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10話 初めての街

 あれから俺は毎日のようにリリムの講習を受け、10日目には初級魔法を完全に再現出来るまでになっていた。


「アリマは飲み込みが早くて凄いよ!」


「リリム師匠の教え方が上手だからな」


 俺は昔から想像力は乏しくても、人の真似をする事は得意だった。魔法もそう考えると全てリリムの真似である。


「だとしても、10日で初級魔法を覚えちゃうなんて、普通だったら数ヶ月、遅い人だと1年はかかるんだよ?」

「そんなに?……」


「まぁ……今日は初級クリアのお祝いに街に連れて行ってあげるよ」


 と言うわけで、リリムの案内で街へ繰り出すことになった。とはいえ、ここはエリス神聖国内なので、いつ又エリス聖教の狂信派に狙われるか分かった物では無い。念のため幻影魔法で顔を隠して行こうという事になった。


「ボクはダークエルフに変装するから、アリマはこれを付けてくれ」


 と、リリムに手渡されたのはヒゲだ。どう見てもヒゲにしか見えない。


「コレを付けるのか?」

「だよ?」


 リリムは首をちょんと傾げてハテナマークを頭の上に出している。人差し指は小さ目の可愛い唇に添えている。


 可愛いから、可愛いから半信半疑でもヒゲを付けてみる……


 ……うん、何も起きない。ヒゲダンスでも踊ってやろうか?


 リリムはというと、部屋の隅の鏡のような魔法具の前で化粧(へんそう)をしている。自分を映し出す魔法具って言ってたかな。


 ……なんか心配だ。


「本当に大丈夫なのか?コレ」


「ん?あぁ……それはヒゲの形をしているけど、変身の魔法具なんだ。ほらこっちに来て鏡を見てごらんよ」


 そう言われ、リリムの居る鏡の前に移動して鏡を覗いてみると……知らない男が立っていた。


 鏡の中の男は、焦げ茶の髪はボサボサで髭面の冒険者風の叔父さんのような顔をしていた。

 俺の普段の風貌は黒髪黒目に17歳よりは若く見られるが至って普通の顔だ、叔父さんでは無い。


「これが俺?」

「元の顔の方が好きだけど、似合ってるよアリマ」



 狂信派にバレる心配はこれで解決したという事で俺たちは、近くの街へ移動する事にした。



 精霊の森から一番近い街は森から見て西の方角にあるジルベールという街で、聖都エルスハイムとは逆側の位置関係にあたる。


 森の中の移動には精霊の力を借りる。精霊が居ないと森の中で迷ってしまうからだ。

 リリムはエルフなので森精霊との会話が可能なのだろう。

 精霊に導かれ(森の中を飛んで居るような感覚)、街へと続く街道に辿り着いた。


 街道は歩いて移動する。馬車なんて無いので、リリムは飛ぶ事も出来るらしいが、街道で飛んでいるのを街の人に見つかると厄介な事になるというので、歩いて移動するという事だった。

 暫く街道を歩くと、徐々に畑や田んぼのような風景が目立ってきた。


「この先のジルベールは、農業の街だ。実際は農村が寄り集まって出来た大きな村って感じかな。アリマの服もジルベールで買った物だよ」


「出来れば洗い替え用に予備が欲しいな」


「それじゃ後で服屋に寄ってみようか」


 広大な畑や田んぼの風景の先に城壁のような壁に囲まれた街が見えて来た。城壁があるので中までは見えない。


「壁が見えて来た」


「魔物を街に入れない為に、どこの街も壁で囲ってあるんだよ」


「魔物用の防御壁って事か」

「盗賊なんかの侵入防止にもなっているんだ。実際門番がいて街に入る人をチェックしてるからね」


「どうやって街に入るんだ?」

「ボクは通行証を持ってるから、ボクがキミの身分を証明すればいい」

「証明するって……どうやって」

「お金さ、お金は身分が高いと証明出来るんで門番にチップを渡せばいい」

「あーこの世界でも、金次第って訳か」


 街の入り口の門に到着すると、リリムが言う通り門番が立っていた。並んでいる商隊なんかは居ないのでチップを渡すと、すんなり街に入ることが出来た。




いつもお読み下さりありがとうございます。

やっと森から出ることが出来ました。

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