表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートストーリー

あらうんどともはる ~あけてもさめてもはぷにんぐ~

あけましておめでとうございます。2013年もよろしくおねがいします。


はわわ~新年記念投稿なのにもう元日終わりかけ……。


もっと早くに書ければよかったなぁ(笑)


いろいろ意味不明なコメディですが、最後までご覧いただければ嬉しいです。

 ゴ~ン……


 ゴ~ン……


「うおおおお……何回オレを殴れば気がすむんだ……オレはこれ以上バカにはなれないぞ……」


 これは、大晦日の夜に108回叩かれるという、除夜の鐘の憂鬱を描いた物語―――






「とも兄、起きてよ!」

「お兄ちゃん、あと5分!」


 ―――ではなかった。


「ふぇ? あ、おめでとう」

「まだあと5分あるよ!」

「……え?」


 青田(あおた)友晴(ともはる)。青田家の長男で、髪型は坊っちゃん。おでこあたりを見ると髪の毛のはしっこがギザギザとしたもように見えるのがポイント。

 今日は大晦日で、兄妹揃ってカウントダウンをしようと兄自ら言い出したものの、丁度さっきまでグースカ寝ぼけていたという。

 その証拠に、こたつのテーブルの上には「液体」が少々。そんな兄は半目しか開けていない両目を擦りながら話し始めた。


「いやー……自分が除夜の鐘になってボカスカ延々と叩かれる夢を見たんだけどさ……」

「それは災難だったね……」

「いや、それだけじゃなくて感覚もリアルだったんだよなー、『和希』?」


 友晴の鋭い視線は彼より15センチ低い男の子に向けられた。

 青田(あおた)和希(かずき)。青田家の一番下の子で、普段は大人しく口数も少ない。が、友晴曰く時に思いがけない行動に出ることも。例えば、


「だってとも兄、言い出しっぺの癖に全然起きないから最終手段で……」

「だからって口より先に手を出すなよ!」


 これは一例に過ぎない。

 友晴が除夜の鐘と化したのはこれが原因なのかもしれない。


「お兄ちゃん、和希はちゃんと最初に口で伝えたよ!?」


 青田(あおた)結奈(ゆな)。友晴の妹で真ん中の子。黒髪のおかっぱで、背も友晴と和希の間。

 結奈がそうだよねと尋ねたら、和希はうんと首を縦に振った。


「今日はたまたまだろ!? いつも言葉の代わりにパンチだし……!」

「15分呼び掛けても起きないとも兄が悪いんだい!」

「何だとー!」


 1人取り残される結奈。こんな感じの口喧嘩を見て彼女が溜め息をこぼすのは決してこれが最初ではない。


「年越しちゃうよ……」


 で、それから数分後。


「10、9、8、……」

「とも兄のわからず屋! ……って」

「「ええええええええ!?」」


 漸く7セグのデジタル時計に向き合って声を出している結奈に気づいたアホ2名。 カウントはもうすぐ0だ。


「3、2、……」

「「「1!」」」






「「「おめでとーー!!」」」


 と大きな声で新年を祝う3人。






 が、しばし沈黙が続いた。






「……和希、何か目的を見失うと馬鹿馬鹿しくなってきたよな」

「うん、ごめんねとも兄」

「いいってことよ! 一応最後の『1』でハモったからな!」

「さっ、仲直りしたことだし、布団で寝よっか!」


 結奈の先導でそれぞれの部屋に向かう。部屋は結奈で1つ、友晴と和希の共用で1つ。

 2段ベッドの上側では友晴が既に眠りについていた。相当眠たい中和希に叩き起こされたという表れなのだろうか。それとも和希が与えたダメージが深刻だったのか。

 下側で寝転がっている和希はまだ起きていた。彼は思わず、


「ふふっ」


 ベッドの天井に向かって笑顔を見せた。




 ブロロロロ……


(……あれ? 何か音がしたような……母さん集会から帰って来たのかな?)


 そう思った次の瞬間に和希の両まぶたは次第に重くなっていた。






 元旦 AM9:00


「「おめでとー!」」


 改めて新年のご挨拶。しかし、1人足りない。


「あれ、お兄ちゃんは?」

「まだ部屋で寝てるけど」


 そう。しかも訳の分からない寝相で。布団は勿論蹴り倒す始末。


「だらしないねー。じゃああたし達だけで早速年賀状の仕分けしよっか」


 結奈は玄関までスリッパを履いて向かった。玄関のドアノブ式の扉には郵便受けがあり、手が向かう先は勿論そこ。

 片手に取った年賀ハガキの束を眺めながらにして彼女はこうこぼした。


「単純に5で割り算したら1人10枚位かな……でも大体お父さんお母さんの方が多いしあたし達はもっと少ないよね…………あれ?」


 結奈は1枚のハガキだけが輪ゴムで縛られていないことに気づいた。


「たまに聞くよねー間に合わないから直接配達するってひと」

 その年賀状は、こんな内容が記されていた。




『ひらがなの“こ”』


『(地図のような絵。一箇所に赤い点が打ってある)』




(……何これ?)


 暫く固まる結奈。その時間が少し長かったのか、リビングから結奈を呼ぶ声が聞こえてくる。


「ちょっと待ってて!」






「お姉ちゃん……これって家の地図じゃない? だって花壇の置き方からして家のとそっくりだし」

「なるほど……! でも誰が何のために……」


 誰が……?

