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今後もよろしくお願いします!
リーアとミアと一緒にギルドに戻ったら、ソフィアさんとリリーに会った。でもリリー。いくら人見知りだからって、初対面の相手に影から登場はまずいだろう。まぁリーアとミアなら大丈夫かもしれないが。
「紹介するよ。前に依頼を一緒に受けた、ソフィアさんとリリーだ。」
「はじめまして。」
「よろしくお願いします。」
「で、こっちがリーアと、ミア。狼の獣人の姉妹だ。」
「あ、え、は、はじめまして・・・。」
「二人とも可愛いね。よろしくっ!」
「あの、一つ良いですか?さっきリリーさんが床から出てきた気がするんですけど・・・」
ミアが先に質問する。魔力探知が無いとはいえ、二人にすら存在を感じさせないのは、流石リリーといったとこか。その肝心のリリーはソフィアさんの後ろに隠れてしまっているのだが。
「ごめんねリーアちゃん。この子人見知りが激しくてね。さっきのはリリーのスキルよ。自分の影の中に入れるのよ。」
「二人とも気付けなかっただろ?凄いよな。」
「そうですね。全く気配を感じませんでした。」
「あ、ありがとう、ございます・・・」
リリーが小さな声で言う。
「それよりさ、ハルカ君はどこでこんな可愛い子達見つけてきたの?何でオチちゃった?」
ソフィアさんがリーアの首元を撫でながら馬鹿なことを言っている。この人こんなキャラだっけ?
「オチ///っ!何言ってるんですか!ボク達はただの友達です///!」
「そ、そうですよ!まぁ正確にはハルカさんは命の恩人ですけど。」
「何だぁ、つまんないなぁ〜」
「あのですねぇ・・・ミアに至っては未成年なんですから、そういう事言わないでくださいよ。」
この世界での成人は17歳以上だ。まぁ未成年といっても16歳だが。
「・・・ハルカ君。・・・未成年に手出しちゃ駄目じゃない。」
ウザい。この人本当にウザい。急に真面目な顔になったから、何を言うかと身構えた俺が馬鹿みたいだ。
「ソフィア、ちょっとやり過ぎ。」
「あ、そうだ。私達は明日からフェルミに避難するんだけど、ハルカ君は?」
「え、冒険者全員がギルドに招集されてるとかじゃないんですか?」
「違うよー。魔王軍への対応を頼まれているのはBランク以上の冒険者と、支部長が指名した人だけ。他の冒険者や住人は、明日の夜までにはここを離れないといけないの。」
「じゃあお二人は戦わないんですか?」
「無理無理。魔王軍の幹部相手なんて、瞬殺されて終わりよ。私達まだEランクだし。」
「でも、ハルカ、戦うの?」
リリーがソフィアさんの後ろから聞いてくる。ソフィアさんや俺に話すときは大丈夫そうだ。
「俺は支部長に指名されたからな。助っ人として、この二人と、あと四人、獣人の仲間がいる。」
「そうなんだ・・・死なないよね?」
「大丈夫!・・・だと思う。」
「ハルカ君なら大丈夫でしょ!」
「それじゃ、俺達用があるんで。」
「失礼します。」
こういう時のミアは本当に礼儀正しい。姉に見習ってほしいぐらいだ。
「あ、ハルカ!」
リリーが側まで来て耳打ちする。
「今日の夜、私の部屋来ない?ちょっと話そうよ。」
「え、」
それだけ言ってソフィアさんの後ろに戻っていった。またお呼ばれしてしまった。まぁ明日の夜の会議までは気を抜いていてもいいだろう。
ソフィアさんとリリーと別れ、訓練所に向かう。その間に、通話の腕輪でテイルにも連絡を入れる。
『何?今部屋でゆっくりしてるから依頼は行かないわよ?』
「流石にこんな時間から依頼を受けるほど俺は阿呆じゃない。訓練所に来てくれ。」
『なるほど、了解ー。』
テイルには一言で伝わった見たいだ。楽でよろしい。
がちゃっ、ぎぃぃぃ・・・
相変わらず頑丈そうな訓練所の扉を開け、獣人の四人を探す。訓練所の中には冒険者が沢山いた。恐らくこの人達がBランク以上なのだろう。皆、自身の鍛錬に集中しているおかげで俺に気づく人がいなかったのは幸いだった。
訓練所はとても広いので、三人で手分けして探す。リーアとミアと離れた場所に来た時、こっそりと魔力銃に魔力を入れておく。
リーアとミアがその嗅覚でパッパと見つけて入り口近くに集めてくれた。テイルも合流したので、お披露目と行こう。
「急に集まってもらってすみません。」
「いや、ハルカさんが呼んでるって聞いたら、直ぐにでも来ますよ。」
「ありがとうございます。それで、早速本題に入ろうと思います。実は、皆さんへプレゼントがあるんです。」
「プレゼント?」
「ボク達にもある?」
「勿論、リーアとミアにもあるぞ。」
無限収納から魔力銃とベルトと金具を取り出して種類を合わせながら全員に配っていく。テイルにはベルトと金具だけだ。
「これは何ですか?」
「何か分かるか?」
「見た事無いな。」
「銃っぽくないか?」
「ティムさん正解です。これは魔力銃、と言って、魔力の塊を撃つ事ができる道具です。」
「ボクのとタムさんのと、形が違うよ?」
「うん。戦いに方に会わせて、種類を変えてる。リーア、ミア、イディアさんのは、飛距離は短いけど連射出来るやつで、後の四人は飛距離と威力に重きを置いたやつです。」
タム兄弟の戦闘を見た事が無いから分からないが、移動中の動きを見ても、イディアさんの様に素早く動き回るタイプではなさそうだった。飛距離タイプで良いだろう。
「流石ハルカさんですね。私達の事を考えてくれている。」
イディアさんが感心したように言う。そりゃあ、街の運命が掛かっていますから。
「一応結構な量の魔力を貯めておきましたが、明日も追加します。当日使う時、弾は有限だと思ってください。」
「でも、なんで急に銃なのよ?獣人の皆は素手で戦うじゃない。」
テイル、分かっていないな。俺が色んな種類の魔物と戦ってきたからこその考えだというのに。
「魔王軍の部隊の中には、物理攻撃を無効化する奴が居るかもしれないだろ?そういう時の為だ。」
「なるほどねー。」
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