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40話 封魔の光

 翌日になり、捕らえた盗賊の尋問が終わったというので俺とパーラは衛兵詰所まで来ていた。

 盗賊の所属は封魔の光といって亜人排除を教義とする団体で、リリアス教国を主な活動拠点としているという。


 目的はルリアナ姫の誘拐と見られていたが…… そう簡単な問題では無いようだ。


 衛兵のサルマンが出してきたのは黒いネックレス……いや首飾りだった。


「これは封魔の光の一人が持っていた物だ」


 サルマンはそう言うと黒い首飾りをテーブルの上に置いた。


 テーブルは木を合わせて作った会議机のように大きな物で、ここは作戦会議等に使われているのかも知れない。


「これは?」

「こいつは……呪いの首飾りだ」


 ――呪いだって!?


「封魔の光のメンバーを尋問して分かったのは、リリアス教国第5教女ルリアナ姫にこの呪いの呪具を付けさせ呪わせるのが目的と言う事だった……」


「何か問題でも?」


「この程度の呪いならリリアスの教会に行きゃ解除出来るんだわ。 一般人には高額だが相手は一国の姫だからなぁ……」


「だったら呪いは特に問題ないんじゃないか?」


「ただ……呪いの首飾りの出処に問題があってな」


 サルマンはそう言うと苦虫を噛み潰したような顔をして呪いの首飾りを手に取った。


「出処ですか……」


「その出処ってのがリリアス教国指定魔法具店の『封印の館』だってんだ」


「封印の館?」

「何故そこの店の商品だと分かったのですか?」


 パーラは見つめていた首飾りから目を離し、サルマンを睨みつけるなり、身を乗り出して聞いてきた。


「販売時のタグが付いたままになってたんだ。ほれコレだ」


 サルマンが首飾りに付いた小さい木片を指し示す。


 ――そこには見覚えのある紋様が描かれていた。


「これは……」

 俺の左腕に癒着している呪いの腕輪の文様に良く似ている……。


「……パチェッタの紋章」


 パーラは何か知っているのか? 紋章?


「いえ…… まさか彼女が関係しているとは考えられません」


「うむ オレもそう考えている。あからさまにタグを付けているのも怪しいが、この手の呪具は王家やそれに準ずる者にしか販売出来ない規約があり、一般販売はされていないんだ」


「では……王家に近い何者かがこの呪いの首飾りを入手し、封魔の光を使って姫を呪わせてからその罪をその販売店の店主に着せようとしているとか?」


「その線も考えられるが……実はここ最近この手の事件が多くてな……狙われるのは貴族の娘とか金持ちが多い。しかし、教会へ行けば高額な解呪料が必要だが簡単に解ける呪いなんで被害届が出ない場合が多い」


「教会というのは? エリス聖教だっけ?」

「いや、魔神教の教会だ。リリアスは魔神信仰国だからな」


 ……そうだったか。


「その教会と販売店が結託して呪いの呪具の供給と解呪を行っているとは考えられないのか?」


「汚職か? それは無いだろう。店主は小人族だ。亜人を嫌う封魔の光とは接点が無い」


「だとすると……逆に封魔の光は汚職をでっち上げようとしている?」


「封印の館の店主は小人族だから…… 亜人を狙う封魔の光に狙われる理由はあるか」


「教会への攻撃と亜人の排除を同時に行えると――」


「そうだな…… それが奴らの狙いかもしれん。その線で尋問を続けよう」


 でも……店主が亜人ってリリアス教国は人族のみの国じゃなかったか?


「そういえば……リリアスには亜人はいないって聞いたんだけど」


「そうだな亜人の入国は基本的に禁じられている」


 え? じゃ……俺達は入国出来ないじゃん?


「だが……リリアスは魔神信仰国だ」


「あ……」


 ――そうか。


「その店主の名前はパチェッタ…… 大魔呪術師、魔神パチェッタです。私達の目的はそのパチェッタに会う事……」


 それまで沈黙を守っていたパーラは神妙な面持ちでそう言った。





 ここまでお読み頂きありがとうございます。


 もうすぐリリアス教国編に入りますが…… ストック切れなのと忙しくなってきましたので今後は不定期になります。

 ストックが溜まりましたらまた毎日更新出来るようにしたいですが、とりあえず週1回以上の更新を考えています。

 

 

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