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転生したった   作者: 空乃無志
間章
72/98

レオ、哀の非モテ脱出大作戦(中)

レオ編の話数を減らしました!

と思ったらこの一話が二万字を軽く超えて、二話に分割・・・。

えーと、・・・残り3話です(白目)

「女で負った深い悲しみは女でなければ癒せない・・・」


俺は何気に人生の真理を口にしながら歩いていた。


俺のこの深い言葉も聞く女が居なければ、股を開かせることはできないだろう。


俺は深い悲しみを背負った。


そうだ。

おっぱいだ。おっぱいが必要だ。


おっぱいだけが俺を癒せる唯一無二の存在なのだ。


俺は三日三晩身体を清めた。

自家生産したローズティーを毎日飲み、身体の毒をすべてデトックスしたのだ。


細胞という細胞が生まれ変わっていくのを感じる。


いまや俺の身体は芳香剤の様なフローラルに包まれている。


その様はレオポルド・フローラル・ルベットと改名しなければならないほどだろう。


もうトンコツの呪いは完全に消え失せた。

夜な夜なトンコツの煮立つ寸胴鍋を抱き過ごし、トンコツと深く対話したあの忌まわしき日々の記憶はあの臭いと共に忘れよう。


さらば、トンコツ。

俺・復活!!


俺のモテ力は今日ここに完全復活したのだ!!


俺はもうこの悲しみを忘れない。


ふふふ、悲しみを背負った俺はまた一つモテ要素を上積みしたのだ。


もう同じ失敗は繰り返さない。


「ふっ、策を弄し、こちらから女を呼び込むなどとなんと愚かしい」


俺は大きな過ちを犯していた。

無駄な労力を割いていたのだ。

そうだ。

最初から女のいる職場に行けば良いのだ!!


「待っていろ、女ども!!ふははは、んごぉ」


いかんいかん。また鼻が詰まった。





◇◇◇◇◇






俺はべオルググラードにある、とある菓子工房を尋ねていた。

菓子工房シャルル・ド・フランエ。


俺はそこにずこずこと入って行った。


「頼もう!!」


「だ、誰ですか、貴方は!?」


くく、幸先が良いな。

俺は目の前にはやや小振りなおっぱいの如き美少女が居た。


その娘の名はミッシェ。


少女に請われ、俺は答えた。


「ふっ、俺の名前を知らないとは!俺はお前たちの尊敬してやまないユノウス・ルベットが尊敬する男だ。つまりお前たちも尊敬する必要がある存在、それがこの俺、レオポルド・ルベットだ!!」


俺の挨拶に困惑した顔で女性は呟いた。


「えっと、つまり、ユノウスオーナーの親戚ですか。なんですか。明らかに論理飛躍してませんか?」


「ユノウス商会、N01パティシエ、ミッシェよ、俺を此処で雇え!!」


そう、俺が次のターゲットに選んだ場所、それがこの菓子工房だ。


従業員の女性率100%、お客の女性率80%。


まさに、ザ・女の園。


くく。

加糖に脳を溶かされたスウィーツおっぱいどもを搾取しまくってやる。


俺の無敵モテロードはここから始まるのだ!!


「え、嫌です」


な、なに。

即答だと。


俺は思わず叫んだ。


「くそ、何故、女はいつもこうなのだ!!」


まず、俺を嫌がるし!

嫌よ嫌よも好きのうちと言う言葉は知っているが!!


ほら、もうすこしデレ要素ないと俺だってつらいんですよ!!

分かってください!!


はっ。

いかん、いかん。

女の前ではついうっかり本音を晒け出してしまう。


ふっ、そんな俺に惚れてもいいんだぜ?


気を取り直した俺はひとまず笑った。


「ふふふ。だが、俺の最終奥義・権力発動をお前は止められるか!?」


「そんな、まさかオーナーを頼るんですか!?」


当たり前だ。


俺は母メーリンからふんだくってきた通信機を掲げた。

助けて、ユノうーすぅ。


「・・・レオか。ラーメン屋を辞めたと思ったら今度はなんだ?」


「ふっ、今の俺はお菓子な気分なんだ。と言う訳で菓子屋で俺を雇え」


通信機越しのユノウスが俺の言葉に一瞬だが言葉に詰まった。


「・・・お前がおかしな奴だってことぐらいは知っているが・・・なぁ、お前のトンコツラーメンはまだ大盛況だぞ」


「その忌まわしいぃいい名前を口にするなぁああああ」


とととんこつなど俺はしらない!!!

しらん。

やめろ!ふざけるな!!


