その10結末
修行は数ヵ月にもおよんだが、この闇の中では全く時が進まない。「魔王デミウルゴス!!…ありがとうございました!!」
エルシフは漆黒の闇の中で、深々と頭をさげた。
「お前に教えることはすべて教えた。ワシを越えてゆけ!エルシフよ!」
エルシフは元気よくはい!と答え、闇を後にした。
またスゥーと気が抜けるとあの木の下にいた。「死神英雄ラーマ…なぜ復活したのだ…」
そう言ったのは皆殺しの剣だった。
「あの時完全に殺したはずなんだが…」
確かに魔神マサカァとなった皆殺しの剣の手により、英雄ラーマは滅びたはず…しかし…奴は生きていた。エルシフはそのことが手にとるようにわかるのだ。
「奴は、身近にいる!あの時塵と化したラーマはある人物に寄生したんだ!死神の魂と共に!」
あの時と同じ風が吹く。木々は揺れ、大地は決戦を祝福しているかのようだった。「その人物とは…」
エルシフがそう名前を言おうとしたその瞬間、奴は現れた。
10年の刻を過ぎ、成長したゲラダの姿だった。
しかしその姿は顔だけゲラダで、体はラーマになっている。
「エルシフ…グググ…マッサツセヨ!」体から無数の黒い手が生えてくる。
顔もゲラダとは程遠くなっていく。まさに死神と呼ぶのに相応しい体になる。
「マサカァ…ヨクモワタシヲ…グググ…キサマヲコロシ…シンノエイユウニ!」
「てめぇなんかが真の英雄なんかになれるか!行くぞ!マサカァソード!」
そして、エルシフも皆殺しの剣の力で銀髪の魔神マサカァとなる。
エルシフとマサカァと魂が同化し、お互いの意志を保てる。
「最終決戦だ!お前を倒し、真の平和を!」そして決戦は始まった。