46話 Kingdom of Astraldia Ⅺ
ズンッ――!!
超大型次元イーターが、谷を揺らしながら前進する。
その巨体は。
他の大型個体とは比べものにならない。
黒紫色の外殻。
歪な四肢。
そして。
異様なほど巨大な頭部。
前進するだけで、大地そのものが軋んでいた。
真田兵達の間にも、緊張が走る。
「で、でかすぎる……」
「何だあれは……!」
だが――。
幸村だけは、静かにその巨体を見据えていた。
扇を閉じる。
そして。
小さく口を開く。
「佐助、才蔵」
その声に。
岩場の上へ着地した猿飛佐助と。
木の枝へ立つ霧隠才蔵が視線を向ける。
幸村が、超大型個体を見据えたまま聞いた。
「二人で、あのデカブツをやれるか?」
一瞬。
静寂。
そして――。
才蔵が、ニヤリと笑った。
「誰に聞いてんだよ、旦那」
刀を肩へ担ぐ。
「派手なのは得意分野だぜ?」
佐助も、静かに小太刀へ手を添える。
「時間はかかるかもしれませんが」
視線を敵へ向ける。
「殺れます」
幸村が、ふっと笑った。
「そうか」
扇を開く。
「なら任せる」
その瞬間――。
佐助と才蔵の姿が消えた。
「――っ!?」
超大型次元イーターの顔付近へ。
佐助が、一気に跳躍する。
小太刀を抜き放つ。
「――そこだ」
ズババババッ!!
高速の斬撃。
関節部へ、鋭い刃が叩き込まれる。
巨体が、僅かによろめいた。
その直後――。
別方向の岩壁から、才蔵が飛び出した。
「まずは目眩しだァ!!」
大量の爆薬付き苦無を投擲。
ドガガガガガァァァンッ!!!
爆炎が、巨大な顔面を包み込む。
だが――。
グォォォォォォォッ!!!
超大型個体が、巨大な腕を振り回す。
空気そのものが裂ける。
佐助が、冷静に回避する。
しかし次の瞬間。
巨大な尾が、岩場ごと薙ぎ払った。
ズガァァァァンッ!!!
岩壁が吹き飛ぶ。
土煙が舞う。
「才蔵!!」
真田兵達から声が飛ぶ。
しかし――。
煙の中から、笑い声が響いた。
「ははっ!!」
才蔵が、岩壁を蹴って再跳躍する。
刀を抜き放つ。
「やっぱデカい敵は面白ぇ!!」
その時だった。
パンッ――!!
乾いた銃声。
筧十蔵の狙撃。
銃弾が、超大型個体の顔面へ撃ち込まれる。
巨体が、一瞬だけ動きを止めた。
佐助が、その隙を逃さない。
「才蔵!!」
才蔵が、ニヤリと笑った。
「あいよ!!」
空中で、大量の爆薬苦無を構える。
そして――。
超大型個体の頭上へ、一気に投下した。
ドガァァァァァァンッ!!!!
凄まじい爆炎。
だが――。
まだ倒れない。
巨体が、なお前進を続ける。
その瞬間。
佐助の目が鋭く細まった。
「……そこか」
次の瞬間。
佐助が、一気に加速する。
風のような速度。
超大型個体の懐へ潜り込む。
そして――。
二振りの小太刀を交差させる。
「猿飛流――」
「影穿」
ズバァァァッ――!!
鋭い一閃。
超大型個体の首元へ、深々と斬撃が走った。
巨体が、大きく揺らぐ。
その瞬間。
才蔵が、刀を構えながら飛び込む。
「終わりだァァァッ!!!」
ズガァァァァァッ!!!!
