39話 レヴィナスの効果
「良い湯だったな」
「そうですね……」
温泉から帰った俺は、気怠い余韻に浸りながらユグドラで作ってもらった剣の事を考えていた。
2本の片手剣のうち、白い方は聖剣レイボルグとした。理由は魔力を流すと神力も要求してくるからだ。プリステラが覚醒した時の感覚に良く似ているので聖剣と言うよりは魔神剣という呼び名の方が合っているのかも知れない。
次にもう一振りの片手剣だ。試しに魔力を込めてみるとレイボルグのように神力は要求されないのだが……魔力の吸収力がレイボルグより強い。
魔力の許容量もレイボルグより上か……。
俺はこの剣に魔剣ブラキアスと名付ける事にした。
……ただこの2本の剣は、俺が使うには強力過ぎるので封印する事にして普段は短剣の方を使う事にした。この短剣にしたってオリハルコン製なので十分戦力になるだろう。
それから暫くステータスを確認していない事に気が付いたので、自分の現在のステータスを確認してみる事にした。
名前 アリマ・ミノル
推奨階層レベル 1
攻撃力 65
防御力 0
体力 55
敏捷 54
魔力 6030/10000
神力 5350/10000
拡張ステータス
耐性 無し
特殊能力 錬金
祝福 女神の祝福
加護 絶対防御不能(呪)
コメント 防御力が無いので危険です。
うーん……相変わらず防御力はゼロだけど、若干攻撃力と体力は上がったような気がする。
でも魔力と神力の現在値が多すぎないか? 何かの原因で回復力が向上したとか……。
原因といってもなぁ…… 仲間が増えたぐらいしか考えられないけど。
「どうしたのじゃ?」
俺が布団の上で寝ながら考え事をしていると浴衣を着たレヴィナスがやってきた。
俺も浴衣は着る事が出来たので浴衣姿になっている。
「いや魔力の回復が異常に早くなったんで……」
「それなら我の魔力のせいじゃろうな」
そう言えば……ユグドラ鉱山での魔物は魔素が濃いから発生したんだな。その魔素の濃い原因が白古龍だったならば……。レヴィナスの漏れ出た魔力いや魔素が俺の回復を早めているというのか?
「そうか…… 魔力の回復が早くなったのはこれはレヴィーのお蔭なのか」
神力まで回復しているのは俺の能力補正という事かな……。
レヴィナスが仲間になった事での思わぬ収穫に感動してしまい、俺は思わずレヴィナスに抱き付いてしまった。
「レヴィ―!ありがとう!これは凄いよ!」
「ふふん 我を嫁にして良かったであろう? 旦那様よ」
レヴィナスはドヤ顔で上から目線だが、これで試したい事が実行出来るんだな。
――そう 魔神の覚醒だ。
早速、俺はリリムの寝ている布団に近寄るとリリムを呼んでみる。
「……リリム寝てるか?」
「いや……まだ起きてるよ」
リリムは起きてると言っているが目は瞑ったままだった。
「よし、そのまま動かないでくれ」
「? 何をするんだ?」
俺はリリムの寝顔に軽くキスをする。
「キスだよ」
「!*~? ……な……何をしてるんだアリマは!?」
覚醒しないな。濃厚な接触の定義にはまだ届かないという事か?
「いや 濃厚な接触をしようかと」
「え? ここで? みんないるんだよ?」
そこにレヴィナスが抗議の声を上げた。
「旦那様よ! 我と言うものがありながら他のメスと接吻するとはなんじゃ?」
やばい……レヴィナスには説明してなかったな。
俺はレヴィナスに事情を説明すると、レヴィナスは落ち着いて聞いてくれた。
「旦那様の能力が魔神の覚醒で、能力を使うには接吻が必要じゃという事じゃな?」
「そう言う事だ」
「良いじゃろう ……じゃが我とも接吻するのじゃ」
「……分かったよレヴィ―」
結局レヴィナスにも軽くキスする事になり、この日は覚醒実験を諦めて次の機会にする事にしたのだった。
ここまでお読み下さりありがとうございます。