はぁ、はぁ・・・。


「・・・お、おぅ。まぁ、あっちが盛況なのもお前のお陰でも在るしな。良いだろう。協力してやる」


「ふふ・・・、すまんな・・・」


俺は通信機をミッシェに渡した。

彼女は心底嫌そうな顔でオーナーと話を始めた。


「お、オーナー!私、いくらオーナーの頼みでも嫌です。ここは基本的に男性禁止なんですから!」


「※※※」


「はい、ですから・・・」


「※※」


・・・。


・・・・・・・。


交渉は一時間に及んだ。

最後には折れたのだろう不満げな顔のミッシェがぼそりと呟いた。


「オーナーからの要請で貴方を雇います」


ひゃほぉーーぃいい!!

さすがユノウス!

やるではないか、我がおとうとよ!


良い仕事だ!


「ただし、条件があります。期間は一週間、貴方が私とテーマ食材を使ったスウィーツの売り上げ対決で勝負し、貴方が勝利した場合のみ、それ以降も継続して貴方をここで雇います」


「ほぅ、いいだろう」


おもしろい条件が付いたな。

しかし、この俺が負けるはずがない。


何故なら俺だから!!


これは逆にここにいる女共にこの俺の実力を知らしめる良い機会になるだろうな。


「通信機をお返します。オーナーがまだ話が在るそうです」


「そうか」


俺はユノウスと話を再開した。


「というわけだ。ミッシェと戦ってくれ」


「ふ、面倒だが仕方あるまい」


「ミッシェの菓子は食べたことはあるな?」


俺ほどの美食家に愚問だぞ。


「ああ、もちろんある」


「そうか、なら分かるな?」


俺は笑った。

そうだな。分かる。分かっている。


「ふっ、ユノウス。俺にはお前が言いたいことなど手に取るように分かるぞ」


「本来は俺がやるべきなのだろうが、正直、そういうことに関わっている時間が無い。お前がやってくれ。ソレで今回の貸し借りは無しだ」


「良いだろう」


俺は通信機を切った。


するとミッシェが微妙な顔で俺を見ていた。

この熱い視線!

ふ、さては俺に惚れたな!


「オーナーに必勝法でも授かったのですか?」


「菓子の話などしていない!」


ちっ、まだ惚れていなのか。

まぁ、良い。

直ぐに俺の魅力でメロメロにしてやる!!

ふふふ。


「まぁ、良いわ。今回の対決のテーマ食材はこれよ」


ほぅ。

俺は見事なそれを前にして唸った。


まるで女性のくびれを彷彿とさせるような美しいフォルム。

熟れきった女性のようなに甘く香しい薫りを周りに振りまいている。


その果実の名は。


「洋梨か。それもベッフェドータ産だな。彼処の洋梨は12月である今が一番の旬だった」


手に取った梨の香りを嗅ぎ、俺は頷いた。

さすがこの世界でもっとも有名な菓子工房と言っても過言では無いシャルル・ド・フランエ。


なかなかの逸品だ。


「嘘、一目で分かるの!?」


ふ、俺くらいの美食家なら当然だ。

庶民では口に出来ない美味珍味を常日頃から口にしてきたからな。


俺の家をヨイショする人間の数だけ美食が集まる美食ピラミッドの頂点に俺は立っているのだ。


俺の口を通ったことのない美食など存在しない!!