 ハガキの表面に何も書いていなければそう思うだろう。

 2人は赤い点の指し示す場所―――台所へと向かった。


「この食器棚かな?」


 結奈は疑問に思いながらもその中を探したところ、ひとひらの紙切れを発見した。


「「えっ……!?」」


 紙切れを開けた結奈はさらにびっくり。さっきのハガキと同じような絵が描いてあったのだ。




『ひらがなの“と”』


『(また地図のような絵。一箇所に赤い点が打ってある)』




「お父さんとお母さん、いつの間にそんな……」

「うーん、でもそんなことする理由がよくわかんないなー最悪110番した方がいいのかな……」


 誰が何のために家中にこんな紙を仕込んだのかは謎である。

 2人は両親が犯人だろうと考えるが、そんなことをする性格には思えないらしい。故に最悪の事態も頭をよぎる。

 が、それと同時に箪笥等を荒らされた形跡も殆ど無いため、さらに真相は謎に満ちていく。

 とその時、


「ふあぁぁぁ……あけましておめでと……あれ? 2人ともどした?」


 約1時間差で長男、起床。


「お兄ちゃん! おめでとう。実は……」


 事情を説明する結奈。すると話を聞いた友晴は1人納得したように頷いたのだという。他の2人はまだ疑問が残っていたが。


「ほほー。これはまさかあいつがやったのか……? じゃあ家の中に入れたのも……」

「とも兄、どういうこと?」

「それはだな……」


 兄が真相を話そうとしたその時、ちょっと呼び鈴が鳴り響いた。


「空気嫁……」

「はーい!」


 兄は起床したばかりのパジャマ姿のため妹が代わりに玄関へと向かった。

 集会から帰ってきていない両親だろうかと思いながら。

 ドアを開けた先にいたのは、


「……輝彦兄ちゃんにわた子姉ちゃん!?」


 南村(みなみむら)輝彦(てるひこ)南村(みなみむら)わた()。友晴たちのいとこ。


「結奈ちゃん、あけましておめでとうございます」

「A happy new year! 結奈ちゃん久しぶりでふ~」


 輝彦は普段は黒ぶちのまるめがねを掛けていて、わた子の兄。

 わた子は茶髪のショートヘアに星形のヘアピンを愛用。因みに背は兄よりも著しく低く、友晴より年上だが背は結奈と同じくらい。


「あれ、結奈ちゃんまだ2枚目ですかー?」

「うんそうなの。『こ』『と』の2枚の紙を見つけて…………ってえええええええええ!?」


 その横からパジャマ姿で玄関にやって来た長男。


「やっぱり……お前が犯人かよ、テル」


 そう、紙を仕込んだ張本人は輝彦だった。友晴は既に勘づいていた様子。


「あれあれ? どうしてバレちゃったんでしょーか?」

「そりゃ分かるぞ! テルが持ってるゲームのマスコットキャラのウサギがこの紙に可愛く描いてあったんだよ!」

「あ、らぴこちゃんのこと? トモくん知ってたんですか?」

「ケータイのストラップに付けてたらフツーに見えるし!」


 レフェリーわた子、まあまあと言いながら2者を落ち着かせる。


「どうやって家の中に入ったの?」

「答えによっては110番するぞ」


 結奈と友晴の問い詰めに、輝彦は正直に話した。


「それはですねー、集会の会場で好美さん(友晴の母)が真っ赤な顔をしてたんでこれはチャンス! って思って合鍵をもらったんですよー」

「オイオイ!! 半ば窃盗じゃねーか!!」

「まーまー、あと6枚見つけましょーよ」


 台所でその会話を聞いていた和希は、今日未明に寝る前に聞こえた音の正体に半ば気づいたらしい。


「メッセージのつもりだったんですけどねー。」




 で、青田兄妹3人で探すこと1時間。

 更に5枚の紙切れが見つかった。そこにはそれぞれ『し』『も』『な』『か』『よ』の文字がひらがなで書かれていた。


「7枚目の紙には『胸ポケット』って書いてる……」

「……オイオイ」


 和希の言葉に友晴は気が気でない様子。友晴は自分の寝室へパジャマを取りにいき、胸ポケットに右手を突っ込んだ。

 確かに何か入っていた。


「テルは何がしたいんだよ……」


 最後の紙には「し」と書かれていた。




「じゃ、見つけた順番に言ってみて!」


 わた子に促されるままに一同は読む。


「「「こ、と、し、も、な、か、よ、し」」」

「『今年も仲良し』?」

「どーゆーこと、テル?」


 結奈が言い直した言葉の意味を問う友晴。


「そのまんまですよ。トモくんと和希くん、たまに喧嘩になるからさ、仲良くしてあげてくださいねー、トモくん?」


 が、友晴はいつの間にか大量の羽根つきと羽子板を装備していた。そんなにいっぱい何故持っている?


「よ……余計なお世話だ~~!!」

「わー逃げろー」


 シュート連発。標的は当然輝彦だ……。




「ま……うちのてる兄ちゃんってちょっと変わってるけど、言ってることは当たってるから和希くんも友晴くんと口でお話ししようね」

「……うん!」

「Good reply.」




「待てこの不法侵入者ー!」




 2013年1月1日、今年も友晴の周りは賑やか!

「おまけ」


 青田好美は長い長い集会の後にべろべろに酔い、知り合いの家の布団でグースカ寝ていました。




 はい、お疲れ様です。いかがでしたでしょうか、矛盾だらけのアホコメディは?


 友晴と結奈ですが、彼等はこの小説が初めての登場と言う訳ではありません。


 活動報告や別作品(外部サイト)にちらりと登場していたキャラだったりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