豪快な一刀。
爆炎と共に。
超大型個体の頭部が、完全に切り裂かれた。
そして――。
ズゥゥゥン……
超大型次元イーターは。
ゆっくりと崩れ落ちた。
谷全体へ、衝撃が走る。
静寂。
そして次の瞬間――。
「「「おおおおおおおおッ!!!!」」」
真田軍と海援隊から、歓声が上がった。
才蔵が、着地しながら笑う。
「へへっ、楽勝!」
佐助は、静かに小太刀の血を払う。
「……騒がしい」
だが。
その口元は、僅かに笑っていた。
幸村が、静かに二人を見る。
そして――。
ふっと笑った。
「見事だ」
――中央戦線。
海側では、なお真田軍と海援隊が激戦を繰り広げていた。
艦砲射撃。
銃撃。
六文銭の赤備え。
爆炎と怒号が、絶え間なく響いている。
だが――。
中央もまた、凄まじい戦場と化していた。
ゲートから溢れ出る次元イーター。
その濁流へ。
真正面からぶつかっているのは――。
新選組。
奇兵隊。
そして。
源氏軍騎馬隊だった。
浅葱色の隊士達が、異形の群れへ飛び込む。
その先頭。
総司が、一気に敵群へ踏み込んだ。
「はぁっ!!」
閃く斬撃。
次元イーター数体が、一瞬で両断される。
その速度は、まるで消えたようだった。
さらに左右から、異形が飛び掛かる。
だが――。
「総司くん!!」
美雪の声と同時。
吹雪が、戦場を駆け抜けた。
ゴォォォッ――!!
白銀の冷気。
複数の次元イーターが、一瞬で凍り付く。
総司が、笑った。
「ナイス、美雪ちゃん!」
そのまま踏み込む。
「無影三段突き――!!」
ズババババッ!!
三連の神速突き。
凍結した敵ごと、次元イーター達が貫かれた。
美雪も、白銀の妖力を解放する。
周囲の空気が、一気に冷え込む。
氷槍が、空中へ無数に形成された。
「皆んなの前には行かせない!!」
氷槍が、一斉射出される。
ドドドドドッ!!
敵群が、まとめて吹き飛ばされた。
その横では――。
土方が、真正面から敵群へ踏み込んでいた。
「邪魔だァ!!」
一閃。
重い斬撃。
次元イーターの外殻ごと叩き斬る。
さらに。
飛び掛かった個体へ、脇差を逆手で突き込んだ。
ズガッ!!
そのまま蹴り飛ばす。
鬼気迫る戦い。
まさに“鬼副長”だった。
永倉も、大笑いしながら敵陣を暴れ回る。
「はははァ!!」
豪快な太刀筋。
次元イーター数体が、一気に吹き飛ぶ。
原田は、槍を豪快に振り回した。
「どけェェェッ!!」
一直線。
槍が、大型個体の身体を貫く。
藤堂も、俊敏な動きで敵群を翻弄していた。
そのすぐ横では――。
晋作が、刀を振り抜く。
ズバァッ!!
異形を斬り裂く。
その直後。
パンッ!!
拳銃を発砲。
別個体の頭部を撃ち抜いた。
「次ぃ!!」
次々と迫る異形。
だが。
晋作は止まらない。
刀と銃。
両方を使いながら、敵陣を切り裂いていく。
その上空。
赤龍シンが、咆哮を上げながら旋回していた。
シンの背には、茜。
弓を引き絞る。
「晋作さん!!」
光矢が放たれる。
ズガガガガガッ!!
敵群を一気に穿つ。
さらに。
茜は即座に次の矢を形成。
「右側来てる!!」
晋作が、笑う。
「助かる!!」
奇兵隊士達も、銃撃を続けながら応戦する。
撃ち。
斬り。
押し返す。
中央後方では――。
義経が、騎馬隊を率いて駆け抜けていた。
「――遅い」
神速。
馬上とは思えない速度。
一太刀ごとに、異形が宙を舞う。
その背後から迫る大型個体。
だが。
「ぬぅんッ!!」
弁慶の薙刀が、真正面から叩き込まれた。
ズガァァァンッ!!!
大型個体が、吹き飛ぶ。
義経が、その隙へ踏み込む。
「そこだ」
閃く斬撃。
大型次元イーターの首が、宙を舞った。
しかし――。
戦況は、なお厳しい。
次元イーターの数が、多すぎる。
兵士達の顔へ、疲労が滲み始める。
その時だった。
グォォォォォォォッ!!!
大型次元イーター数体が、一気に中央戦線へ突っ込んできた。
だが――。
後方。
織田軍陣営。
信長が、鋭く戦場を見据えていた。
「小物はそのまま流せ!!」
手を振る。
「こちらで仕留める!!」
その目が、大型個体を見る。
「大物は任せるぞ!!」
次の瞬間。
「撃てェェェッ!!!」
織田軍鉄砲隊による、一斉射撃。
ダダダダダダダッ!!!
