表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/54

26話 アリマとリリム

 リリムが一人で俺の寝ている手術台の部屋に来た時には俺の傷は既に完治していて、少しだけリハビリが必要なくらいまで回復していた。

 

 リリムは確かに女の子だった。

 俺がこの目で確認したんだから間違いない。

 俺が男の子と見間違える程の小さな膨らみだったが…… 健気にもその頂きには少女と間違う事の無い小さな果実が実を結んでいた。


 リリムはプリステラと同じ事をして欲しいと言ったので俺はプリステラが俺にしたようにリリムを抱き寄せ、肌と肌を合わせた。

 そして…… 優しく壊れ物を扱うようにリリムの可愛く小さな桜色の唇に軽く口を付ける。


「ん……」


 時間的にはほんの数秒だったかもしれない。でも俺にはその数秒が時間が止まったかの如く長く感じられた。


 心臓のドキドキが止まらない。

 俺の胸とリリムの胸は互いに触れ合っているので俺の鼓動の音はリリムに聞かれているかもしれない。 リリムも同じ気持ちなのか、リリムの緊張が俺にも伝わってくるようだった。

 リリムの顔は紅潮していて、熱をもったエメラルドの瞳は俺をじっと見つめている。


「アリマ……」

「ん?」


「ボクも…… アリマが好きだよ」

「うん……」


「だから…… プリステラが先なんて嫌だったんだ」

「そうか…… 俺もだ」


「うそつき……」


「……」


「プリステラとしたんだろ? アリマ……」

「した…… というかされたんだけど…… キスまでな」


「え!? 最後までしなかったのか?」


「キスされた所で、俺の魔力と神力を根こそぎプリステラに持ってかれて……それ以降の記憶が無いんだが?」


「その時にアリマは気絶したのか?」

「あ…… その時になにかプリステラを覚醒するだのとか頭の中に浮かんできて……」


「それか…… アリマの能力は」


「プリステラを覚醒するか聞かれたんで リリムを助ける為ならばって「はい」って了承しちゃったんだけど…… 良かったのかな?」


「うん…… アリマのおかげでボクはこうして帰ってこれたんだよ」


「それは良かった」


「ありがとう…… アリマ……」


 リリムはそう言うと俺の隣で寝息を立て始めた。

 余程疲れていたのだろう。俺は風邪を引かないようにそっとリリムの上に毛布を掛けてやった。


 ――――――


 リリムを寝かせてからリビングへ行くとパーラとプリステラが 『リリムはどうだった?』とうるさかったので『可愛かったよ』って言ってやったらキャーキャー煩かったので二人ともキスで口を塞いで黙らせてやったら大人しくなった。


 ふぅ…… やっぱり覚醒はしないか。


 後でプリステラに聞いた話だが、俺は魔力と神力の回復力というか収集力が人並み外れて大きいらしい。

 特に神力の元になる神気の濃度が低いにも関わらず、俺の神力は回復出来るようで他の魔神や神核持ちでは考えられない事であるという。


 そして、その収集した魔力と神力を使って行使出来るのが魔神覚醒という俺オリジナルの能力だというのだ。


 魔神を覚醒させる為にはいくつか条件があり、一つが魔力と神力が十分ある事。

 もう一つが魔神との濃厚な接触をする事で、プリステラが裸で俺に抱き着いてきたのはコレが原因だろう。濃厚な接触の定義が分からなかったのだ。


 結局俺とのキスでプリステラは覚醒する事が出来たので、濃厚な接触の条件としてキスが合致したのは間違いない。


 リリムとキスをしてもリリムが覚醒しなかったのは俺の魔力と神力が覚醒に必要なだけの量に達しなかったからだろうと思う。


 覚醒しなかったリリムはというと…… 覚醒しなくても満たされたというか、満足そうな顔をしていた。


 裸になる必要は無かったのにって分かったら…… これは言わないでおこう。


 それから、俺は重要な事に気が付いたのだ。これは俺だけの問題じゃないし……。

 俺はプリステラから羊皮紙を貰うと、ステータス魔法を使用した。

 すると、羊皮紙の上に現在の俺のステータスが浮かび上がっていく。


 名前 アリマ・ミノル

 推奨階層レベル  1

 攻撃力 56

 防御力 0

 体力 52

 敏捷 53

 魔力 100/10000

 神力 50/10000


 拡張ステータス

 耐性 無し

 特殊能力 錬金

 祝福 女神の祝福

 加護 絶対防御不能(呪)


 コメント 防御力が不足しています。1階層で我慢しましょう。



 俺は皆をリビングに集めると、出来あがったステータスをリリム達に見えるように広げた。


「あれ? ステータスが全体的に上がっているよ!?」

「本当にアリマさんの防御力はゼロなのね……」

「アリマはんレベル1って 弱すぎや……」


 パーラとプリステラが何やら言っているが、今は2人の魔神の感想は置いておいてだな……。


「そうなんだ レベルが1に上がってるし、攻撃力なんてちょっと前まで15程度だったのに56になってる」


 魔力と神力の最大値なんて一気に2倍の1万だ。

 防御がゼロなのは変わらないが…… これは大きな前進だと思う。


「あれ? 特殊能力が増えてないか?」


 リリムが俺の特殊能力に気づいたようだ。

 特殊能力に錬金!? 何だろうこれは……。


「錬金ってどんな能力なんだ?」

「錬金? それ うちの能力ですけど?」


「はぁ!? プリステラの能力?」


「そうどす 魔核技工士んうちのユニーク能力なんやけど?」

「では、プリステラの能力がアリマさんに発現したと?」


「プリステラが魔神覚醒したのと関係あるんじゃないかな?」

「そうね そう考えるのが妥当かしら」


「可能性としてはアリマは魔神を覚醒させる事が出来るけど、それと引き換えに覚醒する魔神の持っているユニーク能力をもらう事が出来るって事かな?」


 なるほど、そう考えると納得もいくか。


「でもステータスが上がったのはどういう理由なんだ?」


「うちが覚醒した時のボーナス的な扱いなんやおまへんか?」


 魔神覚醒時のボーナスか……。


「と言うことは…… 俺は魔神を覚醒させる事で能力がアップしていくって事になるんだが?」


「その仮説が本当ならですが…… そうですね」


 その仮説なら…… 俺が強くなるには魔神とキスしないといけないと言うことになるんだが……。


「あの…… 魔神ってみんな女の子だったり?」


「男性の魔神も勿論いますよ?」


 ノォォォォォォォォォ!!!!


「そっか…… そうだよな ははは……」


 リリムが俺を白い目で見ているのは気のせいじゃないな……。




 いつもお読み下さりありがとうございます。


 新たな能力を手に入れました。次回は錬金になります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