「と、とにかく、このテーマ食材を使って対決します」


「良いだろう」


俺は頷いた。

ミッシェは不愉快そうに顔を背けると菓子工房に入っていた。

俺は後に続いた。





◇◇◇◇◇






シャルル・ド・フランエは女性パティシエの多くが所属する菓子工房だ。

男性パティシエは王都にある姉妹店、シャルル・ド・ロマネティに多く所属している。


男女の明確な区分けは無いが両店の間には店長であるミッシェ・メリエとラファエル・ルブランのライバル関係から来るちょっとした対立があるらしい。


まぁ、俺には関係の無いことだ。


次の日。

俺とミッシェはお互いの商品の試作品を並べていた。


「まぁ、そこそこの腕はあるみたいね」


「ふ、お前もな」


お互いの腕を認め合ったと言うほどでも無いがお互いにそう言った。


お互いのデザートを前に工房で働くパティシエ見習いが目を輝かせていた。


「美味しそう」


ぽつりと俺の近くに居た少女が呟いた。

ほぅ、なかなか良い反応だな。


「パッテンも、みんなも食べて良いわよ」


「良いんですか?やったー!」


俺の隣に居るのが見習いパティシエのパッテンだ。


容姿ではミッシェの方が上だが、どこかふわふわした愛らしさが滲み出ている。


この娘もなかなか良いぞ。

お手頃おっぱいと言った感じで実に良い。


俺のおっぱい狙ってるリストにも乗っている。

良おっぱいだ。


「まずは貴方からどうぞ」


「ふっ、俺の品はこれだ」


俺が用意したモノは季節限定洋梨のロールケーキだ。


「わぁ、粉砂糖をこんなにまぶして、まるで純白の雪原のようです」


「商品が隠れてるじゃない」


ミッシェには俺が使った粉砂糖の量が気に入らないらしい。


さらに俺の商品を一別し、言った。


「主役の洋梨が無いみたいだけど?」


「これから乗せるのだ」


白い雪原に俺は薄くスライスした甘蜜色のソレを乗っけた。


「洋梨をキャラメリーゼしたのね」


「そうだ」


最後にシナモンを振りかける。

ミッシェは不満そうに呟いた。


「どういうこと?この時期の洋梨は一番の旬なのよ?旬モノにここまで強く手を加える必要はないはずよ」


「ふ、しかし、このキャラメリーゼは絶品だぞ」


「だから、何?」


「食べれば分かる」


む、とした少女は黙ってケーキを一口、口に入れた。


「むっ」


「んんー、美味しいです!」


そうであろう。そうであろう。

喜ぶパッテンちゃん可愛いな。


俺のおっぱいにならないかい?

ミッシェは意外そうな顔で呟いた。


「このロールケーキ。ふーん、生地にメレンゲを使ったのね」


「そうだ。さすが、ナンバーワンパティシエだな」


配分もほぼ完璧とぶつぶつつぶやきながらロールケーキを解体して食べている。

なんか陰険な食い方だな。


「生クリーム。このミルク感はコンデンスミルクのものね。それとこの軽さは脂肪分が38%の物にメレンゲを加えて作ったのね。濃味。微かにマスカルポーネチーズの味もするみたいね」


「・・・そこまで分かるのか?」


驚いた。

特にマスカルポーネはほとんど入れていないにも関わらず良く気づく物だ。


そこでミッシェはスプーンをおいた。

俺のケーキは半分くらいしか食べていない。


やれやれ。


「商品名は?」


ミッシェに俺は笑って答えた。


「期間限定・スプーンDE食べるふわふわロールケーキ~洋梨のキャラメリーゼを添えて~」


「安い名前ね。良いわ。私の料理はこれよ」


そう言って少女は自分の品を差し出した。


なんだと。

まるで宝石箱を広げたような美しい光景が広がっていた。

なんと美しい。


「洋梨のラ・パルフェ・ジュレ・ド・トロワよ」


洋梨のジュレだと!?

