1.転生したらしい
初投稿ですが温かい目で見て頂けると幸いです。
俺の名前は橘遥。ごく普通の高校二年生――だった。なんで過去形なのかって?それは俺も聞きたい。ただ一つ言えることは、俺は死んだはず、ということだ。
だがここで問題が生じている。俺は下校中に、道路を歩いていた猫を庇って車に轢かれた記憶がある。それなのに、今俺は生きている。いや、生きていないのかもしれないが、ここは病院ではない。街中だ。それも、日本ではない。
「夢・・・じゃないよな・・・」
頬をつねってみると―――痛い。というより、体は俺の意のままに動くし、感覚もある。
周りを見渡すと、自分は道の真ん中に立っているようで、道沿いに建物が連なっている。
「って、うおぁ!?」
なんで急に驚いたのかって?誰だって驚くだろうさ。だって、耳と尻尾のついた人が普通に歩いているのだから。
いや、よく見ると、そこらじゅうに動物が歩いている。しかも、それが当たり前かのように馴染んでいる。
「獣人・・・か?つまり、これって、異世界転生ってやつーーー!?」
周りの人がこっちを振り向く。いや、当たり前だ。道のど真ん中で急に叫ぶやつとか、おかしいだろ。恥ずかしいので、とりあえずどこか逃げたい。
ふと、視界の端に看板が見えた。店、だろうか?とりあえず、あそこに入ろう。
――――――――――――――――――
さて、何かの店と思わしき建物に入ってみたわけだが・・・剣や盾が並んでいる。武器屋か?
店内にはレジのようなカウンターと沢山の棚がある。また、剣が無造作に入れられた箱が数個。壁には高そうな剣や盾が掛かっている。
こういうものがあるということは、よくある異世界の感じだろうか?魔物とかいるのかな?
もし魔物などと戦う必要があるような世界なら、俺も装備を買う必要がある。―――そもそも俺の初期装備ってなんだ?
まずは今着ている高校の制服。そして鞄の中には、数冊の教科書とノート、筆箱、空の水筒、700円ぐらい入った財布、そしてスマホだ。
「やっぱり圏外か・・・」
一応確認してみたが、やっぱりスマホの電波は飛んでいない。お金もどうせ使えないだろう。
「あとは文字と言葉か・・・そこが一番重要なんだよなぁ・・・。」
文字は覚えればいいが、言葉が通じないと大変なことになる。この店の店員とか居ないのだろうか。そんなことを思いながら店内を見回していた。
「あら?いらっしゃいませ。すいません、全然気付きませんでした。」
「あ、店員さんですか?」
「はい。この店の者です。」
店の奥から出てきたのは、自分より少し上ぐらいの女性店員だった。というか、言葉は通じた。ちなみに文字についてだが、棚や、壁の武器の隣に書いてある、みみずが這った跡みたいなものが文字ではないと祈ろう。
「なにか、お探しですか?」
「いや、特に何かってわけじゃないんですけど―――そうだ!このお金って使えますか?」
そういって、財布の中から小銭を出して見せてみる。
「・・・いえ、このような物は、この国では使われておりません。どこか他の国の方ですか?服も珍しい形ですし。」
「あー、まあ、そんなところです。遠い所から来たので。」
さすがに異世界などとは言えないだろう。とりあえず遠い所、としておくが、これはまずい。お金が使えないとなると、今日中に早く稼いで、食べ物を買わなければいけない。
「一つ聞きたいのですが、この国でお金を稼ぐ方法は・・・?」
「稼ぎ方、ですか?どの国もほとんど変わらないと思いますよ?冒険者として戦うか、特別職ならそれだけでも生活できるだけの収入はあります。私は【商人】なのでお店を開いています。」
なるほど。やはりこの世界は戦って稼ぐ仕組みのようだ。特別職、というのもあるらしいが、そもそも俺は自分の職業知らないしな。
「その、職業は、どうやって決まるんですか?」
「17歳で行う、成人の儀式の時に決まりますけど・・・」
なるほど、この世界の常識を早く覚えないと大変な事になる、ということは分かった。それにしても17歳で成人か。俺もなれるかな?
「その、成人になるには、どういった手続きが必要なんですか?」
「17歳になれば、教会でいつでも儀式を行えますが・・・そんな常識も知らないなんて、あなた、大丈夫?」
「あ、大丈夫です。ありがとうございました。」
最後のほうは店員と客というより、年下のおかしな人を心配するお姉さんになっていた。
なるほど、教会か。とりあえず教会に行こう。
更新スパンはバラバラになると思います…
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