轟音。
煙。
銃弾の嵐が、小型次元イーター群を次々と撃ち抜いていく。
秀吉が、怒鳴る。
「弾切らすなァ!!」
利家も、槍を振りながら敵を蹴散らす。
「押し込ませるな!!」
その援護を受け――。
紅い閃光が、戦場を貫いた。
ズガァァァァァンッ!!!!
大型個体の一体が、真正面から吹き飛ぶ。
「待たせたわね!!」
セレナだった。
二本の槍を構え。
大型次元イーター達の前へ立つ。
その隣へ。
晴明が、静かに歩み出る。
指には、既に札が挟まれていた。
「急急如律令――」
札が、一斉に宙へ舞う。
巨大な五芒星陣が展開。
次の瞬間。
雷撃が、戦場へ降り注いだ。
ドゴォォォォンッ!!!
大型個体達が、まとめて吹き飛ばされる。
千代女も、影のように戦場を駆ける。
「こっちよ異形共!!」
クナイが閃く。
さらに。
爆薬札が炸裂。
敵群を撹乱していく。
セレナが、槍を構え直す。
「AX班!!」
真っ直ぐ前を見る。
「大型は私達で止める!!」
総司が、笑った。
「了解!」
晋作も、刀を振る。
「派手になってきたじゃねぇか!!」
義経が、静かに笑った。
「ならば――」
刀を構える。
「こちらも、退く訳にはいかんな」
戦場全体が。
再び、大きく激突していくのだった。
中央戦線。
激突は、なお続いていた。
斬撃。
銃声。
爆炎。
怒号。
戦場全体が、絶え間なく揺れている。
その中――。
晋作が、刀で次元イーターを斬り裂いた。
ズバァッ!!
さらに。
至近距離から拳銃を発砲。
パンッ!!
異形の頭部が吹き飛ぶ。
晋作が、笑いながら叫ぶ。
「海側めっちゃでかいの出てきてたが、あっという間に終わったな!!」
その近く。
千代女が、小太刀で敵を斬り捨てながら答える。
「あー、多分到着したかな?」
さらに一閃。
敵の身体が崩れ落ちる。
「真田軍……」
総司も、敵を斬り払いながら反応した。
「十勇士が、それなら納得できる!!」
その時。
大型次元イーターが、中央戦線へ突っ込んでくる。
グォォォォォッ!!
晋作が、眉をひそめた。
「敵の大型、多くなってきてねぇか?」
晴明が、札を放ちながら静かに言う。
「小型の数が減っていないのに……」
札が炸裂。
複数の次元イーターが吹き飛ぶ。
晴明は、鋭い目で戦場を見渡した。
「大型がさらに増えている……」
少し離れた位置。
ラファエルが、大剣へ魔力を纏わせる。
そして――。
魔法剣の一撃。
ズガァァァァンッ!!!
敵群が、まとめて吹き飛んだ。
ラファエルが、叫ぶ。
「やっぱ物量じゃねぇか!!」
次の敵へ踏み込む。
「知能があるかもって話は無しだな!」
だが――。
総司は、敵を斬り払いながら首を横へ振った。
「まだ分からないよ!」
鋭い斬撃。
次元イーターを切り裂く。
その目は、冷静に戦場全体を見ていた。
「現に、物量に大型っていう“力”が加わった」
さらに踏み込む。
「これって、防衛ラインを崩しにきてるよね?」
その瞬間。
大型個体が、防衛線へ激突する。
ズガァァァンッ!!
兵士達が、吹き飛ばされた。
総司が、険しい顔で呟く。
「このままだと……被害が出始める」
その時だった。
ブォォォォォォッ――!!