俺は早速、それを口にした。

む、むむむ。


「ほう。ムースに二種のジュレか」


口に入れた瞬間に俺の舌は震えた。


これは。おお。


何という甘露。

まるで一個の洋梨の美味しさを余すことなく濃縮したような味わいだ。


今まさにもぎたて洋梨にかじり付いたような感動が一口毎に広がっていく。


層になったジュレが口の中で解け合う。

そして、微かにアクセントになる洋梨のムースがさらなる深味を与えている。


美しい味わい。


「すごい瑞々しいです!ミッシェ先生!!」


「果実はジュレにする事で味を濃厚に出来る。新鮮な味わいをそのまま封じ込めることも可能よ」


彼女の言葉に俺は頷いた。


「ふ、細かく刻んだ洋梨と柔らかなムースの味わいも見事だ」


果肉を果汁を損なうことなく余すことなく舌先に届ける。

洗練された達人の技を感じた。


「しかし、加糖は一切していないようだな」


「当然よ。洋梨の持つ本来の美味しさをすべて閉じこめたの」


なるほど、この一品からは少女の素材への深いこだわりを感じた。

俺は笑って言った。


「この二種目のジュレ。これは洋梨の皮だな」


この俺の言葉にはミッシェもさすがに驚いた様な顔をした。


「ええ、そうよ。ユノウス商会で作っている洋梨は結界魔法で作られた無農薬栽培。皮は本来もっとも果実の旨味が濃縮された部分なのよ」


それは知っている。

しかし、ともなれば、雑味を生む原因になるそれの美味さをここまで引き出すとは。


「食物繊維を取り除き、成分だけを抽出したのか。なるほど、恐ろしく手間がかかっている」


繊細でかつ優美な味である。

俺は笑った。


すばらしい美食であった。


「見事だ。さすが、ミッシェ」


「え?あ、ありがとう」


しかし、残念だったな。


この勝負は俺の勝ちだ。


俺は笑みを崩さずに言った。


「ふっ、では勝負に移ろうか」


余裕を見せる俺に対してミッシェは困惑した顔をした。


「本当に良いのかしら?」


「何がだ?」


「これほどに食に詳しい貴方だったら本当は分かっているはずよ。私の料理の方が圧倒的に完成度が高いと言うことが」


それを言い切れる矜持は見事なモノだ。

そして、それは驕りではなく事実だろう。


しかし。


「ふっ、だが、これは料理の完成度を語る勝負ではあるまい」


ミッシェはむっとした顔で首を振った。


「そう・・・だったら良いわ」


決戦が始まった。




◇◇◇◇◇





そして一週間後。


「嘘でしょ」


「どうした、ミッシェ、顔色が悪いようだが」


少女が結果を前にへたり込んだ。


結果として積み上がったその差を受け入れたくない様子だった。


結論から言えば。


売り上げは俺が3倍の差をつけたのだ。

まさに完勝。


「嘘でしょ・・・。どうして、私は負けたの?」


「それはお前が自ら墓穴を掘ったからだ」


「どういう意味よ!?」


「はは、冬にジュレが売れると思っているのか?冬の商品としてどうなのだ?それは!」


その俺の言葉に少女はかっとなって言った。


「そんなこと!この店に来る客は美食家の中の美食家よ。芸術性を買いに来ているのよ!商品価値なんて無用よ!」


その驕りが首を絞めたのだ。


「そんなことはない。俺のリサーチによれば今、ここの菓子を買いに来るうちのミドルバリューはユノウス商会の一般女性労働者だ。彼女たちは疲労を溜めている。そこが求めるモノとはなんだ?」


「何よ?」


「ブランドと話題性と加糖だ。そこに量と値段が加わっていれば完璧だ」


流行りモノ好きの女は季節限定の名前に踊らされているのだ。


確かに菓子作りにおいて、細やかな技術では俺はミッシェに勝つことはないだろう。

だが、神の味覚を有する俺なら選択肢をしっかりとチョイスすれば、ミッシェを倒す商品を開発するぐらいは簡単だったのだ。


世界一売れているモノが世界一美味い訳ではない。


俺はトマト麺との戦いに敗れて成長したのだよ。

売り上げでの勝利には技術よりリサーチ力が肝心だと言うことをな!


「ふ、ふざけないで!私の客なのよ!」


「ふっ、この俺がお前にも解るように説明してやろう。ミッシェよ。

良いか?良く聞けよ。俺が作ったなんちゃらロールケーキは加糖がたっぷり詰まった誰にも分かり易い味だった。ユノウス商会は成長期で客の娘たちは金はあるが癒しが足りない哀れなおっぱ・おんなたちなのだ」


「じ、自分の作ったロールケーキの名前ぐらい覚えなさいよ!あんた!」


「続けるぞ。女にとって癒しとは砂糖だ。砂糖力。これでまず俺はお前より圧倒的に優位に立っていた。これが一点目。

二点目。

俺が何故洋梨をキャラメリーゼにしたのかお前は理解していたか?」


「え?」


「無理だろうな。

あの時、お前は俺の洋梨にはたった一口だけしか口に入れなかった。

精々、お前の舌には不味いとでも思ったのだろうな。

だから気づかなかったのだ。俺の洋梨が高級洋梨ベッフェドータ・ラ・フランスでは無かったことに!!」


実際に俺が使ったのは二級品で通常、店頭用としては出さない加工用洋梨だった。


ルール違反ではない。

テーマを決めたユノウスは一言も通信機越しに最高級洋梨を使えとは言っていないのだ。


というか。

あとからユノウスがわざわざ「どうせ、ミッシェは高い洋梨を使いたがるから、安い洋梨を使えば良いぞ」と連絡を寄越したのだ。


ふう、危うくミッシェにハメられるところだった。

ミッシェは自分の最高の料理の為の最高の食材を提示してきたのだ。


素材の良いとこ伸ばし勝負ではミッシェには勝てん。

俺は勝負の為に、あえてあの洋梨を捨てたのだ。


しかし、わざとでは無いだろうが天然で、こんな偽計をかましてくるとはな。

とんだおっぱいちゃんだ。


「う、嘘でしょ。そんな、だって」


「二点目。値段だ。

最初にこの勝負にするに当たって販売担当に適正価格を決定させることに決まっていたな?

俺はお前の約半分以下の価格設定で勝負することが出来たのだ。

それで売り上げが3倍。つまり、実売数は軽く6倍を記録していたのだよ。

しかも、売り上げ勝負だから今まで敢えて言わなかったが俺のロールケーキは儲けで見るとお前の5倍を叩き出している」


「う、うそよ」


「3点目。広報力だ。

俺は母に頼み、貴族のサロンでこのロールケーキを勧めた。

また、商品をデパートに売り込み、卸し販売をしていた。さらに各種職場に試作品を持ち込み・・・・・・」


「それ完全に卑怯じゃない!!特に貴族のコネ!!」


営業努力と言って貰おう。

お前に無いモノを使うのは当然だ。

勝負とは非情なり。


「4点目。商品開発力。

お前のジュレは一個売りだが、俺のロールケーキは一本売りもしていた。一本売れれば一気に数で5個。値段も安く、お土産としてバカ売れしていたのだよ!」


俺は最初から勝負に徹し、エッセンスとしての季節限定、ブランドとしてのシャルル・ド・フランエを利用したに過ぎない。

より売りやすく、より選ばれやすい安価な商品を開発だけだ。


だが、それでも一人の天才を倒せるのだ。


これが現実だ。


ミッシェは震えていた。


「嘘よ。うそ・・・」


「残念だったな。確かにミッシェは俺を越えるお菓子作りの技術力があるだろう、しかし」


「やめて」


だが俺は言い切った。


「お前は客の舌を信用しすぎだ。俺ほど美食家ならともかく、一般人に向かって、全力投球しすぎなのだ。スウィーツ脳が求めるモノは加糖だ!お前の作品には加糖が足らん!すべては加糖だ!加糖がお前を負かしたのだ!!これが加糖力だ!圧倒的加糖力の勝利だぁ!!」


