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35話 地竜

 プリステラが地竜を人化させ戻って来ると…… プリステラは全裸の小さな可愛らしい幼女を連れていた――。


 地竜と思われるその可愛い幼女の髪の色は紫で目は俺と同じ黒。癖のあるボサボサの髪は肩まで伸びていて……唯一竜の証としてレヴィナスよりは細くて小さい尻尾をその小さいお尻から生やしていた。


「子供だな……」

「子供ですね……」

「幼竜じゃな」

「うわー可愛い!ねぇ名前は何て言うんだい?」


 リリムがその幼女の名前を聞くと、その可愛らしい幼女は少し戸惑っていたが…… 少し考えると意を決したように答えてくれた。


「あう……アリシアなの」


「アリシアちゃんか 言葉は話せるんだね」


「少しは……分かるの」


「俺達の名前は分かるか?」


 アリシアが話せる事が分かったので俺は名前を名乗っても良いのか考えたのだが……取り敢えず俺達の名前を認識しているか確かめる事にした。


「ありま…… りりむ…… ぱぁら…… ぷりてら……」


 アリシアは俺達を指さしながら名前を答えていたがレヴィナスの前で止まって首をかしげている。


 アリシアはレヴィナスとは初対面か……知らないのも無理はない。


「我はレヴィナスじゃ」


「れびー?」

「レ・ヴィ・ナ・スじゃ!」

「れびーあす!」

「あーもう! レヴィーで良いわ!」

「れびーなの!」


 レヴィナスは確かに言いにくい名前ではあるのだが……。


「これで全員覚えたな?」


「……うちも省略形なんやけど?」


 プリステラがなんか抗議しているが気にする事は無い。


「ぷりてら! 助けてくれてありがとなの!」


 アリシアはプリステラに抱き付いてお礼を言っているが、ゴブリンロードにやられた時の事を言っているのだろう。


「か……かぁいらしいから ……プリテラでええよ」


 結局プリステラもアリシアの可愛さに陥落したらしい。


「しかしなぁ…… 俺達はこんな可愛い幼女アリシアに竜車を引かせていたのか?」


 これが日本だったら労働基準法に抵触するよな? ……でも竜だと適用範囲外か?


「全くです!アリシアちゃん……もう大丈夫よ」

「子供に引かせるなんて酷いよ」

「地竜は成長が速いといっても人から見れば長生きじゃからの」


 まぁ…… とにかくだ。

「これからよろしくな! アリシア」


「はいなの!」


「そうと決まれば!アリシアちゃんの服着せてあげないとね!」


 リリムが張り切っているので俺達はこのままアリシアの服を買いに行く事になったのだが…… アリシアの着せ替えファッションショーになったのは言うまでもないだろう。


 結局アリシアの服はレヴィナスとお揃いで色違いのワンピースとなった。

 レヴィナスが水色でアリシアは薄い桜色だ。胸の大きさが全く違うので同じ服には見えないのだが……。



 ――――――



『皆しっかり掴まっておるのじゃぞ』


 その後、俺達はレヴィナスの背に乗せてもらい次の街レノールへと出発した。


 竜車だとユグドラからレノールまでは峠越えをするので4日はかかるという事だったが、レヴィナスに乗せてもらっているので半日もすればレノールに到着するらしい。

 さすがは白古龍ホワイトエンシェントドラゴンって所だな……。


 レヴィナスが人化を解いて龍化する時に服を脱ぎだしたのには冷や汗ものだったが……。

 着たまま龍化してしまうと破れてしまうから仕方がないとか言ってたな。


 流石に白古龍のままレノールに降りる訳にはいかないので、レノールの手前で降ろしてもらい徒歩で街に入る事になるだろう。


 絶景の白竜峠を越えると遠くに大きな湖が見えて来た。


「……うみなの?」

「あれがシールヴェン湖だよ」


 巨大な湖に圧倒されているとリリムが湖の名前を教えてくれた。


「大きな湖だな まるで海だ」

「あの湖の中心にリリアス教国のある湖島があるんですよ」

「湖島と言うても大きな島やけどな」


 ふと、折角空を移動しているんだからリリアス教国に直接入る事も可能じゃないかなと思い聞いてみる事にした。


「このままリリアス教国に入るという事は出来ないのか?」

「リリアス教国は魔神封印の地でもあって魔法大国ですが流石に白古龍では警戒されて攻撃されてしまうでしょう」


「そうなるのか」


 俺達は暫く空の旅を堪能していたのだが…… レノールの街へ続く街道沿いに一台の竜車が停車している事に気が付いた。


「あの竜車……」

「盗賊に襲われていますね」

「あん装飾は……リリアス教国ん王族の者やな」

『で…… どうするのじゃ?』

「おいおい…… 助けるしか無いだろ? そこへ降ろしてくれレヴィナス!」


 そして俺達の乗った白古龍は、盗賊に襲われているとみられる竜車の頭上へと舞い降りる事になるのだった。




 いつもお読み頂きありがとうございます。



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