角笛の音が、戦場へ響き渡る。
全員の動きが、一瞬止まる。
後方。
織田軍陣営付近。
そこへ――。
新たな軍勢が現れていた。
掲げられる旗。
一つは、黄金の獅子紋章。
もう一つは、黒鉄の双鷲。
それを見たガルディアスが、目を見開く。
「……あの旗は」
信じられないように呟く。
「リディア皇国軍!?」
さらに。
別の旗を見る。
「それにもう一つは、ディスタル共和国軍……何故!」
両軍が、防衛線後方へ並び立つ。
その先頭。
重装騎士が、声を張り上げた。
「世界存亡の危機!!」
その声が、戦場へ響き渡る。
「加勢しに参った!!」
さらに叫ぶ。
「ガルディアス騎士団総長は何処か!!」
その様子を見て。
信長が、静かに笑った。
「援軍か……」
ガルディアスは、なお驚きを隠せない。
「その様だ……」
だが。
すぐに表情を引き締める。
「何も聞いていない……」
そして。
少し険しい顔になる。
「それより、両国とは国境付近で小規模戦闘を行っていたはず……」
信長が、戦場を見据えたまま口を開く。
「其方を探していると見える」
一拍。
「行って参れ」
ガルディアスが、すぐに頷いた。
「すぐ戻る」
ガルディアスが、騎馬を前へ進める。
「アストラルディア王国騎士団総長、ガルディアス・レーヴェである」
鋭い視線を向けた。
「リディア皇国軍と、ディスタル共和国軍とお見受けするが……」
すると――。
軍勢の奥から。
二騎の騎馬が、ゆっくり前へ出てきた。
一人は。
煌びやかな黄金の甲冑を纏う壮年の男。
その隣には。
ディスタル共和国の紋章バッジを胸に付けた、鋭い目の男。
それを見た瞬間。
ガルディアスが、目を見開く。
「リディア皇帝陛下!? レヴィン主席!?」
驚愕の声。
「皇帝と主席自ら、戦地へ赴かれるとは……!」
ガルディアスは、すぐ馬から降りる。
そして、膝をつこうとした。
だが――。
リディア皇帝が、静かに手を上げた。
「良い」
低く、威厳ある声。
「今は一大事だ」
一拍。
「その時間すら惜しかろう」
ガルディアスが、すぐに顔を上げる。
その横で。
レヴィン主席が、戦場を見据えながら呟いた。
「あれが異世界の者たちか……」
総司たちが戦う前線を見る。
「確かに、相当な手だれ揃いだ」
さらに目を細める。
「使う武器も、技術体系も我々とは異なるな……」
リディア皇帝も、静かに頷く。
「援軍として来てみたが……」
その目が、前線を見る。
「彼らと完全に連携を取るのは容易ではあるまい」
ガルディアスが、すぐ答えた。
「我が軍も、防衛ラインを死守しております」
険しい表情。
「我らも最前線へ加勢できれば、多少は押し返せましょう」
だが――。
悔しげに続ける。
「いかんせん、状況は逼迫しております」
その言葉に。
リディア皇帝が、即座に決断した。
「ならば――」
騎馬を前へ進める。
「我ら二国の軍で、防衛ラインを固めよう!」
そのまま。
レヴィン主席を見る。
「良いな? レヴィン主席」
レヴィン主席も、即答した。
「異存はない」
ガルディアスが、深く頭を下げる。
「皇帝陛下と主席自ら率いて頂いた上に、そのお言葉まで……」
強く頷く。
「感謝しかありません」
そして。
すぐに表情を切り替えた。
「ならば、現在の織田軍との連携内容を説明いたします」
そう言うと。
ガルディアスは、その場で戦況説明を始めた。
――半刻後。
ガルディアスが。
リディア皇帝とレヴィン主席を伴い、織田軍陣営へ戻ってくる。
信長が、静かに視線を向けた。
「ガルディアス殿、戻られたか」
ガルディアスが、馬上から頷く。
「織田信長殿」
真っ直ぐ前を見る。
「我らアストラルディア軍は、前線へ加勢出来ればと考えております」
信長が、僅かに笑った。
「ほぅ……前線に、か」
その横で。
秀吉が、怪訝そうに聞く。
「ここの防衛はどうするつもりじゃ?」
ガルディアスが、すぐ答えようとした。
