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28話 アルトナー商会

 プリステラから貰った錬金の能力は思っていた以上に凄い能力だった。

 俺はこの能力でダイヤと白金の錬成に成功したのだ。


 プリステラはちょっと…… いや、かなりショックを受けていたようだ。


 何せ家のレンガにも使われている白色鉱石から白金が出来たし、暖炉や釜で使われている黒色鉱石から宝石が生まれたりしたら、誰でも驚くだろうが……。


 プリステラは昔、魔核を時間をかけて育ててから売っていたみたいで、簡単にお金が稼げる俺の錬金方法にショックを隠せないようだった。


「うちのやっていた事は何だったんや……」


 しかし、こんなに簡単に白金やダイヤが出来てしまうと価値の暴落を招く恐れがあるので、俺達だけの秘密にしようと言うことになった。


 今回は6種類の鉱石しか錬金していないが、世の中にはオリハルコンやらアダマンタイトなどの魔力に親和性のある鉱石が存在するらしい。鉱石が手に入ったら錬成してみたいものだ。


 採取してきた残りの鉱石の処遇については、白金やダイヤは高値で取引出来るけど沢山持っていても危険なので、ある程度錬成して残りは鉱石のままにしておく事にして、鉄や銅、金銀については錬成した方が軽くなるのと、鍛冶屋で武器防具を作るのに使えるので全て錬成してから運び屋パーラに預けておく事にした。


 採取した鉱石の処理が終わると…… 欲しくなるのはやはり(カネ)だ。何せ俺は文無しの貧乏人だからな。

 この街で売れる所は無いかとプリステラに聞いたら信用の置ける商会を紹介してくれる事になった。


「アルトナー商会?」


「うちが昔魔核を卸していた商会や。うちが保証人になればアリマはんの身なりでも取引してくれるやろ」


 そっか俺の格好は一般の町人と同じだ。高価な金銀を持ち込んでも信用出来ない。ましてや白金やダイヤだったら尚更と言うわけか。


 そして俺達は連れ立ってアルトナー商会にやって来た。リリムは見るからにお子様なので留守番として残ってもらった。今は俺とパーラ、プリステラの3人だ。

 拗ねたリリムには、あとで土産でも買っていった方がいいだろう。


 アルトナー商会はユグドラの中央を東西に貫く目抜き通りの中央に店をかまえていた。平屋建ての建物が多い中、アルトナー商会だけは石作り2階建ての神殿のような店構えになっていたのでとても目立つ。


「デカいな……」

「そうですね 立派な店構えです」


 店内に入ると店の中にはショーケースとか商品棚が並んでいて、雑多な商品がせせこましく並べられていた。


「いらっしゃいませお客様 何かご入り用ですか?」


 店の商品棚を眺めていると店員と思しき女性がこちらに気が付き、近づいて声をかけてきた。


「えっと 今日は買いに来たんじゃなくて……」


 女店員さんは肩で揃えた黒髪を花をあしらったデザインの髪留めで止めていて、ピッチリした清潔感のある紺の服を着ている。なんかOLさんみたいだ。ここの店の制服だろうか?


「買い取りですか? では店長をお呼びしますので少々お待ち下さい」


 女店員さんはそう言うと、カウンターの奥へと消えて行った。

 こう言う雰囲気って…… なんか緊張するな……。


 少し待つと店の奥から、紺の髪の毛を73に撫で付けた陽気な青年が現れた。


「やぁ お待たせしてすまないね。 僕は店長のマルコイ・アルトナー。 こちらが美人秘書の――」

「ラーシャです。25歳独身です」


 いや年まで聞いてませんが? ラーシャさん婚期を逃して焦っているのだろうか?


「どうも 俺はアリマ・ミノルと言います。今日は買い取って貰いたい品を持ってきました」


「――取引かい?」


 店長のマルコイは俺の服装を見て怪訝な顔をしている。


「こう見えてアリマはんは、うちのお得意様やて安心しいや」


「これはこれはプリステラ様、そういえば魔核の生産はお止めになったので? あれは人気商品でしたから取引先も残念がっていましたよ?」


「あれは手間がかかるって止めたんや」


「そうでしたか…… プリステラ様のご紹介という事でしたらお話しを伺いましょうか」


 俺はカウンターの上に売りたい物を一つずつ並べていく。まずは安い物からだ。


「ふむ…… 鉄に銅、銀とこれは金ですか……」


「はい」


「ちょっとラーシャ君、鑑定してくれるかね?」


 店長のマルコイに促され、ラーシャさんは俺の持ってきた金属を鑑定していく。

 重さを量って純度を計算しているのかな?


「!?」


「どうした? ラーシャ君」

「いえ…… 全て99%以上の純度です。間違いなく本物です」


 ラーシャさんとマルコイは目を丸くしている。何か問題あったか?


「いやキミ 素晴らしい純度の金属だよ!!」


「はぁ……」


「ただ……鉄と銅は鍛冶屋に売った方がいいだろう。この純度なら鍛冶屋で高く買ってくれるよ」


「そうですか」


「それから銀と金だけど こんなに純度の高い物は製造が難しくてね この辺じゃ手に入らない代物だよ この国のエリル硬貨でさえ96%の純度だからねぇ」


「な……」


 ちょっと精錬しすぎたか?


「これはどこで手に入れたんだい? やっぱりドワーフの国とか?」

「いえ 秘密です」


「ただし、少量なのが勿体ないな これなら銀の粒10個で50エリル 金だと10個5000エリルって所だな」


 金と銀は20個ずつ持ってきたから2倍で100エリルと10000エリルか。

 次に俺が出したのはパチンコ玉大の白金とダイヤだ。


「「これは!?」」


白金プラチナ金剛石ダイヤです」


 予想通りにマルコイとラーシャさんは声が出なくなるほど驚いている。


「…… あ ラーシャ君鑑定」

「は… はい! 鑑定します」


「!!!!!」


「どうした? ラーシャ君 結果を……」

「……凄いです 純度99%の白金も凄いですが…… この大きな金剛石……本物です」


「なんだって!? この巨大な金剛石が本物!? 金剛原石でもこんな大きい物は見た事が無いよ?」


「……で 鑑定結果は?」


 俺が鑑定結果を催促すると……。


「白金でこの大きさ純度なら1個で100万エリルは下らない。 低く見積もっても白金貨1枚だ」


「100万!?」


「それからこの大きな金剛石は値段が付かない いや高額すぎて値段が予想出来ないよ」


「――そんなに凄いんですか?」


「この金剛石を王家貴族の参加するオークションに出せば…… 白金貨1万枚以上の値がつくだろうね」


「「「えぇええええええええええ!?」」」


 結局売れたのは銀と金の粒20個で10100エリルと、白金10個で1千万エリルとなり、俺は白金貨10枚、金貨1枚、銀貨1枚を手に入れたのだった。




 アリマの現在の所持金 10,010,100エリル。


 貧乏生活から脱出成功!


 いつもお読み頂きありがとうございます。


 次回は鍛冶屋と武器屋になります。



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