その6善悪
殺人藝蹈…皆殺しの剣の欲望(つまり殺人欲)を解放し、真の力を生み出す。
解放前より何十倍もの力を剣を持つ者に与え、さらに剣の力も増幅するというこの剣最大の特徴だ。
しかし、この力を起こした後の剣の持ち主は半日の睡眠を要する。
「マーダーズドライブか…フフフ…そんなものは効かない。」
そう言うとラーマの傷が見る見るうちに治っていく。「死神の力は絶大です。そんなかすり傷程度の斬撃はすぐになおりますよ。フフフ…」
そして不敵な笑みを浮かべ、また消える。ペイントゥースの刃が落ちかけの月の光に照らされて淡く光る。
皆殺しの剣マサカァソードと英雄の槍ペイントゥースの刃が交わる。ペイントゥースが魔神マサカァの頭の数ミリ横を貫き、同じく皆殺しの剣もラーマの横腹数センチを貫く。
「答えろラーマ!お前はなぜ世界を支配したいんだ!?」
「フフフ…それはこの世界を私の創造する世界にしたいのです。人も動物も植物もすべて思い通りに動かしたいのですよ。だからあなた方が邪魔なんですよ。世界を支配するという嘘つき魔王がね!」
ペイントゥースはマサカァの肩を貫き、青いの鮮血をまともにかぶった。
「嘘つきだと!?デミウルゴスは確かに世界を支配するという計画を立てた。だがデミウルゴスが来る前の政治はどうなんだ?あちこちで暴動や政治的弾圧が絶えなかったじゃねーか!!それを見兼ねたデミウルゴスが世界を救おうとしただけで何が悪い!クソ政治に関わった人間を皆殺しにして何が悪い!」
マサカァの皆殺しの剣はラーマの体を二つに裂いた。鮮血が辺りを赤く染めあげる。しかし赤い血は、すぐに黒く変色していく。
「だから私が変えるんじゃないですか。思い通りの世界に…フフフ…ひとつ良い事をお教えしましょう。デミウルゴスを倒した報酬は、死神との契約ですよ。フフフ…無敵の体と我が世界が揃って初めて満たされるのです!私の欲望が…」
いつの間にまた傷が治り、二つに裂けた体は元通りだ。
「お前は絶対に倒す!皆殺しの剣は悪が使えば最凶の剣になるが、善者が使えば最幸の剣になるのだ!魔王の事を世間は嫌っていたが、正しいのはこっちだ!お前みたいな汚れた心では絶対に折れない剣なんだぁ!!」
渾身の一撃は、ラーマの頭を完全に断った。すべてを終わらせる為に…