「うぅ、そんな!!こんなカロリー=戦闘力みたいな理論に負けるなんて!!」


「ふははは、認めろ!負けおっ・・犬が!!お前は素材と対話する能力は在っても、人と対話出来ていないのだ!!芸術家気取りで思い上がり過ぎなのだよ!!おっぱい!!」


あっ、言っちゃった。まぁ、良いか。


「うぅ・・・ぐす」


う?ぐ?

え?ミッシェちゃん。

ちょっ。待て!それはダメだ!!


「うぇええぇえん。うぁあぁんん、えぐぅうぅ、うぅ、うぅ」


泣いちゃった。って泣くのかよ!?

あ、これって。


俺は周囲を見渡した。

俺のおっぱいどもがみんな淀んだ顔をしている。


てへ♪

やりすぎちゃっておっぱいの好感度さげちゃった♪


って。


し、しまったぁあああああ。


うわぁあああああああああああああ。


俺はここに何をしにきたのか!

モテが、俺のモテ期がぁああああ・・・。





◇◇◇◇◇






暫くしてミッシェは真っ赤な瞳で呟いた。


「そうね。貴方の実力を認めます」


「はは、どうだ!俺に惚れたか!!」


「・・・ありえないでしょ」


えっ。

やっぱり、そういう展開は無いのか!?

で、ですよねー。


「意味が分からないから続けます。とにかく貴方を私たちの工房でパティスリーで雇います。貴方の実力を見込んで、私と同じ商品開発よ。良いわね?」


「ああ、異論はない」





◇◇◇◇◇






一ヶ月後。


「れ、レオさん、お茶です!ここにおいて置きます」


見習いの娘がかなり微妙な距離感でお茶を置く。

手が届かんぞ。


「おぅ、済まないな」


礼を言いつつ、のしのしとお茶の元に歩いた。


ひとまず、なんだか避けられつつ、敬われている。


あれ、この展開良いのか?

思ってたのと違う・・・・・・。


ひとまず、おっぱいとは同じ職場なのに途方もない距離感を感じる。


俺は菓子作りの勉強をしながら新商品を開発している。

シャルル・ド・フランエの売り上げは俺が来る前の軽く2倍になった。


貢献はしているが果たしておっぱいが胸きゅんびんびんになっているかというと微妙なところだ。


くっ、しかし、本調子が出ない。

野郎ならボロクソにやってしまえるのにおっぱい相手には手心を加えてしまうために、意外にストレスが溜まる。


手を伸ばせば、掴めるおっぱいに悶々とするだけの日々である。


あー、おっぱいしてー。


「あ、レオさん。新作のナッツクッキーいかがですか?」


「おう、頂こう」


俺と距離感が唯一変わらない少女。

それがパッテンだ。


もう、これパッテンおっぱい攻略しか道は残ってないのか?


そうか。

パッテンのおっぱいを攻略することこそ我がモテ道の第一歩なのだな。


なるほど、パッテンもまたおっぱい。


「ふふふ」


「どうしたんですか?レオさん?」




◇◇◇◇◇





ある日のことだ。

俺はミッシェに呼ばれた。


「実は貴方にパッテンのお菓子を見て貰いたいの?」


「何?」


どういう意味だ?

パッテンはおっぱい同様、派手では無いがしっかりした技術を持ったパティスリー(見習い)だ。

問題があるようには思えない。


わざわざ、俺にそんなことを依頼する意味はなんだ?


「貴方の意見が聞きたいのよ」


「俺の?」


「というか男の」


なにぃ。ま、ままままさか。

カレシぃににあげええるるぅとかぁああ。


「パッテン。父親からパティスリーになることを反対されてるの。甘い物なんて許せないって言う頑固爺らしくて」


「そうか!それはめでたいな!!」


良かった。まじ良かった。

ありがとう!!


「何もめでたくないわよ!」


「ふっ、貴様には関係ない」


こっちの話だ。


「くっ、だから、貴方には頼みたく無かったのよ」


しかし、こんな美味しいイベントが舞い込んでくるとは。


やばい。


見えた。

見えたぞ!

俺の勝利への道筋が今まさに見えたぞ。


これはおっぱい待った無し!!


「ふははははは、俺に任せて置くが良い!!」


「そ、そう。・・・不安だわ」




◇◇◇◇◇





パッテンの料理を見る約束をした次の日。

さっそく、彼女は俺の前に自分の作った菓子を持ってきた。


「これを食べて見てください!師匠!」


し、師匠だと!?

