Episode‐1
「準備できたか?」
「うん。」
「できたぞ。」
「できたんだろうとは思うけど・・・」
とある城下にある一軒の宿屋。その一室で4人はカバンを広げいた。中身はそれぞれの個性が発揮されている中身だが、その前に問題があった。
「これ、全部背負って移動する気かよ・・・」
「え、そうじゃないの?」
「待とう。少し待とう。」
「何でけ?」
「どう考えても持って移動できる量じゃねーだろぉ!!」
「そりゃ、リュウガが体弱いからだよー」
「いや、俺も無理だと思う。」
「えー、アイセまで何言いよんけ。」
「この荷物背負って隣町まで行くのも難しそうだよな・・・」
「んじゃあ、馬か何か買おう!」
「確かにそうすりゃ楽だけどよ?馬車だって安くないんだぜ?」
「もちろん・・・」
「「「リュウガ持ちで!」」」
「ああああああああ!もう、やっぱりかよ!!!」
こうして一頭の黒い雄馬と大きめの馬車を買い、今度こそ旅へと出発したのだった。
見渡す限りの草原。御者台に座るのはリュウガ。残りの3人はのんびりと馬車の中でくつろいでいた。
目的地は世界樹のもと。その道は限りなく広大なものに思える。
「影は見えるんだけど、なかなか近付けないんだよなぁ。」
「だって、世界樹やもん。」
「何だその解答・・」
「でもそうだろ?ほら、一日でも早く着けるように頑張ろうぜ!」
「・・・食料もそんな持ってってへんしな。」
「げ、現地調達ってことで・・・」
そう、彼らの荷物の中には1週間分程度の食料しか積まれていなかった。理由としては、「ま、どっかで入手できるだろ?」何て甘い考えをしていたからなのだが。
しかし、そんな甘い考えでも乗り切れてしまうのが彼らであった。平和に暮らしている街や村に被害を及ぼす「モンスター」を狩り、「依頼」をこなして報酬をもらう「冒険者」たる彼らは、いざとなれば猛獣の一体や二体捕らえて食料にしてしまうのは可能なのである。
「日暮れまでに次の町に行けたらいいなぁ・・・」
「なー。」
「俺、野宿とか嫌やから。」
「お、珍しく意見があったな。」
「はいはい。じゃ、ちょっと急ぐぞ?揺れるのは我慢しろよな。」
夕暮れに染まる道を駆ける馬車。中では夕食の話や最近こなした依頼の話など、くだらない話に花を咲かせながら多少運転の荒くなった馬車に揺られていた。
はじめまして、兎宗月と申します。
「何様、如何様、博打打ち」と言うサイトで小説を書いている者ございますね。
一話も終わったところで、軽く主人公たる4人の男を紹介をしておきましょう。
リュウガ:フルネームはリュウガ・M・グラナード。貴族の出である吸血鬼で、楽器・・・とくにヴァイオリンを武器にする吟遊詩人です。
アイセ:フルネームはアイセ・テコフィレア。森に住むエルフの青年で、素手で戦う武道家です。
リオ:ピクシーの青年で、槍を振るうドルイドです。
刕綺:読みはリキです。麒麟の青年で、刀を使う剣士です。
ま、ざっとこんなもんです。細かい設定が知りたい方は、こちらにどうぞ。
http://fblg.jp/ryuuka0/article/6204416
更新速度は遅めですが、よろしくお願いします。
もしよろしければ、感想など頂ければ・・・