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転生したった   作者: 空乃無志
第一章 幼年期編
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幼児、ベビーベッドに立つ※

※7月12日改訂

失われた精神力は翌日には回復した。

0になったらどうなるか分からないがあまり良くない気がする。

精神的疲労はほんとうにきつい。


いずれ誰かに聞けば、わかるのかな。


僕は指を動かし始めたあの日から、地道に体を動かすトレーニングをしていた。

そして、僕はついに立つ事に成功した。


苦節4ヶ月の長きに渡る戦いだった。

ついに、ついに、僕は大地に立ったのだ!


…まぁ、大地と言うか、実際はベビーベッドの上なんだけど。


誰もいない時を見計らって、ベビーベッドの縁を支えに立つ。


何だか感動する。

アルプスにいる少女が立った時、感動するのも当然かも知れない。


意識を取り戻してから今日で丁度、4ヶ月だ。

本来なら寝返りを打つのがやっとくらいのはずである。

どうやら、日々の地道な努力が功を奏した様だ。


カレンダーを見て数えた訳では無いし、正確な日数かは本当のところ、ちょっと分からないけれど。


僕はゆっくりと周囲を見渡す。

視線が高いなぁ、新しい景色だ。


遠くに時計らしきものが見えた。

僕は嬉しくなって笑った。良かった。

この世界にも時計はあるらしい。


時計盤に刻まれた数字は見慣れない形だがテンポよく進む秒針など驚くほど僕らの世界の時計に似ている。


振り子時計だ。これは凄い情報だぞ。

振り子時計は17世紀頃の発明だから、結構成長した文明がありそうだ。


慣れ親しんだ文化的なものに触れるとちょっとほっとする。


そうだ。調べてみたいモノがあったんだ。


僕は時計とサーチを使って精神力の回復量を正確に計る事にした。


今までの経験上、精神力が時間で回復することはわかっていた。

どの程度の周期で回復しているのかに興味があった。


「サーチ」


生命力 15/15

精神力 10/12

筋力 5

速力 4

知力 979

魔力 9


サーチ3


うん。こんなものかな。

1ヶ月前に比べて、筋力と知力と精神力とサーチの数字が上がっている。

どうやらちょっとした筋トレもどきやサーチの連続使用で数値が大きくなったようだ。


これはうれしいな。特に精神力の成長はうれしい。


僕は調子に乗って、ベッドの縁に体重を預けながら足をほんの少しだけ曲げる。

少しだけ負荷をかけてみる。


次に座ると木のベッドの丸い棒の部分を掴んだ。

思いっきり握ってみる。こうやって握力をあげる魂胆だ。


次に両腕を合わせて互いに引っ張り合う。

腕立て伏せや腹筋は筋力的にまだまだ無理だな。


静的な筋力アップだがしないより良いだろう。

いずれは動きの中で体を鍛えないといけないぞ。


柔軟も大事だがこの体ではまだ必要無いと思う。


大した運動では無いものの、心地よい疲労感が体を襲う。

もう一度、立って時計を確認すると一時間が過ぎていた。


「サーチ」


生命力 14/15

精神力 10/12


精神力の値が変わらない。

どうやら一時間程度でも回復するようだ。


それより問題は生命力だろう。

今の筋トレで生命力が消費された?

そういうことならこちらも回復の経過を見る必要がありそうだ。


こっちがゼロになったら、さすがに死ぬだろうし…。




◇◇◇◇◇





「~♪♪」


私はユノの横で服を縫っていた。

可愛い服をユノに用意してあげるのだ。


出来た!


「奥様、腕と首が繋がっています」


「え・・・?どうして??」


何が起こったのかしら。

広げて見たらおかしなことになっていた。

私は芋虫なら着れそうな服を前に呆然とした。


ごめんね。ユノ。

お母さん、ポンコツなのに調子に乗っちゃったみたい。


ひとまず、リージュさんが着れる形に整えてくれた。

リージュさん、有能すぎます。


私は日常的に使っているサーチを唱えた。


「あれ?また魔力が上がっている?」


他人に対して使うサーチでは得られる情報は限定的だ。

外見上の情報を補足する程度なので分かるのは。

年齢、性別、身長、体重。

ちょっと変だけど、胸囲やお尻の大きさも調べようと思えば調べられるようだ。

後は、Lv、生命力、精神力、筋力、知力などの各種項目などだ。

名前は聞いたことがある場合は情報が補足される。


自分の物ならともかく、他人が習得したスキルや魔法などの情報を見ることはできない。


「魔力って魔法を使わないと増えないわよね?」


経験上、そうだった気がする。


「ユノー、魔法が使えるの?」


「??」


駄目か。たぶん言葉は分かっていないようだ。

使えるのかな?


