7話 服と呪いとボク
――俺の中に魔神核がある。
魔核ならまだ理解出来るけど……魔物のドロップとか?神核やら魔神核なんて何の事やら……この世界、分からない事が多過ぎる。
魔神核っていう位だから魔核の上位互換とかだろうか。
なんて、驚愕の事実?を知らされたその後、リリムは俺が着れる服が無いか探しに行くために街へ行ってくると言って出掛けていった。
俺は呪いのせいで未だにトランクス一枚、上半身は裸なのだ。
エルフなのに人に見つかっても大丈夫か聞いたら、ダークエルフに変身するからって言って化粧していたから大丈夫だろう。
あれも魔法って言うのかな……
この世界にはリリムの他にエルフはいないけど、ダークエルフは普通に居るらしい。
エルフには神核、ダークエルフには魔核があるからだそうだ。
折角、異世界に来たのに美少女エルフに会えないなんて……理不尽だと思う。
今は、する事も無いのでリリムのベッドに横になっている。
くんくん……布団からリリムの甘い匂いがしてイケない気持になってしまう。
……ちょっとヤバかった。俺は、まだあっちの世界に行く気は無い。
俺は、リリムが言うには魔神核を宿す者に該当するらしい。
それが、狂信派に殺されかけた原因ではないかと言うのだが……
リリムには言っていない原因……俺が勇者であるという事が狙われた直接の原因だろう。
ミルラルネ達は『勇者を召喚すると神気の濃度が改善する』って言っていた。
それは濃度を増やすという意味だろう……増やせば神の力が増す?
それって狂信派と言っている事が逆じゃないか?って事は……ミルラルネは穏健派?
穏健派に生贄にされかけて狂信派に暗殺されかけた俺って……最悪だな。
暫くリリムの香りの中でまどろんでいると、リリムが買出しから帰ってきた。思ったより早かったな。
「ただいま!アリマ 服買って来たんで試してよ」
リリムが元気良く大きな木の家の扉を開く。
「悪いな リリム……俺、お金も無いし、裸じゃ外も歩けないし……」
「いいんだよ ほら 着てみてよ、安物ですまないけど……」
「その気持ちだけで充分」
着れるか分からないしな……
リリムが買ってきてくれた服は……
薄手のチュニック 膝丈まであるリリムが着ているようなやつだ。
ライトプレートアーマー 胸と腕を守るだけの鎧だな。
ボロの皮靴 皮と木で出来た靴だ。
フード付きマント グレーのマントだ。これを羽織れば雨も大丈夫?
俺は、取り敢えず一つずつ試着してみることにした。
薄手のチュニック……腰の帯で縛るっと……よし……着れたぁ。
「着れたよ!リリム!ありがとーうぅ!これでお揃いだよ」
「大袈裟だなぁ……これは普通にみんな街の人が着てる服だし……」
とは言いつつも、リリムは満更でもない様子で頬を朱に染めている。
残りのライトプレートアーマーとボロの革靴、フード付きマントは、ライトプレートアーマー以外は着ける事が出来た。
呪いの効果がどこまであるのか心配だったが、取り敢えず普通の服は着れる事が分かったのでひと安心だ。
鎧のような体を守る装備は着れないんだよな……でも制服は何でダメだったんだ?制服に凄い効果が付与されてたとか?
考え過ぎか……なわけ無いよな。
ひとまず服の心配はなくなったけど、防御が出来ないのは痛いな。
その分、攻撃に回して……武器とかあった方がいいよな……その前に基礎体力の強化しとかないと……雑魚キャラにやられて死ぬよな……はぁ……まず呪いを解きたいな……
俺がこれから先のことを考えて消沈していると、リリムが心配して顔を覗き込んできた。
「アリマ……もし、キミが良かったらだけど……ボクと一緒に此処で暮らさないか?」
「んん?え?」
えぇ!?いきなりのプロポーズ??
「今のままのキミの体では、旅をするのは無理だし」
嬉しいんだけど……男の子なんだよな?
でも呪いの事もあるしな……このまま森で魔物?いるか分からないけど……とか盗賊なんかに出くわしたら一発でデッドエンド間違い無しだ。
「……」
「記憶喪失なのも気になるし」
ま、記憶喪失なんて嘘だけどな。
「リリム……」
「アリマ、此処にいれば……ボクならキミを守れるし」
リリムのその熱い眼差しは、俺の心に一つの灯火を与えてくれた。
リリムが天使に見えるよ……
「暫く……厄介になっていいか?」
今の俺には、リリムに頼る以外の選択肢は無かった。
「もちろん!」
……そんなこんなで俺は、リリムの家でしばらくの間、お世話になる事になったのだった。