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100.試し撃ち

本文100話目です。

今後もよろしくお願いします!

 魔力銃を渡す場所として何故訓練所を選んだかというと、簡単な事だ。ここなら試し撃ちができる。


「なぁテイル、この銃の威力ってどれくらいか分かるか?」


「普通の魔動弾(マジカレッド)と同じぐらいだと思うわ。」


「なら俺が受けるか。最初はタムさん達とテイル、撃ってみましょう。」


 壁に向かって撃って、変な方向に反射してしまっても危ないので、俺が受けて止める事にする。それに、狙いが人間ぐらいの大きさの方が練習にもなるだろう。


「え・・・ハルカさんに?」

「大丈夫なんですか?」

「いくらなんでも・・・」


「大丈夫です。あっちの方まで離れるんで、撃ってみてください。」


 そう言って、数十m離れたところまで下がる。四人が銃を構え、アイアンサイトを通して狙いを定めてくる。そして・・・


ダん!

ダん!ダん!


ダん!


 物凄いスピードで魔力の塊が俺に飛んできた。ギリギリ目で追えるか追えないか・・・いや、追えない。来る事が分かっていたり、前から来たらまだしも、後方から不意に飛んできたら避け切れないだろう。少なくとも俺は。


 ただの魔力の塊なので、腕でかき消した。ただ、俺のBPが高すぎるせいで威力が分からない。ただ、四人とも中々に筋が良い、と思う。タムさんとトムさんは首辺り、ティムさんは顔の中心、テイルは少し時間が掛ってしまったが、頭に飛んで来た。ヘッドショットだ。


「皆さん良いですね!撃ってみた感じどうでしたか?」


「思ったより速く飛びますね。」

「これは使えそうです!」

「遠距離攻撃なんて、生まれて初めてですよ!」


「威力が高い分、反動があるわね。でも、楽しいわよ、これ。」


 なるほど、反動か。一発ずつしか撃てないようだし、戦場のど真ん中で使わないように気をつけて貰えば大丈夫かな。次は連射組だ。


「次はリーア、ミア、イディアさん、走ったり跳んだりしながら撃ってみてください。」


「分かりました。」


「行くよハルカ!」


 三人が走り始めた。最初に撃ってきたのはミアだ。後ろに回り込んだところで撃ってきた。胴体から首あたりに渡って数十発来た。

 ミアが撃ったところを見た感じ、そこまで反動はなさそうだ。リーアやイディアさんなら跳び回りながら片手でも撃てるだろう。


 リーアとイディアさんが何か話していたが、何だったのだろう。

 次に撃ってきたのはイディアさんだ。訓練所の高い天井ギリギリを通りながら、半円を描くようにして跳んだ。空中から放たれた弾は重力と相まって、ミアの物より若干速い。それよりも、何だあの跳躍力は。いくら何でもおかしいだろ。


「ほぅ、これは軽くて良いですね。」


「それなら、良かったです。」


「じゃあ次はボクが行くよー!ハルカ、ちゃんと構えてねー!」


 リーアが動き始める。少し助走をつけたところで高く跳ね、俺に向かって斜めに落ちながら連射してくる。・・・まさか激突はしないよな?


 何だろうか。遊んでいるのか、空想の敵が見えているのか、リーアは体を捻って回転しながら俺の目の前に着地した。


「よし、リーアお疲れ・・っ!」


「やっ!」

ばきっ


 着地と同時に膝を曲げ、その反発力を使いながらアッパーを入れてきた。予想外の攻撃を、俺はモロで喰らってしまった。


「はっ!」


 今度は、首が後ろに傾いた俺の足を払われ、背中から完全に倒された。


「がっ・・・!リーア、お前・・・」


 リーアは片足で俺の胸を踏み、銃口を頭に当ててくる。


「はいっ、ボクの勝ちー!」


 良い笑顔だね。満面の笑みとはこの事だ。全く予想されていない場所からの攻撃、これこそ、戦いにおいての基本だ。ただ残念ながら、リーアは背が小さいせいで体重が軽い。


「あー、降参だ。負けちゃったー。・・・なんて言うと思ったか!おりゃっ!」


 フリーな状態の足を振り上げ、その反動に体の捻りを加えてリーアの足をどかす。魔力銃が撃たれないように左手でリーアの腕を横に押す。これでリーアの背中側が見えた。

 

「まだまだだな!」


 右足の蹴りを背中に軽く入れると、リーアの体がイディアさんの方に飛んでいった。イディアさんがちゃんと受け止めてくれる。


「あ〜!何でだよ!銃口当てたからボクの勝ちだろ!」


「本番も銃口当てたら勝ちか?撃ってから勝利だろ!」


「あ゛ー!」


 リーアはピンピンして地団駄を踏んでいる。怪我しなくて良かった。蹴りを入れた瞬間にちょっと強かったかも、と心配していたのだ。


「お姉ちゃん、最初に攻撃始めたのはお姉ちゃんでしょ。」


「だって!ハルカの事倒したいんだもん!」


「いや、でもさっきの動きは良かったぞ。一回倒されたしな。」


 その後もリーアは少し不機嫌そうだった。そんなに勝ちたいかよ・・・


 でもまぁ、これで全員に魔力銃は配ったし、試し撃ちもしたし、明日MPが回復したら、もうちょっと魔力を貯めておけば完璧だろう。


「それじゃあ解散で!」



 獣人の皆はホテル形式なので、夕飯は用意される。そこは心配しなくても大丈夫だ、さて、俺も魔力が無いし、時間も遅いので部屋に帰って一休憩するか。

 リーアとイディアさんは訓練所に残ったが、タム兄弟は体力を使い過ぎないように部屋に戻り、ミアはテイルと遊ぶために俺達に付いて来ている。


「あ、そうだハルカ。夕飯作る食材が無いから、買ってきてよ。」


「え、俺が?」


「だって持ち運び楽でしょ?適当なもの買ってくれれば良いから。」


「いやでもこの時間に店なんてやってるかな・・・」


 このナシヤットには、スーパーマーケットの様に夜遅くまでやっている店など無い。八百屋、魚屋など、個人経営の店が連なっているだけだ。今の時刻は34時。急げばまだ開いているかな?


「そんなこと言ってる間にも時間は過ぎていくわよ!ほら、行って来て!」


「分かったよ・・・」


 俺をギルドから放り出し、テイルはミアの相手をしに行った。楽な方を選びやがったな。・・・しょうがない。夕飯が無くなるのは何としても避けなければいけない。ギルドの食事処で食べる、という方法もあるが、そんな事をしたら本当に一文無しになってしまう。自炊する必要があった。

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