そういえば、無意識に魔法を使ってしまう癖のある子供の話を聞いたことがある。


ユノウスもそうだとしたら早い段階できちんとした魔法の制御法を教えてあげないと行けないなぁ。


「奥様、湯浴みの準備ができましたよ」


「ありがとう。よーし、ユノ。綺麗になりましょうね」


私はユノウスを脱がすと体をぬるま湯で拭き始めた。


「リフレッシュ」


最後に魔法で殺菌する。

これは気休めみたいなものだ。


ユノウスは自分の体が光に包まれたのを驚いた顔で見ている。




◇◇◇◇◇




うう。

翌日、前日に調子に乗ってやり過ぎた筋トレもどきのせいで筋肉痛になってしまった。

筋肉痛に悩む赤ん坊など異常だろうなぁ。


「サーチ」


生命力 14/16

精神力 10/12


おお、生命力の値が上がった。

筋トレでダメージを負えば、生命力も上がって行くのだろう。

しかし、生命力の低下が異常だ。

回復も見ていかないと。


僕は静養しながら、時折サーチで数値の変化を追った。

生命力の回復は微々たるものだった。


うーん、困ったなぁ。


生命力は3時間で1しか回復しなかったのだ。

精神力の方が回復が圧倒的に早いようだ。


これは筋トレは相当慎重にする必要があるようだ。


いや、そもそも体が出来ていない赤ん坊が筋トレすべきじゃないのか。


精神が大人になるのと体が大人になるのは訳が違う。

生命力はきっと大人になれば、回復量が増えるはずだ。


それに結局、サーチによる数値化など健康診断や体力測定の数値と同じものに過ぎないのだ。


僕の主観によるゲーム的な数値化。

そうサーチによって明記されている。


絶対的なものではないと思った方が良い。


ふと、人が入ってくる気配を感じた。

僕はさっさとサーチの表示を切ると誰が入ってきたのかとじっと伺う。


いつものメイドと母親の二人である。


「※※」


「※※※」


お互いに僕を見ながら何かを相談している。

すると、母親の方が意を決した様子で服の前の方を広げると乳房を露出させた。


うっ。これは。

そして、それを僕の顔に向けて突き出す。


何となくむず痒い。


いや、僕にとっては必要な行為であり、決して、やましい行いではないのだが。


僕は突起の先を申し訳無さそうにくわえると吸い始めた。

つまり、授乳だ。


だが、母親の母乳の出方は微妙である。

無くは無いのだが。

胸の大きさ同様に慎ましいというか。


痛そうにしているのもちょっと困る。

ごめんなさい。


しばらくして、落胆した様子の少女に替わって、妙齢の方のメイドが豊満な胸を露わに僕に向ける。


こっちは普段の食事だ。

僕もほっとして、母乳を飲み始める。

勢いよく吸い出した僕にメイドが苦笑いを浮かべている。


「※※※」


食いしん坊とでも言われているのだろうか。

仕方がない。


こっちは普通の赤ちゃんにしては圧倒的にアクティブだ。

栄養不足を常に感じている。


断っておくとこの変な味の母乳は決して良いものでは無い。

早く流動食に移行したいのだがどうにかならないのかなぁ。


そろそろ、離乳食が始まる時期のはず。


食事が終わり、二人が去っていくのを見届ける。

母親の方はまだ落胆してるな。


そんなに母乳が出したいのかなぁ。


「サーチ」


生命力 15/16


おお。

食事をして睡眠をとると生命力が大きく回復した。


食事は大事だな。


だが、しかし、今のところ栄養を補給する方法が無さ過ぎる。

当面、あの妙齢のメイドにがんばって貰うにしても食生活の改善は難しい。


体力面の強化は現状かなりセーブする必要がありそうだ。


となれば、サーチでの魔法の練習を中心に切り替えよう。

精神力の回復は早い訳だし。


ふと、サーチの項目のヘルプを思い出す。


対象の認識力を補助する魔法なんだよなぁ。

しかも、非表示も可能と。


非表示状態のサーチであれば人間にかけても大丈夫だろう。

ただ非表示ってどうやるんだろう。


僕は誰も居ないの見て立ち上がった。

周囲を見渡すと時計の他に姿見に見える鏡があった。


周囲をうろうろ見渡すぐらいは今までもしていたのであることは知っていたが活用するのは初めてだ。


「サーチ」


鏡を確認する。

今まで確認したことはなかったがサーチの画面が鏡に映り込んでいる。


よし、これが消えれば非表示は成功だな。

僕は魔法を変更しようと念じる。


が、上手くいかない。

上手くいくイメージが湧かない。


見えないようになれと念じればいけるかと思ったんだけど。


ふと思いつく。

このサーチの画面が僕の認識に準じているならいっそシステムのプロパティをいじる項目をイメージすれば、簡単なのでは?


すると、サーチの画面に変化があった。


設定の変更。


まじですか。便利すぎるでしょ。魔法。

僕は画面を開く。


表示のon/off


あった。僕はすぐにオフに設定する。

表示が僕からの見た目では半透明になった。

と、遠くの鏡に映るサーチの補助画面が消えた。


よーし。上手く行ったぞ。


さらに思いつく。これが認識の補助魔法なら。

もしかすると…。











挿絵(By みてみん)

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