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102.特例

誤字報告ありがとうございました。

今後もよろしくお願いします!

 獣人の皆におやすみの挨拶だけして一人だけ先に部屋に戻る。少し気まずいが、仕方ない。あの人達なら何かあるのだろうと思ってくれるはずだ。部屋に戻り、ソファで眠りにつく。自分の部屋も早く借りられるようにしなければ。



――――――――――――――――――



ぱちっ


 珍しいな。テイルより先に目が覚めた。昨日も一昨日も動きっぱなしだったから、テイルも疲れているのだろう。

 そういえば昨日食材を買わなかったから朝ごはんも無い。何故昨日の夜に纏めて買っておかなかったのだろう。朝の時間はまだ店もやっていないので、携帯食を買いにロビーまで行かなければ。



―――


―――――――――


「ただいまー。テイル、起きてるかー?」


「あっ!ハルカ!どこ行ってたの!?」


「えっと・・・何かあったのか?」


 何故かテイルは服を着替え、流輝鞭(ルシ・ウィップ)を持ち、今まさに玄関に向かおうとしていたところに見える。


「いや、起きたらハルカが居なかったから、何かあったのかと・・・」


「あぁ。朝食の携帯食を買いに行ってただけだ。」


「そ、そうだったのね。置き手紙ぐらい書いていきなさいよ。」


 いや同じ建物の中にいるのに置き手紙って・・・

 今日の夜には会議をやるらしいから、昼過ぎぐらいまでに依頼を受けて稼がなければ。丁度、俺もテイルも出る準備はできている。


「よし、食べたか?さっさと依頼受けに行くぞ。」


「勿論そのつもりよ!」



 受付に行き、魔銅板を提出する。


「ハルカ様とテイル様には、アルバルトより特例として

、Bランクの依頼を受ける事の許可が出ていますよ。」


「B!?ハ、ハルカ?まさか受けないわよね?」


「Bランクの方が達成報酬は高いですよね?」


「えぇ、まあ。」


「じゃあBランクでお願いします。」


 テイルが絶望している。そんなに心配しなくても、Bランクだ。Sを相手にする訳じゃない。

 受付の人からBランクの依頼リストを受け取る。


「テイル、どれにする?」


「もう何でも良いわよ・・・」


 どうせなら魔物討伐依頼のほうが良い。素材分が加算されるからだ。―――この魔物知らないな。行ってみるか。


内容:アリタマの討伐、場所:西魔峡谷、依頼主:ギルド、報酬:1匹につき6000シェル


西魔峡谷か。えっと・・・あった。あった。C担当だが、ついでにイゼンポッド討伐も受けて行こう。


「すいません、じゃあ、アリタマの討伐とイゼンポッドの討伐、お願いします。」


「2つですか?」


「はい。」


「分かりました。では、いってらっしゃい!」



 西魔峡谷に向かう道の途中、テイルが不安そうに言ってきた。


「ねぇハルカ。アリタマってどんな魔物か知ってるの?」


「ん?いや、知らないけど、何か弱そうな名前じゃん?」


「・・・はぁ。あのね、アリタマってのは知らないと凄く危険な魔物なのよ?いや、知ってても危ないわ。」


「へー、どんな奴なんだ?」


「まず前提として、洞窟に入る必要があるわ。」


 洞窟か。無限収納(スナフ)の中にはそれなりの量の紙とペンが入っているので洞窟に入る分には問題ない。


「それと、触れないわ。」


「・・・え?」


「体中に強い酸があるのよ。剣も直ぐに溶けちゃうの。」


「つまり、魔法を使えば良いんだろ?魔力銃の為にあんまり魔法は使いたくないんだがな。」


「ハルカの魔法が狭い洞窟の中で使えるの?」


「あー・・・あっちで考えよう。」


 現実逃避は友達の少なかった俺の得意分野だ。少ない。間違ってない。まさか居なかったなんて事はない。


 それから少し歩いて魔峡谷に着いた。そういえばこの間来た時、無視しようとした洞窟からイゼンポッドが出てきたんだよな。あそこの洞窟を目指すか。


 俺が崖横の道をどんどんと進んで行く一方で、テイルが中々来ない。


「おーいテイル!早く来いって!」


「な、何でハルカはそんなにパッパと行けるのよ!?何があるか分からないでしょ!?」


「いや、俺一回来たことあるし。」


「・・・え?そうなの?」


「あぁ。洞窟の場所も一つなら知ってる。」


「何だ、そうだったのね。」


 そういってテイルがゆっくりと歩き始めた。崖下を見てビクビクしているが、そんな事では進めない。少し前だけを見て進めばいいのだ。―――そもそもテイルならスキルで戻って来れるんじゃないか?


「えーっと、確かここらへんだったよな。」


 崖を半分ぐらいまで降りてきた。テイルも慣れてきたようで、俺にちゃんと付いてきている。ただ、俺の服の袖を掴んではいるが。それって俺が落ちたらテイルも落ちるんじゃ?


「あっ、あったあった!」


「何があったの?」


「洞窟だよ。前来たときは、あそこにイゼンポッドも居たんだ。あの洞窟に入れば良いんじゃないか?」


「じゃあまずはそこ入りましょう。記録は頼んだわよ。」


 無限収納(スナフ)から紙とペンを用意して、洞窟の中へ足を踏み入れる。

 洞窟の入り口付近はまだ明るかったが、少し中に入っただけで直ぐに暗くなった。まぁ暗視(ノクター)があるので問題は無いが。


―――キシキシキシ

「ひゃっ!な、何の音!?」


「多分今の鳴き声は、イゼンポッドかな。ほら、リーア達とこっちに来る途中でも居たの、覚えてるだろ?」


「あ、あの爆発する奴?」


「そうだ。」


 天井は高いが、横幅はイゼンポッドが一匹通れるかどうかの幅しかない。ここで戦闘になったら、爆発による毒液の対処が防御壁(プロティーガ)しかない。本当は魔力銃用に残しておきたいが、最悪の場合MP用回復薬(ポーション)で回復するか。


―――!魔力探知(ディテクション)に反応した。近くまで来ているな。


「テイル、とりあえず斬って、防御壁(プロティーガ)で守るから、俺の後ろに居てくれ。」


「分かったわ。お願いね。」


 まだ来ない、まだ来ない、まだ来ない・・・来た!

―――キシキs・・


ざしゅっ

防御壁(プロティーガ)!」


ばぁん!


 よし、イゼンポッド一匹討伐終了、と。目視で確認できる位置まで来た瞬間に一気に近づいて斬り落とした。

 リーアやイディアさん達と居ると少し感覚がおかしくなるが、俺の動きは地球で言えば人域を脱している。移動速度などの身体能力は隠れステータスの様なもので、こちらも俺の場合、伸び方が異常なのだ。

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