だが、その前に。
静かに二人を示す。
「その前に――」
「こちらのお二方は」
「隣国、リディア皇国皇帝」
「オウギュスト・リディア陛下」
「そして、ディスタル共和国主席」
「アンドレ・レヴィン主席」
そして。
真っ直ぐ信長を見る。
「この二国軍に、防衛線維持を担っていただける事となりました」
信長が、二人へ視線を向ける。
そして。
静かに名乗った。
「馬上より失礼」
その目は、鋭い。
「日の本、尾張を治める織田家当主――」
「織田信長である」
一拍。
「此度の援軍、感謝いたす」
リディア皇帝が、堂々と頷いた。
「リディア皇国皇帝」
「オウギュスト・リディアだ」
その目が、戦場を見据える。
「異世界の者である其方らが」
「この世界防衛のため奮戦している事」
静かに続けた。
「深く感謝する」
レヴィン主席も、続ける。
「私はディスタル共和国主席、アンドレ・レヴィン」
真っ直ぐ信長を見る。
「其方らと共に戦える事、誇りに思う」
信長が、口元を僅かに吊り上げた。
「して――」
視線が鋭くなる。
「連携方法は、お聞きかな?」
リディア皇帝が、即答する。
「もちろんだ!」
その瞬間。
信長が、笑った。
「是非もなし!」
そして。
ガルディアスを見る。
「ガルディアス殿」
「其方は即刻、九郎殿の所へ参戦せよ!」
後方を示す。
「ここは、我らへ任せい!」
ガルディアスが、強く頷いた。
「あい分かった!」
そして。
深く頭を下げる。
「感謝する!」
「では、これにて――」
その時だった。
リディア皇帝が、笑う。
「ガルディアス総長!」
その声に、ガルディアスが振り返る。
リディア皇帝は、力強く言った。
「終わった後は、宴の席で会おう!」
ガルディアスが、力強く頷く。
「承りました!」
そして――。
騎馬を反転。
剣を掲げた。
「アストラルディア軍!!」
「前線へ向かうぞ!!」
「「「おおおおおッ!!!」」」
騎馬隊が、一斉に駆け出す。
その先頭。
ガルディアス自らが、前線へ向け突撃していった。
それを見送りながら。
リディア皇帝が、剣を抜く。
「この戦い――」
その声が、戦場へ響く。
「何が何でも勝利するぞ!!」
レヴィン主席も、声を張り上げた。
「この世界のために!!」
「民のために!!」
そして――。
信長が、静かに前を見据える。
「押し留めるぞ」
その瞬間。
振り返り、鉄砲隊へ命じた。
「鉄砲隊、構えぃ!!」
兵達が、一斉に銃を構える。
信長の目が、戦場を貫いた。
「ガルディアス率いる軍が射線を抜け次第――」
「三段撃ちを開始する!!」
一拍。
「良いか!!」
その声が響き渡る。
「よく狙えぃ!!!」
「「「ははッ!!!」」」
轟音前の静寂。
鉄砲隊は一斉に狙いを定めるのであった。
――最前線。
怒号。
爆炎。
血飛沫。
中央戦線は、完全な乱戦へ突入していた。
次元イーターの群れが、絶え間なく押し寄せる。
その最中――。
後方から、大量の騎馬隊が駆け抜けてくる。
土方が、敵を斬り伏せながら眉をひそめた。
「後方より騎馬だと!?」
さらに一太刀。
異形の腕を斬り飛ばす。
「織田軍の防衛はどうした!!」
近くの隊士が、応戦しながら答える。
「分かりません!!」
息を切らしながら続けた。
「ですが、先程の角笛と同時に現れた軍と関係があるかと……!」
その時。
永倉が、豪快に笑う。
「ははっ!!」
敵をまとめて斬り飛ばす。
「こっちとしてはありがてぇ!!」
さらに。
騎馬隊の先頭から、声が響いた。
「土方殿!! 高杉殿!!」
ガルディアスだった。
剣を振るいながら、敵を薙ぎ払う。
「我らも最前線で、共に戦わせていただく!!」
晋作が、ニヤリと笑った。
「心強ぇな!!」
すぐに振り返る。
「奇兵隊!!」
隊士達が、一斉に反応する。
晋作は、刀を掲げた。
「アストラルディア軍と共闘だ!!」
拳銃を撃ち放つ。
パンッ!!
