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103.洞窟探索

連休明けは体が動かないYOPPYです。

 イゼンポッドを倒し、さらに奥へと進んでいく。ちなみに、ここまでは入口から一本道だった、のだが・・・


「───分かれ道か。どっちに行く?」


「そうね・・・左の方が魔力を多く感じるから、右に行きましょう。」


 俺の魔力探知(ディテクション)でも左の方に多くの魔力の揺らめきがあるのが分かる。あとは、右に行こうとしているテイルを無視して左に行くだけだ。


「ちょっと!何で左に行くのよ!?」


「だって魔物の討伐に来てるんだぞ?」


「明らかに危ないじゃないの!」


「魔物討伐依頼なんて危険がつきものだろ?」


「わざわざ危ない方に行かなくても・・・」


 とか言いながら、俺が進んでしまえばテイルは付いてくる。Cランクの魔物が居る洞窟内で、流石にテイルは一人になろうとしない。

 進んでいくと、少しずつ道幅が広くなってきた。だいたい4、5mかな?相変わらず天井は高い。


「ハルカ!何か来る!」


「あぁ、分かってる。」


 二人とも何かが近づいてくる事に気がついた。目を凝らして少し先を見ると・・・


───キィッ!キィッ!


何だろう。鳥?の様な感じもするけど、動きに安定感が無い。そして、近づいてくるとその姿がはっきりと分かるようになった。


「コウモリか?」


「コウモリ?ってのは分からないけど、こっち来てるわよ!」


 翼を入れて1m弱の、地球で言えば通常サイズのコウモリが向かって来ている。羽や体の形状はコウモリによく似ているが、顔と胴体の区別が無く、毛の塊に羽が付いているみたいだ。そして、体の6割程を大きな口と牙が占めている。目は無さそうだ。


「ハルカ、私がやっても良い?」


「勿論構わないけど。」


流風(スラウ)射氷(アイスバレット)!」


 風を起こしてコウモリを洞窟の壁に叩きつけ、氷を突き刺す。最初にテイルとスライム討伐依頼を受けた時を思い出すな。


「やった!倒せたわ!」


 良い具合に魔法が使えていると思う。最近はスキルからの鞭を主流にしてたけど、常から少しは魔法も使っておいた方が良い。

 無限収納(スナフ)に仕舞い、更に先に進もうとした時、同じコウモリが奥から溢れ出してきた。


「うわっ!?」

「ハルカ、流石に頼んだわよ!?」


「え、えーっと・・・射氷(アイスバレット)!」


 強化された低位魔法は吹雪となり、無数のコウモリが空中で凍っていく。


「や、やっぱりハルカに任せたほうがいいかしら・・・」


「何言ってんだ。明日はテイルも魔王軍と戦うんだからな?それに、誰かさんが魔王を倒す!とか言ってただろ。強くなる努力をしろ、努力を。」


「はいはい。えっとね、確かこの魔物はイドットよ。」


 こいつ、話を変えやがった。まあいいか。面倒だし。


「結構弱かったけど、Eランクとかか?」


 テイルが魔銅板を確認してくれる。


「Eね。どおりで、私でも倒せたんだわ。」


 テイルが倒した一匹は素材の為に回収したが、俺が凍らせた奴は、空中で凍ったまま地面に落ちて粉々になっている。普通に落ちるだけではこんなに細かくはならないと思うが、魔法の付与効果だろうか。

 さすがに回収できないが、燃やす必要も無いだろう。


「でも、今のイドット達、何かから逃げているみたいだったわ。きっとこの奥に、強い奴がいるのよ。」


「そうかもな。パッパと倒して帰ろうぜ。」


 そこから少し進んだところで、また分かれ道に当たった。


「どっちに行く?」


「どっちでも良いわよ。」


―――キィッ!キィッ!キィッ!


 右の通路からイドットが数匹飛び出してきた。天井近くの高い所を通って行ったので戦う必要は無い。ただ、どっちにヤバイ奴がいるのかは分かった。


「右だな。」

「右ね。」


 テイルも積極的に狙い始めたみたいだ。アリタマを早く倒せば洞窟からも早く出られると気づいたのだろう。

 右の道を進むことにした。


 そこからの道はさらに横幅が広がり、リーアやイディアさんなら壁で飛び回れるぐらいの広さが出てきた。


「アリタマって、どれくらいの大きさなんだ?」


「場合によるわ。相手が強い程大きく、普段は見つからないように数mmぐらいに小さくなっているの。」


「つまり、今足元にいるかもしれないってことか?」


「小さくなっても保持魔力量が減る訳じゃないから、居たら気付いてるわよ。」


「なるほどな。」


 体の大きさを自由に変えられるのか。しかも体中に強い酸があると来た。相当面倒くさい相手だな。魔力探知(ディテクション)に常に気を傾けておく。


 通路を歩いていると、二匹のスライムが居た。素材用に倒し、回収する。あまり分かれ道が多くないので、地図も書くのが楽だ。


 その時、ふと俺の頭の中にある光景が蘇ってきた。



―――――――――


「それじゃ、俺達用があるんで。」

「失礼します。」


 こういう時のミアは本当に礼儀正しい。姉に見習ってほしいぐらいだ。


「あ、ハルカ!」


 リリーが側まで来て耳打ちする。


「今日の夜、私の部屋来ない?ちょっと話そうよ。」


「え、」


 それだけ言ってソフィアさんの後ろに戻っていった。またお呼ばれしてしまった。


―――――――――



「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「きゃっ!な、何よ!急に大声出して!」


「ヤバイ!これはマジでヤバイ!早く帰らないと!」


「どうしたの?」


「早く戻らないと人間的に死ぬ!男としても死ぬ!」


「だから、どうしたのよ!」


 リリーに夜呼ばれたのをすっかり忘れて、勉強、読書、風呂、就寝。これは駄目だ。やってしまった。今すぐ帰ればまだフェルミに向かう前かもしれない。とにかく、急いで帰る必要が出てきた。


「テイル!俺は帰るぞ!」


「何言ってんのよ!どうしたの?何があるの?」


「ぅぐ・・・い、言えない!とにかく帰る!」


 足に力を入れて一気にダッシ―――

遠方移動(チェイラート)!行かせないわよ!」


「辞めてくれ。本当に。お願いしますテイルさん。いやテイル様。」


「無理よ。私一人ここに残されて、生きていられると思う?」


 確かに、それはそうだ。でもその前に俺が殺されるかも知れないのだ。


「それに、このまま帰ったら依頼失敗で罰金よ?今の私達にそんなお金払ってる余裕ある?」


「・・・じゃあさっさとアリタマ倒して、さっさと帰る!ノルマは10分!」

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