表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/430

111.解除

週休8日のYOPPYです。(理想)

「リーア!大丈夫か!」


「うん!イディアは!?」


「大丈夫だ!」


 爆ぜる闇の攻撃を受けた二人は、立ち上がりお互いに大丈夫とは言っているものの、少し辛そうにしている。


「あの攻撃は、厄介だな・・・。ウワァォォン!」


 ゼイアイディアが遠吠えを上げると、長くなっている茶色の毛が風を受けたように立ち上がり、一つに纏まっていた尻尾も3つに分かれた。


 回り続けていても同じ攻撃が来れば意味が無いと考え、速攻に切り替える。リーアは空中から、ゼイアイディアは地上から攻め、鎧を砕く事だけを考える。


 ゼイアイディアの拳は殴る毎に強くなり、バルべリスも立ってはいられない。鉈を振るっても避けられるだけで、リーアからの攻撃が入る。


「おい、犬。一つだけ教えてやる。この鎧はな、破壊不可の特殊な物なんだよ!お前らに壊せるものか!」


 バルべリスの言葉が本当かは分からない。嘘の可能性を信じ、鎧に攻撃を入れ続ける。

 バルべリスの攻撃は入らないものの、鎧も砕けない。そんな状態が延々と続いた。



―――しかし、そんな状況を打開するものが、やってきた。


「二人とも避けろ!塊炎(ファイアボール)!」


 攻撃の反動を使って瞬時に元いた場所から離れる。大鉈を振るおうとしたバルべリスに迫るのは、不死鳥の形をした炎だ。


「っ!クソが!」


 炎がバルべリスを飲み込むが、特にダメージは入っていない。黒いオーラが炎を掻き消した。


「やっぱり効かないのかよ・・・」


「ハルカさん!大丈夫なんですか!?」

「もう動けるの!?」


「もうって、3時間も経ったら骨ぐらい治るだろ。」


「いやいや普通治らないから!」


 そう、俺をは回復促進(リバイバル)と睡眠のおかげか、走れる程度には回復していた。まだ右手で剣は振れないが、ここまで粘ってくれた二人の成果と言えるだろう。


「よし、やるぞ!」


「はい!」

「任せて!」


 リーアとイディアさんが左右に分かれ、俺はその間を真っ直ぐバルべリスに向かって走っていく。

 バルべリスは誰を目で追えば良いのかと困惑していそうだ。


射氷(アイスバレット)!」


「チッ、小賢しい!」

ぶぅん!


 大鉈が振るわれ、闇が吹雪を喰らい尽くす。が、大きな隙が生まれた。


「ていっ!」

「はっ!」

がいん!


 リーアとイディアさんが同時に左右から攻撃を入れる。鎧が砕けないなら、衝撃の行き場を無くすことで中にダメージを入れようということだ。


「―――くっ・・・人間は!?」


 その頃にはバルべリスの前に俺はおらず、気配を隠して後ろに回り込んでいた。二人の攻撃で少し硬直しているので、狙いを合わせるのが簡単だ。


超攻撃(スーパーアタック)!」

ざしゅっ


「ぐぁぁぁあ!クソが!」

スカッ

   どっ・・・


 大鉈の軌道は俺から大きく逸れ、地面に突き刺さった。効いているか?


ずぶっ!


 さらに深くまで押し込む。バルべリスの体が大きく反り、悶ている。

 追撃とばかりに、イディアさんの拳がバルべリスの顔に入り、首を倒された。


 今まで魔法を使ってきて、吹雪だけは執拗に防ごうとしてきたので、もしかしたら効くのではないかという淡い期待に掛けて、剣先から体内に魔法を放つ。


射氷(アイスバレット)!」


「ギィャァァ、ア、ア゛・・・!」

かちっ


 断末魔の叫び声を上げ、人間ではない仰け反り方をしたまま、バルべリスは氷漬けになった。十分だろうと剣を引き抜く。


「はーいハルカ、どいてねー。」


 どこからか聞こえたリーアに声に従い、氷漬けのバルべリスから少し離れる。次の瞬間には、空から降ってきたリーアの白い毛に覆われた足が、氷を粉々に破壊していた。


「ふぅ、これでスッキリした。」


 リーアといいミアといい、凍った生き物を見ると破壊したくなるのだろうか。一撃で割った時の笑った横顔からは、狂気しか感じないが。


 バラバラになって倒しきったのか、空が夜から昼過ぎに戻っていく。

―――と同時に、リーアとイディアさんが膝をついた。


「だ、大丈夫か?ど、どうした?」


「いや、月が消えたので、強化が解除されるのですが、」

「さっき受けたダメージが辛かったかな。ハハ・・・」

どさっ

  どさっ


 そのまま二人とも倒れてしまった。急いで息を確認すると、気絶しているだけみたいだ。HP切れを起こしたのだろう。通話の腕輪でテイルを呼び、二人を救護班の元へ連れて行ってもらい、俺はニックの元へ急ぐ。



――――――――――――――――――



 その頃ニックは、倒しても倒しても湧き上がる謎の影と戦い続けていた。一体一体は弱く、斬ったり、スキルや魔法を一度当てるだけで簡単に倒せるのだが、レヴィアタンの能力なのか影の出現が止むことは無く、一人では攻め込むことが出来ずにいた。


 そして、ハルカが言っていた言葉、知り合いの冒険者だというのはどういう事なんだろうか。それは果たして真実なのか、真実だとしたら何故なのか、という事を考え続けていた。


 戦い始めてから何時間経っただろうか。急に夜になったと思ったら、今は昼過ぎに戻った。一体何だったのだろうか。



―――ニックぅ!


「ハルカ?」


「おまたせニック!状況は?」


 ここでハルカが合流した。


「今この湧き出る影の相手をしている所だ。こいつらは弱いんだが、数が多くてな。雷磁砲(アビルコノン)!」


 俺の後ろに現れた奴を倒してくれた。倒してくれたのは良いが、俺は一つ大変なことに気づいてしまった。この影、魔力を感じられない!・・・相当厄介だな。


「こいつらの相手ばっかりで、まだあいつに攻撃を入れられてないんだ。」


 その言葉を聞いた俺は、リリーが傷付けられていない事に、内心安堵したのだった。

感想、誤字報告、ブクマ登録、高評価、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