意気込むパッテンの言動に困惑しながら、俺はそれを見た。


「ほう。コーヒージュレか」


「はい」


俺はそれを口に入れた。

むぅ、大人向けのビターな味わい。


上にかかった甘さを押さえたクリームが程良いアクセントになっている。


「ふむ、悪くない」


甘い物が苦手な人でも受け入れやすい味だろう。


「パッテンはこれを父親に持って行くつもりなのか?」


「そうです!ダメでしょうか?」


俺は考えた。確かに悪くはないだろうが。

しかし。


「パッテンのお父さんはどんな嗜好を持っているんだ?」


「塩辛いのが好きです。あとお酒が好きです」


その言葉を受けて、俺はパッテンに尋ねた。


「お酒・・・、果実酒は?」


「飲みません。飲むのは麦酒と米酒、最近は芋酒ですね」


筋金入りの辛党か。

なるほど、そうなるとこれはどうなのだ?


コーヒージュレを前に俺は首を傾げた。


「パッテンはどうして、おやじさんにお菓子を食べて貰いたい」


「私のお菓子を認めて貰いたいんです!」


なるほど。

それでこの商品か。俺は笑った。


「ふっ、青いな」


俺の言葉にパッテンは困惑した顔をした。


「え?」


「自分の作品りょうりを他人に認められたい。その矜持は良いだろう。しかし、それではただのエゴイストだ」


自分よがりの料理をたくさん食べてきた。


俺の料理は最高の料理だ。そういう料理だ!

これを喰らえ!!


そうだろうなぁ。・・・お前に中ではな!


「プロとアマの違いはなんだ?」


「分かりません」


「己を知り、人を思うか、どうかだ」


俺の言葉にパッテンは震えた。


「自分との対話に苦労はないぞ。ストレスも堪らない。他人を知る努力は苦労の連続だ」


まったく、モテの道に終わりはない。

おっぱいが何を求めているか察することは俺にすら困難を極める。


しかし、俺はそれすらも克服し、おっぱいを得るのだ。


「師匠・・・」


「己とは、エゴとは、敵だ。しかし、己を知り、相手を思えば、お前にとっての己は武器になる。自分を自覚し、自分を使う事を覚えた時、その自分は個性ユニークという名の唯一無二の武器となりうるのだ」


「・・・はい」


「そうか、わかったか」


パッテンは満面の笑顔で言った。


「さすが師匠です!私、感動しました!!」


そうか。


ふふふ。好感度あーっぷ!!!


ふっ、だがまだ収穫には早い。

俺は真面目な顔で言った。


「パッテン。お前の武器はなんだ?」


「私の武器・・・・・・」




◇◇◇◇◇






数日後。

パッテンは新しい菓子を俺に出してきた。


「これはなんだ?」


「おからドーナッツです」


おからか。


「そうか、頂こう」


俺はそれを口にした瞬間に笑った。

良く分かっているじゃないか。


「パッテン。お前は自分の武器に気がついたか?」


「・・・ごめんなさい。分かりませんでした」


俺の前で少女は意気消沈した様子を見せた。


「お前は何を思ってこれを作った?」


「師匠に言われて思ったんです。相手のことを考えて料理を作ろうって。だから、その師匠に食べて貰いたいお菓子ってなんだろうって」


「それでこれか。これにはどんな思いを込めた」


俺の言葉にパッテンは小さく頷いた。


「相手の為に作る料理ってなんだろうって、分からなくなって。でも、今回、この料理を食べるのは師匠だから。だから、その、師匠に元気になって貰おうと思って、これは師匠の為に作りました」


「どんな効能がある?」


「はい、おからにはレシチンが含まれています。レシチンは脂質の代謝を良くするそうです。それに亜麻仁油を使いました。お菓子作りによく使われる油ですが、血液をさらさらにするというオメガ3系脂肪酸が多く含まれています。からっと揚がって軽いのも良いです」


そのパッテンの言葉に俺は笑った。


「さらに米粉を使ったな。カロリーを良く押さえつつまとまった味に仕立てたな。うん、よく勉強している」


「ありがとうございます」


ここら辺の栄養学知識はユノウス商会が数年前に発行し、衝撃を生んだ「美食、美しい食事の効能とその美学」という本で紹介されている知識だろう。


俺もその手の本は大抵読んでいる。


この本には否定派もいるが、美食におけるユノウス商会の支配を見れば、力ない否定になる。


俺はドーナッツを食べ終えて、満足すると笑った。


「だが、これは親父さんには出せないな。はは、おやじさんに食べてもらう料理を考えていたのだろう?お前は」


「す、済みません。迷走してしまって・・・」


俺は首を振った。


「それだ」


「え?」


「それがお前の武器だ。パッテン。お前の武器はその素直さと人を大事に思う心だ」


俺の言葉にうるっと来たのかパッテンが顔を真っ赤にしている。


ふふふふ。見たか!!

