっ、ピピピピピっ、



 通話の腕輪が着信を報せる音を鳴らす。テイルからだ。


『ハルカ?今どこに居るの?』


「何か用か?」


『支部長室に呼ばれてるわよ。皆待ってるから、早めに来てね。』

ぶちっ


 それだけ言って一方的に切られてしまった。二人に挨拶し、急いで支部長室に行く。



コンコン

「失礼します。」


 部屋に入ると、テイル、ニック、エスティラさん、獣人の皆がいた。特別招集されたメンバーだ。


「これで、全員集まりましたね。さて、皆さんに集まって頂いたのは、特別報酬を渡すためです。」


 そういって、紙の束、一枚ずつ書いて切り離せるような形のものを持ってきた。その紙は無地ではなく、何か細々と文字が書いてある。


「現金でお渡しすると嵩張(かさば)りますので、小切手で。」


 なるほど、小切手か。ギルドの名で、そこに書かれた金額、銀行から引き落とせるわけだ。若干違う気もするが、今回の場合はクレジットカードのような使い方だ。


 一般冒険者には10万シェルが支払われている。ミア、タムさん3兄弟、エスティラさんには高い功績と感謝料として20万。テイルにも同義で22万。リーア、イディアさんはバルべリス討伐として50万。ニックはレヴィアタン撃退として50万。そして俺は、バルべリス討伐、レヴィアタン攻略、レヴィアタン撃退として120万シェルも貰ってしまった。


「ハ、ハルカ!貧乏人脱出よ!」


 テイルが震え声で叫びながらぺしぺしと叩いてくる。これは予想以上の大金だ。今はテイルと同居しているが、晴れて自分の部屋を借りることもできる額だ。

 このまましっかりと冒険者稼業を続けて稼ぎ続ければ、十分な貯金のうえで生活ができるだろう。魔王軍ありがとうございました本当。


 それ以外は特に話があるわけでも無かったので、解散となった。


 ニックとエスティラさんは直ぐに遠くの国での指名依頼を受けに行くという。もう真夜中だというのに、やはり勇者は大変だ。獣人の皆は、今夜泊まってから明日帰るという。俺とテイルは部屋に帰ってゆっくりだらりだ。



――――――――――――――――――



 少し部屋で休憩した後、大浴場へ向かう。体を洗ってから湯船に向かう。するとそこには、イディアさんの姿があった。


「イディアさん、お疲れ様です。」


「おぉ、ハルカさん。お疲れ様です。」


 ん?イディアさんだけ?前に風呂で会った時と比べて明らかに3人程少ない。


「タムさん達は、一緒じゃないんですか?」


「あぁ、あいつらは部屋で遊んでますよ。私はできるだけ早く寝たいので、先に一人で来たんです。」


「そうですか。―――そういえば、凄かったですね。月の光の・・・」


「【月光の祝福】ですか。うちの集落であれを使いこなせるのは、私とリーアぐらいですかね。」


「狼の獣人は、使いこなすのは別とすると、全員可能なんですか?」


「そうですね。まぁ使いこなせないと、暴走して、発動主を殺さない限り破壊が止まりませんが。」


 殺す、か。そんなに大変な事になるなんて、とんでもない力だな。ちゃんと暴走せずに使いこなせれば、魔法が使えないハンディキャップとか軽く覆せるだろう。羨ましい。


「そういえば、月光の祝福を受けた状態のリーアを、覚えてますか?」


 リーアは確か、白い毛に水色の目だったか?それがどうかしたのだろうか。

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