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13話 ステータス魔法

 ―――堕勇者とは、勇者として為すべき事を拒んで逃げた者、闇に堕ち国に害をなす者の総称である。



 ――呪いの腕輪。


 黒く鈍い光を放つその腕輪は『愚者の腕輪』という名前らしい。装着した本人、ミルラルネがそう言っていたからそうなのだろう。


 この腕輪 今は、俺の左腕に癒着している。皮膚と一体化しているようなので無理に取ろうとしても皮膚ごと持って行かれるだろう。その前に呪いの腕輪なので外す事が出来ないんだが……。


 呪いの腕輪なんて教会にいけば取れるだろうと、高を括っていた自分がいました。


 ゲームなら教会で取ってくれるけど、そんなのは嘘だ。神父にそんな事出来る訳が無い。


 リリムの話では、生半可な呪いじゃないから教会でもその辺の呪術師でも呪いを解く事が出来ないという。八方ふさがり…… このまま防御力0のまま過ごせと言う事か。


 俺の体力は10らしいから雑魚魔物に会ったら、即死一直線間違いなしだ。縁日なんかの的には丁度いいだろう。小さい子には喜ばれそうだ。


 幸いにも魔力は多いので魔法を覚えれば対処出来るよってリリムが元気付けてくれた。どんな攻撃だって当たらなければどうということは無いらしいからな。


 という訳で、今日も可愛い妖精リリム師匠と魔法のレッスンだ。


「なにが、魔法のレッスンだって?」


 あれ? いつの間にか声に出てたらしい。いや恥ずかしい。


「いや……何でもない」


「いいかいアリマ。キミの体力は10しか無いんだ基礎体力を付けないとダメなんだぞ」

「分かってるよ」

「分かって無い! 明日から基礎トレ増やすからね!」


 鬼教師リリム様が現れた。


「それは勘弁……」

「ダーメ」


 俺はジルベールから帰って以降、リリムに体力を付けろと毎日のように筋トレやらジョギング、いや森の中なのでトレッキングか……をやらされている。


 俺は体育会系ではなく文化系寄りなので運動が得意な方では無い。家に籠ってる方が多かったしな。


 これで飯が美味かったらなぁ……やる気も出るってもんだが。


 おっと……リリムがこっちを睨んでいる。俺が考えてる事分かるのか?


 ……リリムの視線が怖いので真面目にやるとするか。


「よし、走ってくる」


「午後から中級魔法の続きをやるからね!」


 俺はリリムを振り返らずに右手を上げて返事をすると、森の中へ走っていく。


 毎日走っているので森の中といっても獣道のようになっていてコースが分かりやすい。

 今日も走るのはいつものコースだ。


 俺がジョギングから帰ってくると、リリムは乾いた布で汗を拭きとってくれる。そのままだと風邪をひくからだそうだ。だからといってリリムと付き合っている訳ではない。男の趣味は無いからな。でも最近はちょっと怪しいのは秘密だ。


「疲れたかい?」


「それなりにな……ステータスが上昇しているのかが気になるけど、あれって冒険者組合にしか無いのか?」


「基本はね。あれは勇者が作った魔法具だから、配布先は限られているんだ」


「そうか……」


「でも南の国、スタール王国にいる勇者に会えばアリマなら貰えるかもね」

「え? 勇者いるのか?」

「うん たしか……ベンクラウド伯爵っていう人だよ」

「伯爵って貴族なのか?」

「王様から爵位を貰って領地もあるはずだよ?」


「ベンクラウド伯爵か、いつかは会う必要があるよな」

「勇者同士だから話が合うんじゃないかな? 片方は堕勇者だけど」

「それは言わない約束だろ?」

「まーまーいいじゃないか、今は二人だけなんだし」


「それにしてもステータス魔法か……」

「アリマだって勇者なんだから使えたりしてね」


「それだ!」


「えっえ?」


 俺が勇者ならば、ベンクラウド伯爵の使うステータス魔法だって使える可能性が高い。


 あとは、ステータスを弄れれば冒険者組合で驚かれることも無いんだが……


「リリム、ステータスを偽装する魔法ってあるのか?」


「あるよ、高等魔法の魔神術だから、普通の人には無理だけど、アリマなら使えるかな」


「午後はそれを教えてほしい」


「よし、中級がクリア出来たら教えてあげよう」


「望むところだ」



 ――――――



 夕方になる頃には俺は、火魔法、水魔法、木魔法、風魔法、土魔法の中級レベルをクリアした。

魔法を教わり始めてから20日目の事だった。


「これで教えてくれるな……はぁはぁ」


「待て待て、その為にはまず、ステータス魔法を習得した方が早い」


「やってみるか」


 勇者しか使えないという魔法。ゲームでステータスを表示するイメージを魔力に与えて……表示だ。


「……」


 ダメだな……表示のイメージが違うのかな。


「リリム、紙って無いかな」

「羊皮紙ならあるかも、ちょっと待ってて」


 冒険者組合では羊皮紙に書き出していた。ならば羊皮紙に出力して表示すればどうだろう。イメージ的にはプリンタのような感じだ。


「あったよ。これでいいかい?」

「ありがとう。うん、これなら」


 もう一度ステータスをイメージする。それを魔力に乗せて、羊皮紙にっ出力っと。


「あ……何か文字が出てきたよ?」

「でも……読めないな」

 

 でもこれでイメージは掴めた。


 それから20回位練習したら、ちゃんと羊皮紙に書き込む事が出来るようになった。

 使い回した羊皮紙は真っ黒だ。


「やったね!アリマ」


「あとは、ステータスの偽装魔法だな」


「偽装魔法は表示するステータスを頭に浮かべて直接書き換える。それを魔力に乗せて羊皮紙に出力するんだ。書き換える時に使うのが神気でそれ以外は魔力を使用する」


「なんか複雑だな……」


「アリマなら出来るよ」


 神気を使うには、白いエネルギーをイメージ……それを神核から取り出し、同時に魔力も取り出す。うん難しい。さすがは魔神術……高等魔術と呼ばれるだけはある。


 結局その場では出来なかったが、夜寝ながらイメージトレーニングをした結果、俺はステータス偽装魔法を習得する事が出来た。



いつもお読み下さりありがとうございます。


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