結惚れ
人間だから、
怒る、恨む、憎む、愛する。
そして、
朝、
顔を洗って、
鏡に映る自分をみれば、
発見する。
自分も相手も、
人間だから、
怒る理由もある、
恨む理由もある、
憎む理由もある、
愛する理由もある。
そして、
それは人であるかぎり、
言葉にしなくとも、
ただ息をしているだけで結ぼれて、
お互いに伝わってしまうものだと。
それこそが、
霊子が持つ特性の一つ。
だからこそ、
霊子を持たないペイガンに欠けたるところ。
「みえる?」
「ええ」
ノーラは幽霊になったレムの力を通して通りの景色を視ていた。
今、彼女には、
空気中にキラキラと輝く粒子の帯が人々を網の目のようにつないでいる様子がみえている。
「光帯が私たちが世界中に苦労して張り巡らした霊子ネットワークです」
「へーーー、あれが勝手に私たちの脳をハックしているの」
「ハック、じゃなくて、彼らの安全に役立っているんですけど」
二人は商店街を歩いていた。
「それにしても、あの電車の終点が地上につながっているなんて」
ノーラは少しあきれた顔した。
「もっと早く教えてくれればよかったのに」
「言おうと思ったんですが、寝てしまわれたので、言いそびれました」
あれから、
一週間が経っている。
あの全面核攻撃があったのに、
世界は例年通りに正月気分を終えていた。
「もっと大騒ぎになってるとおもったのに」
とノーラは拍子抜けしていたが、
それこそが霊子の効用の一つです、
とレムは説いた。




