98.お買いもの
祝100部目!・・・ではありますが、100日目でも100話目でもありません。
今後もよろしくお願いします!
依頼の達成報酬と素材売却で10700シェルの儲けだ。無限収納内の残高は91820シェルになった。確かグルシュ王国の王都ヴァシリアで魔力銃を買った時は、一丁17000シェルした。マズい。足りないかもしれない。・・・ま、まぁ、買えるだけ買ってくるか。
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ナシヤットの武器屋といえばやっぱりここだ。というより俺がここ以外の場所を知らないだけだが。こういう個人経営っぽい小さい店の方がぼったくったりしないものだ。
「いらっしゃいませー。」
「すいません、魔力銃って売っていますか?」
「魔力銃ですか?それでしたら───って、ハルカ様!?」
おっと・・・これは予定外の反応だ。まさか街中に俺の似顔絵でも配られているのだろうか。指名手配犯か、俺は。
「あの、普通に買い物をしに来ただけなので・・・」
「え!?あ、はい。えっと、魔力銃でしたら、こちらになります。」
店員さんがレジから出てきて置いてある場所まで案内してくれた。
「どちらの型をご所望ですか?」
2種類の魔力銃を出してくれた。一方はさっきテイルに渡したものと同じだと思う。
「えっと・・・どう違うんですか?」
「こちらは、威力と飛距離を重視したものです。こちらは、連射が可能ですが、威力はそこまで出ません。」
テイルに渡しているものは前者の方だ。テイルは飛距離重視のままで良いだろう。タム兄弟もそっちの方が良いだろうか。イディアさん、リーア、ミアは恐らく戦場を掛け回りながら隙間時間に撃つ感じだろうか?こっちの三人には連射式を買っていこう。
「えっと、両方三丁ずつ欲しいんですけど、予算が少なくてですね・・・91820シェルに収まりますかね?」
「三丁ずつ六丁ですね。15000×6=90000シェルですね。で、ですが、ハルカ様には少しおまけしまして・・・そうですね、半額にしましょう!45000シェルになります!」
おい、ヴァシリアで2000シェル多く取られてるぞ。しょうがない。流石は都会といったところか。それにしても、半額?俺の聞き間違いじゃないよな?
「え?い、良いんですか?」
「はい!ハルカ様なら!」
「ありがとうございます。あ、でしたら、魔力銃を腰に着けるためのベルトも良いですか?」
「ベルトですか。───こんな感じの物で良いですか?」
ベルトと金具のセットを出してくれた。あれなら魔力銃もくっつけられるだろう。
「こちらは1セットで1100シェルで売らせていただきます。6セットでよろしいですか?」
「あ、7セットお願いします。」
「分かりました。では、52700シェルになります。」
思っていたより相当安く買う事が出来た。これはラッキーだ。無限収納からお金を出して、お支払い終了だ。さて、帰って皆にこれを渡すか。
「あの、ハルカ様!最後に・・・サイン、良いですか?」
「サイン・・・?」
「はい!店の評判も上がりますし、できたらで良いんですが・・・」
「サービスしてくれましたし、良いですよ。俺なんかのサインで良いなら。」
「ありがとうございます!」
地球でも良く見た、有名人がサインを書く色紙みたいなものとペンを渡されたので、この世界の文字で少し崩しながら書いてみた。少し崩したのは、格好良く見せるためと、上手く書けない事を隠すためだ。
「ありがとうございました!店に飾らせていただきます!」
その時、ふとレジの上の方にある色紙が目に入った。そこに書いてある文字は・・・ニ、コ、ラ、ス、フ、ォ、-、ス、タ、ー、ニックかい!いや頑張って読んで若干損した感がある!いやニックかい!
ギルドに戻る途中、見覚えのある後姿が見えた。特徴を上げるとしたら、小さい二人。ケモミミと尻尾。
「おーい、リーア!ミア!」
「ん?あ、ハルカさん!」
「んあ?ファルア?」
「リーア、口の中の物をとりあえず飲み込め。」
「ごくっ、ん。ハルカ、やっほ。」
「何してたんだ?何か買い食いできるようなものあったっけ?」
「うん。あっちの方にグレイバス焼きの屋台が出てたよ。」
グレイバス焼き?覗いてみると、二人が持っている紙皿の中には、タコ焼きが乗っている。いや、そのまんますぎる。
「ハルカさん、一個食べます?」
「え?良いのか?」
「もともとハルカさんに貰ったお金ですし。」
「それじゃ、一個貰おうかな。」
一つ摘まんで口の中に放り込む。外はカリカリ、中はとろとろ。口の中に広がるソースと美味しい生地の味。グレイバスの良い弾力と・・・あぁ、美味い。そして懐かしいな。
「あっ!」
「ハルカさん!」
「ん?どうした?」
「熱くなかったですか?」
「うん。まぁ、大丈夫だったぞ。」
「なら良かったけどさ・・・」
え?狼の獣人って狼だから猫舌じゃないよな?それとも猫舌なのか?それとも俺の感覚がおかしい?
「ボクたちはギルドに帰るところだけど、ハルカは?」
「俺も帰るところだ。二人に会えて丁度良かった。皆を一回集めようと思ってな。」
「何かあるんですか?」
「ん?ま、お楽しみだ。」
ギルドに着き、タム兄弟とイディアさんを呼びに訓練所に向かう・・・と思った時、俺に向かってくる人が一人と、人影がもう一つ。
「やっほー、ハルカ君。元気してた?」
「あ、ソフィアさん!お久し振りです!」
「久し振りだね、ハルカ様。」
「ちょ、辞めてくださいよ!本当に恥ずかしいんですから・・・」
「ハハハッ、いや~、短期間で急に大物になったね~。」
「俺としては訳分かんないですよ。あの支部長、暴走しましたね?」
「そうだね。ほら、私以外にももう一人、久し振りって言ってあげなよ。」
「そうですね。リリー、出てこいよ。この二人は俺の友達だから、緊張しなくても大丈夫だぞ。」
俺が床に向かって声を掛けると、ゆっくりと、知り合いの冒険者が姿を現した。
「えっ?今この人、床から?!」
「よっ、リリー。久し振り。」
「う、うん。久し振り、ハルカ。」
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