これが女を濡らすモテ男の言葉のパワーなのだ!!


「師匠・・・」


「おやじさんのことを思う気持ちを素直に形にしなさい。それがお前の菓子を彩る最高のエッセンスになる」


「はい!」


「よし。では、俺から助言を与えよう」




◇◇◇◇◇





俺はブルオ・フェルド子爵。

それなりに安定した中堅貴族だ。

家族は妻が一人。

俺の後を次ぐ事になっている息子と娘が二人。

慎ましいながら、それなりに良く働き、良く生きている。


うちは領地に鉱山を多く持っている。

鉱夫を多く部下に持った父は大酒飲みに加えて、鉱夫たちと塩分を大量に取る食事を一緒に取っていたことから大の辛党だった。


そんなおやじの嗜好を俺も引き継いでいた。


俺は湯浴みを終え、いつのも用に晩酌を始めた。

お気に入りのビールを一杯。


うむ、絶品だ。


ついつい口が寂しくなる。


「おーい、今日はなんだ?」


つまみを催促すると、妻は茶色の棒状のものを持ってきた。


「焼き菓子ですよ」


「菓子だと?そんなものは」


「もう、大丈夫ですよ。塩辛い奴ですから」


そうなのか?

俺は一口摘むと口の中にひょいと入れた。


「お、カレー味か。ふむふむ」


カリカリとした食感が癖になる。


「うん、美味いなぁ」


ビールをくいとしながら、ぽりぽり。


「ふふ、楽しいな」





◇◇◇◇◇






数日後。

俺はまた新しいつまみをほおばっていた。


最近日替わりで美味しい焼き菓子や枝豆がつく。


どれもビールに合ってなかなか嬉しい。


「なんだか、最近体の調子が良いんだ」


「そうなんですか」


「そうだ。美味い焼き菓子や枝豆は体に良いんじゃないか。すごい発見だぞ」


「あーはいはい」


俺は気分良く今日飲む分のビールを取り出した。


すると、最近、姿を見せない親不孝な娘の姿が見えた。

俺はどうしたものか分からずに目線を泳がせた。


「お父さん」


「パッテン」


真剣な娘の姿を見て、俺は言葉に一瞬、詰まった。

言いようのない感情がこみ上げてきて、俯きながら、皮肉気に呟いた。


「・・・パッテンか。ふん、お菓子作りなどというふ抜けた仕事はどうした?首になったのか?」


娘の顔を見ずに言う。

今、どんな顔をしているのか。

パッテンは昔から泣き虫だからなぁ。


俺はビールをグラスに注ぎながら、顔を上げる。

娘の顔に思わずビールを注ぐ手を動きを止めた。


パッテンは真剣な顔で俺を見てた。

なんだ?と思っていると妻の声が聞こえてきた。


「お父さんが最近食べてるおつまみはパッテンが用意したんですよ」


「なんだって?」


娘は俺に対しててっきり甘い物しか持ってこないと思っていた。


「パッテンがお父さんの体調を考えて作ったんですよ」


そう言われて驚いた。


体に良いもの。

あれが体に良い物だったのか。


俺の為に娘が・・・。

うるっと来た。

反対してばかりの俺に対して、娘がこんな風に良くして貰えるとは・・・思わなかった。


「娘よ。時々不思議な風味が菓子に混じっていた。あれはなんだ?」


「ウコンとだだちゃ豆です!どちらもお酒が好きな人には効果があるんです」


「ウコン?だだちゃ豆?ふつうの枝豆ではないのか?だだちゃ?」


娘は何故か少し恥ずかしそうに言った。


「だだちゃはお父さんって意味だそうです。ユノウス商会で栽培しているだだちゃ豆はオルニチンと言う成分がたくさん含まれているんです。オルチニンは肝機能を改善する効果があります。ウコンはカレーのターメリックに含まれる成分です。利尿と肝臓の解毒を早めます」


そんなに体に良いおつまみだったのか。

そうか、俺の体調を気遣ってくれていたのか。


「パッテン、俺を思って菓子を作ってくれたのか・・・」


ああ、なんて良い娘なんだ。

我が娘ながら、そう思った。


「それだけじゃないのよ。貴方」


「え?」


「実は普段の食事も少しずつ変えて言ってたんです」


「そうなのか?」


「お父様は高血圧気味なんです。塩の取りすぎは体に毒ですから。塩味を押さえる為に出汁で味をつけたり、工夫しました」


「私もパッテンに言われて少しずつ減塩してたんですよ」


そう言えば、最近食事の味が変わった。

パッテンが妻に教えていたのか。


「そうだったのか・・・」


高血圧という症状は最近聞いたことがある。

体には非常に良くないらしい。


しかし、自分には関係ないと思っていた。


「私のこと、お父さんは認めてくれないかもしれません。でも、もうそれでも良いんです。私はお父さんの為に菓子を作りたい。食べて貰いたい。それが大事だから。それで十分なんです」


