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クライオニクス

BGさんの提案してきた「代理人」は単純といえば単純だったが、

その規模の壮大さは宇宙規模だった。


簡単に言えば、

地球という生態系を演算装置として組み立てて、

僕の代理人にする、

という話だ。


その代理人用ソフトの完成まであと三年。


その熟成に実に百年がかかるらしい。


その間、

僕は人体冷凍保存術(クライオニクス)で眠りにつけばいいという提案もついてきた。


すでに今の段階でも、

アメリカ、アリゾナ州にある施設では百人以上が冷凍保存されているそうだ。


摂氏マイナス79度で保存することで、

人体の化学反応は完全に停止し、

永久保存が可能になる。


中には断頭状態(ニューロサスペンション)を選択する人もいて、

頭部だけが冷凍保存され、

解凍後、

ドナー・ボディとの身体移植による再生を夢見ているそうだ。


余談だけれども、

プレパレーションと言われている、

異なった動物の頭と胴体を結合させて、

ハイブリット生物を誕生させる研究は、

1970年代から実際に行われている。


僕としては、

将来、

僕の頭が他の動物や体と結合されるのは想像したくないので、

やるなら全身保存だと思ったが、

BGさんへの返事は保留した。


今の僕には節子との逢瀬が生きる目的になりつつあったからだ。

彼女との関係が僕に不条理な夢を減らしてくれたからだ。


BGさんは、

それでいい、

と言ってくれた。


僕はBGさんが予知夢をみなくなりつつある僕に興味をなくしつつあるのかなとも思ったが、

もしかしたら、

僕が関係なくとも、

こうした演算機械の構築は進むのではとも考えた。


現実的に人間や生物の脳以上に効率的な演算機械はつくれそうにないなら、あるものを利用するのは人の素直な欲求だ。


でも、

それでもたどり着けない深淵を求めるなら、

そこは人の心をもったままでは入れない場所だとも理解できる。


計算では決してみれない未来があったとしたらだ。


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