その11攻防
はっ!という威勢のいい声と共に攻撃を仕掛けたのはもちろんエルシフ!皆殺しの剣を握り締め、ラーマに向かう。
「避けきれるか?」
無数の斬撃をラーマに繰り出す。
しかし、すべて今もなおラーマの愛槍であるペイントゥースによって防がれる。
ラーマの動きはあの時より衰えていないどころか数段キレがよくなっている。
エルシフは攻撃を続けるが…グサッ!!という音で攻撃が止む。
ペイントゥースが腹に刺さり、青い血を流す。
ポタポタと落ちる血がペイントゥースを伝う。蜘蛛の糸の滴のように。ゆっくりと。
「幻滅ですね…私をもう一度楽しませてくれると思ったのですが。」
ラーマはそう言うと傷口を突き刺さった槍でグリグリとかき回す。
苦痛と恐怖がでると思ったのだろう。
ラーマはフフフと笑い続ける。
だが、全くそれに動じないエルシフは、逆に苦痛というものを感じさせない。「10年…長かったよ。この10年、切磋琢磨して頑張ったわけでもなかったが、お前を越えるぐらいの力は裕についた。ラーマ…終わりにしようぜ。お前のくだらない世界支配に付き合っている暇はないんだ!」
ペイントゥースはエルシフの手で抜き取られ、エルシフの怒りの拳がもはや見る影もないラーマの顔に当たる。
ラーマは吹っ飛び、元のラーマに戻る。ゲラダの面影は何一つ残らずに。10年間かけて蝕んだゲラダの体は存在自体を失っていた。
「この小僧は寄生するのは楽でしたよ…フフフ…10年の間共に生活し、私はどんどん意識を奪ったのです…その苦労がわかりますか?ハハハハハ!」
速い!不覚にもエルシフは後ろをとられ、ペイントゥースの連撃をくらった。
大量の青色の雨がラーマの優越感をあおる。
「てめぇ!!殺人藝蹈!!」
ペイントゥースと皆殺しの剣が噛み合う。
その隙をついたエルシフが一突。腹に深く刺さり、ラーマが断末魔の悲鳴をあげる。
「終わりだ…魔王拳!!」
紫に光る拳が、ラーマの欲望と信念…そしてゲラダの体を砕いた。決戦は結末を迎えた…