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24話 3人の魔神

 プリステラが俺のいる手術台の部屋に来てから間も無く、3人の魔神は他の部屋に移動していった。

 俺への追及は一時去ったけど…… 後が怖い。


 その手術台の部屋から二部屋ほど離れたリビングの地下にある研究室では3人の魔神が顔を付き合わせていた。


 ――――――


「結果的にリリムはんを救助出来たんやさかいに、ええではおまへんです?」


「そうですね……プリステラが身動きも出来ないアリマさんに何をしたか詳細は知りませんが……プリステラがゴブリンロードの手からリリムを助けて、今ここにリリムがいるのは間違いありませんし」


「助けてくれたのは感謝する。だけど……納得いかないよ!」


「そないな事言わはりましてもなぁ……」


「だって……だって……したんだろ? アリマと!」


(ボクだって……まだなのにぃ……)


「ちょいとアリマはんの力を頂いただけやおまへんです?」


「ちょいとって、アリマが気絶する程だよ!?ちょっとどころの話じゃないよ?」


「それに、相手は魔王の眷属だよ!?ボクらの力じゃ倒せる相手じゃないはずなのに……」

「そうです!あの魔王の眷属は、私でも全く歯が立ちませんでしたし……」


「何でプリステラはゴブリンロードを倒して、ボクを助け出す事が出来たんだ?」


「……アリマはんの魔神核ん能力は魔神覚醒なんよ?」


「「魔神覚醒!?」」


「アリマはんの回復ついでに……ちょいとアリマはんの魔神核を解析させてもろたんですけど。アリマはんには驚異的な魔力収集力と神力収集力がおました。そんで何でじゃろうかと調べとったら、魔神核ん中に隠し回路が見つかったんです」


「隠し回路って……」


「そん隠し回路の中にあったんが魔神覚醒ちゅうわけです。(もっと)も覚醒といっても神気が切れれば元に戻るってゆう一時的な物どすけど……」


「それでも、一時的にでも全盛期の力が使えるのは心強いですね」


「確かに……ボクを助けに来たプリステラは、まるで封印される前の如き強さだったけど……」


「そんなら、魔神の覚醒条件も知らんわけどすなぁ?」


「条件があるのか!?」


「その条件とは?」


「そら…… アリマはんと、濃厚な接触をしはる事や」


「濃厚!?」


「解析結果やと濃厚としかわからへんかったさかい……ちょいと、口では言えへん事もさせてもろたけどな……」


 プリステラは両手のひらを頬に当て、イヤんイヤんと、身をくねらせながら言った。


「な……」

「あら……」


「まぁ……アリマはんに手ぇも出して貰えんようなお子様のリリムはんは気付かなかったようやけど?」


「な……そんな……こと」


「リリムは手を出されないんじゃなくて男の子と思われているだけですし」


「う……」


 プリステラはふむとリリムの虐めたくなるような可愛い表情を見ながら考える素振りを見せると……


「そんなら、リリムはんもアリマはんに抱いてもろたらええ。誤解も解けるやろうし、アリマはんの力の確認かてなるし」


 プリステラは、リリムにとっては爆弾な発言を放った。


「いや……それは……うぅ……無理だよぉ」


「そんなら先に……パーラはんで試しいや……」


「それもダメ!! ……は……恥ずかしいけどボクが先だよ……」


 ――――――


 手術台に一人取り残された俺は、不安な気持ちを抑えながら、目を(つむ)って心を落ち着かせていた。


 やっぱりリリムにバレたかなぁ……。


 でも……そもそも何でリリムが怒るんだ?


 リリムがプリステラが好きで……俺がプリステラに手を出したからか?


 実際はプリステラに手を出されたのは俺なのだが……

 

 そんな事を考えていると…… リリムが一人で部屋に入ってきた。


「……」


 リリムの口は硬く閉ざされており、無言だった。


「リリム……プリステラの事だけど……なんかゴメン」


「……うん」


「分かって貰えるか分からないけど、プリステラが好きでこうなった訳じゃないんだ」


「……分かってる」


「確かにプリステラは色白で美人で可愛い所もあるけど、初対面だよ?好きとか嫌いとかっていう感情はないよ」


「うぅ……」


 あれ? 言うこと間違えた!?


「それに……俺が好きなのは……リリムだし」


 あぁ……遂に男の子に告白してしまったぁ……


「アリマぁ……」


 リリムは顔をトマトのように真っ赤に染めてエメラルドのような瞳には涙を溜めている。俺の胸にリリムの艶のある緑色の髪の毛がフワッとかかってくすぐったい。


「リリム……」


「プリステラとした事……ボクにも……同じ事して欲しい……」


「はい?」


 いや男同士だからっていう言い訳はもう通じないようだ。


「ダメなのか?」


 ここは……俺も男だ! リリムに告白しておいて出来ませんじゃ男が廃るってもんだ。


 ――俺は覚悟を決めた。


「いいよ」


 俺は目を閉じてリリムを待つことにする。


 俺の直ぐ隣りではリリムの布擦れの音が聞こえてくる。愛用の薄手のチュニックを脱いでいるのだろう。


 リリムの少女のようなきめ細かい素肌が(あら)わになる。


「見ていいよ……アリマ」


 俺が目を開けて全ての肢体を晒したリリムの体を見ると……


 胸の辺りには僅かに女の子である証しが存在していた。


 え!? 女の子!?


「凄く綺麗だ……リリム」


「ありがとう…… アリマ」


 それは俺がリリムを女の子として初めて認識した瞬間だった。




 いつもお読みになって下さりありがとうございます。


 次回予告 白竜峠のリリム奪還作戦です。


 リリム視点でお送りします。


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