「お、俺は」


俺は顔を真っ赤にさせた。

甘いものが大嫌いでそんなものを作るパティスリーなど認めないと思っていた。


娘の本当の思いにすら気づかない父親がこんなことを。

恥ずかしくてみっともない。


思えば、パッテンが甘い物にあこがれを抱く原因は俺にあった。


俺は幼い頃から甘い物を娘に与えず。

だから、娘はいつしか、縛られた分だけ甘いお菓子を求めた。


そして、出会ってしまった。

ミッシュのお菓子に。

後は止め様もなかったのだ。


「お父さん。もう良いじゃないですか。変な意地を張るのは辞めましょうよ」


俺は甘い菓子に娘を取られた気分でますます甘い菓子が嫌いになった。

ああだが、ちがったな。


「パッテン」


「お父さん」


甘い菓子で娘は大人になった。

一人前になった。


俺は巣立っていく娘の姿に悲しんでいただけだったのだ。

嗚呼、もう認めないといけないんだな。

この子が大人になったことを・・・。


「お前は立派な料理人になったのだな・・・」


「ありがとう、おとうさん」


俺のその言葉にパッテンは涙した。

そして、涙混じりの笑顔でこう言った。


「おとうさん、ずっと元気で長生きしてください」


「わかったぞ」


その日から晩酌はコップ一杯で止めることにする。

それでも十分。

特に今日の酒は格別の味だ。


娘の門出に乾杯。

娘の思いとだだちゃ豆をつまみに杯を傾ける。

ああ、なんと善き日哉。





◇◇◇◇◇





後日。

俺はパッテンから父にようやく認めて貰えたという報告を受けた。


「師匠のお陰で、お父さんに認めて貰えました」


ふふ、どうやら、作戦は成功したようだな。

酒飲みの胸襟が開くのはやはり酒を飲んだ直後だ。


そこにつまみ攻撃、良い話攻撃で畳みかければ余裕と言うもの。


俺はパッテンを笑顔で祝福した。


「それがお前の実力だ!パッテン」


「ありがとうございます。師匠」


感極まったパッテンの様子を見た俺は確信した。


いける。これは完全にオチている!

いけるぞ!!


ついに来たか!このときが!!

ついにおっぱい収穫の時がきたのだ!!


思えば、いろいろ長かった。

しかし、このときを俺はついに得たのだ。


「ぱ、ぱってん。実はははなしがあるんだ」


「はい、何でしょう。師匠」


俺は緊張しながら言った。


「ぱ、ぱぱパッテン、お、俺のおっぱいになってくれないか??」


「え、おっぱいってなんですか?」


しまった。焦りすぎだ俺。


「いや、す、すまん、つまり俺の恋人になってくれないかという・・・」


しどろもどろになりながらも俺は言った。

言ったぞ!言ってやった!!


俺の言葉に彼女は顔を真っ赤にして俯いた。

そして、顔を真っ赤にして彼女は呟いた。


す・・・。


「ご、ごめんなさい」


「え?」


あれ?え?


「あ、あの、済みません。レオさんの事、パティシエとして本当に尊敬してます。けど、あの、その。恋愛はちょっと・・・まだそういうのは興味ないと言いますか・・・。今はまだ、本当に大好きなパティシエに打ち込みたいんです!だ、ダメですか?」


「そ、そう、いや、ダメじゃないとおもうけど・・・」


え?

ば、ばかな。俺、今完全に振られてるよね??

そういう流れだった?


むしろ、はい喜んでおっぱい!な展開じゃなかった?

どういうこと?


え?


「はい。でも!これからも私の師匠でいてほしいです。私、レオ師匠のようなパティシエになりたいんです!だ、ダメですか?」


パッテン。

そんな熱血おこちゃま脳だったのか。


俺は。


俺は。


ふと、気づくとパッテンは泣きそうな顔をしている。


パッテンの泣きそうな顔を見て、俺は首を振った。


ふ、たったひとつのおっぱいに固着するなど、モテない男のすることだ。

俺はパッテンを許すことにした。


彼女の邪気の無い言葉に俺は笑って言った。


「解った、いいだろう。俺の舎弟にしてやろう。パッテン」


「え?舎弟ってなんですか??」


「弟子の様なものだ」


顔で笑い、心で泣いた。


く、くそ。

まさか、パッテンは攻略不能おっぱいだったとは。

お前、俺とはおっぱいする運命の無いわき役だったのか。

それならそれとはやく言ってくれ、運命よ。

こんなことに無駄な時間を。


おのれ、運命力!またも俺のモテを邪魔するのか!!

うぉおおおおおおおおおおおお。

あー、あー。

いやぁああああああああああああああああああああああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああ



―――――― 続く

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