八面六臂
階段を上がると、新しい警備員が地下3階から降りてきました。残り3個の小麦粉煙幕のうち2個を自分の足元に投げます。
「脱走者だ!!!地下3階に向かっているぞ!!!」
声を低くしてそう叫びました。
「騙されるな!!これは罠」
パンッッ!
拳銃で賢い警備員さんの頭を撃ちぬくと同時に地下4階と書かれた扉を開き急いで閉めます。
これで時間は稼げるでしょう。僕は接続ルームまで風のように走りました。
あぁ言い忘れていましたが、ここの警備は基本的に機械がしています。しかし今は僕の味方が接続ルームで機械をすべて止めているためかなり安全に進めています。
さぁ、この角を曲がると接続ルームです。
その角を曲がると接続ルーム前に血濡れた女が立っていました。僕の味方の食事係りの女です。
「ぁぁあぁ、会いたかった、逢いたかった、りゅうちゃん」
僕は一年でパソコンを、改造してさまざまなスキルを政府に気づかれないように習得してきました。
「ああ、僕も会いたかった、こうやって喋りたかった、母さん。」
そのスキルのうちのひとつが洗脳です。
僕は彼女に僕が息子だと思わせて味方にしました。
彼女は、パンの中に地図や拳銃の部品など必要なものを入れてくれました。情報交換の仕方は、彼女がパンの中に紙を入れて、僕がトイレの中で返答を書き、嫌いな振りをしていた、ブロッコリーの下に入れました。
とりあえず僕は泣きそうな振りをして彼女に抱きつこうとしましたが、
「ダメよ、りゅうちゃん、泣くのはここを出たあとよ」
彼女は泣きながら僕の手を優しく握り走りました。