あなたは「%$&%$%%$&」人ですね、ちがいますか?
「あー、どうしてもう、こうなんだろ」
金髪碧眼の少女はこう叫んだ。
僕の隣に座って、
鶏肉を口にしている。
「これ、中華料理の味がする」
「あぁ、それもレムが洒落のつもりでやったんだと思う」
「レムって、あなたよね」
「まぁ、そうともいえる」
ノーラがフォークを握りながら、
顔を近づけてくるから、
節子がいった。
「どちらのノーラさんですの?」
「あ、こちらは今ここに核攻撃をしている方々の代表者の娘さん」
「違うわ。あんな単純で短絡的で乱暴で、ゴキブリみたいな人たちと一緒にしないで」
「よくわからないけど、でも、君の名前はノーラ・コロドスだろ。で、母親は元国連事務総長」
「こいつに、国連は関係ない」
フォークに刺さった肉で真っ白な空を指し示した。
「反対したのよ。で、あなたたちと交渉するつもりで入り込んだら、この有様」
と自分の服をつまんだ。
「これって、ちょっと酷くない?」
「随分とアンティークだけれども、僕は嫌いじゃない」
「そう?」
ノームは真剣に悩みつつ、鶏肉を頬張った。
「それで、何のご用件でしょうか、私の夫に?」
怒気を含み始めた口調でも優しい声で節子が言う。
「お昼ご飯を運んきたのよ」
「それはありがとうごさいました。用事は済んだようなので、お帰りください。私たちは、これから初夜ですの」
「いいわ、気をつかわなくて。あたしも迎え待ちだし」
彼女は鶏肉を噛みながら言うので、
トマトソースがソファーに落ちる。
「これ、美味しいわ。うちのエーバリーの料理より全然上手い」
「しゃべるか、食べるか、どちかにしたら」
「そうね、子供にしかられちっゃた」
からかわられているのか、これが素なのかしらないが、僕は上空をみつめた。
レムがいってきていた。
次が最後ですが、これ、ツァーリですよ。
僕も入るね。
そのほうがよろしいですね。
「ねぇ、眠くなっちゃった」
節子の太ももに頭をのせながら、
「あとは二人で仲良くして...」
眠りにつく。
「あなた、いってらっしゃいませ」
節子が頭を撫でる。
「あら、やっぱり、子供ね。でも、食べてすぐ寝たら、太るよ」
「ご心配無用です。太った主人も素敵ですから」
「そう、健康に悪いわ」
ノーラはフォークをおいた。
「この、なんだったけ、そう、思い出した。レイシネットワークというの、やめて」
「無理です」
「人の脳を勝手に使うのは良くないよ。だから、こんなに怒ってるんだけど、わからない?」
「私は「無理」だと申し上げました」
「無理って? 不可能、って?」
「そうです。なぜなら、ペイガンは、そのように作られているからです」
「つくられてるって? ペイガンて呼び方もやだけど、同じ人間なんだよ?」
「今、地球上にいる人間は、このアカーシャにいる者だけです。地上にいるのは、人間ではありません」
「あなた正気? じゃ、私も人間じゃない、てこと?」
「ノーラさんは今、アカーシャにいますから、人間です」
「ごめん、わかるように説明してもらっていいかな?」
節子は僕を抱きかかえた。
「ペイガンとは、心をもたない人型生物」
「人型生物?」
「心を持つ人間とは全く違う、論理演算を基にした作業をするためだけの動物がペイガン。ですから、霊子ネットワークからは外れません」
「何言ってるの? よくそんなひどいことがいえるわね!」
「はい。それは私がペイガンだからです」
「何言ってるの?」
「ノーラさん、大丈夫です。そうやって怒れるあなたは人間ですから」
「何言ってるのよ!!」
空が真っ黒になり、
暗闇は菜の花畑を侵食して、
三人を包み込んだ。
人類史上最大の核爆弾が仕事をした瞬間だった。




