112.レヴィアタン
誤字報告ありがとうございました。
今後もよろしくお願いします。
今回は少し強引な内容に・・・文を考えるのが苦手です(失格)
「ニック、最初に俺が言ったこと、覚えてるか?」
ざくっ
「あの幹部が、知り合いだって話か?」
ざくっ
俺たちはお互いに、近くに出てきた影を斬り捨てつつ話を続ける。
「そう、その事なんだが、幹部の能力で乗っ取られているかもしれないんだよ。」
「精神支配か?」
「多分そうだ。」
「それは・・・少し憶測が過ぎるんじゃないか?本当にハルカの知り合いが幹部だって可能性も・・・」
「・・・確かに、その可能性は否定できない。でもな、あの幹部、レヴィアタンは精神支配を行っているっていう確信があるんだ。」
そう、二人の名前が地球と被ったことと、魔物でも似たやつが居ること。そして、リリーが操られているだけだと信じたい気持ちが、この考えを強く推したのだ。
「ハルカ。仮に、本当に操られているだけだとしたら、どう倒せばいいんだろうか?」
「俺に聞かれてもな・・・体から引き離すしかないだろ。」
「その方法は?」
「それが解れば苦労しねぇよ。」
どちらにしろ、影を倒し続けても時間の無駄だ。今は二人で近くの影を倒しているが、一人でもまかないきれる量だ。つまり、もう一人は攻め込める。
「ハルカ、影は僕が引き受ける。勝ち筋を探ってくれ。」
「了解。」
俺は影の隙間を見つけ、一気に抜ける。ニックに襲いかかる影の量は2倍に増えるが、任せても大丈夫だろう。急いでリリーの側まで行く。
リリーは立ってはいるものの、目に光は無く、表情に変化も無い。ますます操られている可能性が高まった。
すると、リリー、ではなくレヴィアタンが口を開いた。
「あんた、私を倒す気かい?」
「うーんお前は倒すが、その子は殺さないぞ?」
「出来るのならな!」
レヴィアタンがリリーの体を使い、真っ直ぐ殴りかかってくる。これで操りは99%確定したものの、対処も難しい。
リリーの動きはリリーのそれではなく、俺でもギリギリ捌ききれるかどうかの所だ。かといって、剣を使って受け流せば傷付けてしまう。本当に厄介だ。
「はっ!こっち!これはどうだい?」
「その体、もうちょっと大事に扱えよ!」
勿論リリーの体は傷付けられないが、仮にリリーを斬ってもレヴィアタンにダメージが行くかは怪しいところだ。レヴィアタンをリリーから離すには・・・リリーを支配から解放するにはどうしたら良いだろうか。
「おい、リリー!リリー!聞こえるか!?」
とりあえずは典型で攻める。まぁこんなものに効果は期待していないし、返ってくる言葉もまた典型なわけで。
「無駄無駄。あんたの言葉なんて、この子には届かないよ!」
そのままレヴィアタンは攻撃を続けてくる。スピードは速く、恐らく殴られたらそれなりのダメージが入るだろう。ただ一つの救いは、変な動きをしてこなかった事だったのだが・・・そんな事は無かった。
とぷん
急にリリーの体が影の中に沈んでいった。こいつ、リリーの能力まで使えるのかよ!―――と言っても、こんな言い方はあれかもしれないが、リリーの能力はたかが知れている。影をちゃんと目で追えば、何てことない。
この時の俺は、レヴィアタンの能力を侮っていた。バルベリスと戦った後ということもあり、今戦っている、知り合いの姿をし、攻撃を当てられないこいつも、魔王軍の幹部というとんでもない肩書があることを忘れていた。
ぽちゃん
「死にな!」
悪寒が走り、急いで屈もうとした時にはもう遅かった。後頭部に拳が入り、1、2m前に飛ばされる。
「フッ、油断しすぎだ。」
とぷん
俺を見下しながら鼻で笑い、そのまま影の中に戻っていった。
そこまで攻撃力が高くなかったので生きてはいるが、しっかりとHPは削れている。今の攻撃は何だったのだろうか。・・・俺の影から浮き上がってきた?まさか、レヴィアタンは取り憑いた対象の能力を最大限まで引き出せるのだろうか?
魔力探知に集中するが、位置が全く掴めない。【影武者】、厄介だ。そして、最悪だ。
常に全周囲に気を配りながら、攻撃を避け続けながら考える。レヴィアタンについて他の知識は無かったか?
「なんだ、攻めないのか?」
シュッ
「黙ってろ。」
サッ
どんどんレヴィアタンの攻撃が鋭くなってきた。早く、早く何か、思い出さないか!?
―――嫉妬。
そうだ、嫉妬だ。レヴィアタンは嫉妬の悪魔だ。いや、それを思い出したからって何かに役立た・・・ないこともないかもしれない。もしかしたら、リリーは嫉妬していたのではないか?俺はそういう女心とかには疎いが、リリーが居なくなった夜、俺はリリーを訪ねなかった。怒りと嫉妬が繋がるかは怪しいが、そこを悪魔に付け込まれた、とか?
でも、それなら何故、リリーは嫉妬するのだろうか。嫉妬といえば自尊心か恋愛感情か?リリーの自尊心を折ったことは無い。恋愛感情?いやいや、そんな素振りは無かったはずだ。でも、もし恋愛感情説を推すとすれば、なんだろうな・・・一回抱いてみる?
いや、自分でも何でそんな結論に至ったのかは謎でしかない。ただ、日本にいたとき、そんな感じのアニメを見た気がする。少しでも可能性のあるものは試せばいいのだ。もしそれで嫉妬が解ければ、もしかしたら分離に成功するかもしれない。善は急げ、とは少し違うが、俺はタイミングを見計らい始めるのだった。
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