敵の頭部が吹き飛ぶ。
「戦術は違うが、協力しろよ!!」
「「「応ッ!!!」」」
奇兵隊士達が、一斉に動き始める。
銃撃。
白兵。
互いの隙を埋めるように、連携を取り始めた。
土方も、すぐに声を張る。
「新選組もだ!!」
鋭い目で隊士達を見回した。
「同志討ちは絶対するなよ!!」
「「「はッ!!!」」」
浅葱色の隊士達が、即座に動く。
その横を。
アストラルディア軍騎馬隊が駆け抜けた。
ガルディアスが、敵を斬り裂きながら叫ぶ。
「共に――」
さらに一閃。
大型次元イーターの身体へ、深い傷が走る。
「勝利のために!!」
「「「おおおおおッ!!!」」」
アストラルディア軍の士気が、一気に上がる。
その勢いのまま。
新選組。
奇兵隊。
アストラルディア軍。
三つの軍勢が。
巨大な濁流のように、次元イーター群へぶつかっていった。
――右側戦線、崖上。
眼下では。
無数の次元イーターと、連合軍が激突していた。
爆炎。
怒号。
そして、大型個体。
その数は、確実に増えている。
ランスロットが、眼下を見据えながら口を開いた。
「敵の大型が増えてきたな……」
その隣。
ガウェインが、静かに笑う。
「そろそろ我らの出番ですかな?」
その目が、戦場を見下ろす。
「我が王」
その時だった。
アーサー王が、静かに前へ出る。
白銀の鎧が、陽光を受けて輝いた。
「――我らも参るぞ」
その声に。
円卓の騎士達が、一斉に視線を向ける。
アーサー王は、戦場を見据えたまま続けた。
「円卓の騎士たちよ」
ゆっくりと。
聖剣エクスカリバーを抜き放つ。
「この戦」
静かな声。
「我らが出る事で、勝利は約束されると心得よ」
そして――。
剣を掲げた。
「我に続け!!」
「「「応ッ!!!」」」
次の瞬間。
アーサー王が、崖を駆け下りる。
凄まじい速度。
その後を。
ランスロット。
ガウェイン。
モードレッド。
ラモラック。
トリスタン。
円卓の騎士達が、一斉に続いた。
「大型接近!!」
兵士達の叫び。
その瞬間。
大型次元イーターが、前線へ突っ込もうとした。
だが――。
「遅い」
アーサー王が、一瞬で間合いへ入る。
そして。
エクスカリバーによる一閃。
ズガァァァァァンッ!!!
凄まじい斬撃。
大型個体が、真正面から両断された。
兵士達が、息を呑む。
「なっ――」
「一撃で……!?」
その横から。
さらに別の大型が迫る。
だが。
「王へ近づくな」
ランスロットが、アロンダイトを振るった。
超高速の連撃。
大型次元イーターの身体が、一瞬で斬り刻まれる。
ガウェインも、剣を構えながら前へ出る。
「では、こちらも参ろう!」
ガラティーンが、重く唸る。
次の瞬間。
強烈な斬撃が、大型個体を吹き飛ばした。
ドゴォォォォォンッ!!!
モードレッドが、豪快に笑う。
「ははっ!!」
クラレントを振り上げる。
「派手でいいじゃねぇか!!」
勢いのまま振り下ろす。
大型個体の腕が、まとめて吹き飛んだ。
ラモラックも、槍を構えながら突撃する。
「左側の大型は私が抑える!!」
トリスタンは、静かに弓を引いた。
「……哀しき戦いだ」
次の瞬間。
放たれた矢が、後方の大型個体を正確に射抜く。
その圧倒的な突撃に。
最前線の兵士達が、思わず声を上げる。
「円卓の騎士だ!!」
「押し返してるぞ!!」
アーサー王が、剣を振るいながら叫ぶ。
「怯むな!!」
鋭い視線が、戦場全体を見据える。
「勝機は、我らが切り開く!!」
その言葉と共に。
円卓の騎士達は。
まさに伝説そのものの勢いで。
大型次元イーター群へ突撃していくのだった。
一見すると――。
戦況は、連合軍側が攻勢へ出ているようにも見えた。
円卓の騎士たちが大型を押し返し。
新選組と奇兵隊が中央を維持。
源氏軍騎馬隊が敵陣を切り裂き。
織田軍の鉄砲隊が、後方から絶え間なく援護射撃を行う。
さらに。
海側では海援隊と真田軍が、防衛線を維持していた。
だが――。
ゲートから溢れ出る敵は。
一向に減る気配がない。
黒い濁流のように。
絶え間なく。
次元イーターが、吐き出され続けている。
「やっぱりキリがない!!」
赤龍シンの上。
茜が、矢を放ちながら叫ぶ。
光矢が、大型個体へ突き刺さる。
ズガァッ!!
だが。
その奥から、さらに新たな敵が現れる。
総司も、敵を斬り伏せながら苦笑した。
「前の時もそうだったけど……」
次元イーターを一閃で断ち切る。
「一向に減らないね……」
晋作が、拳銃を撃ちながら言う。
「奥の手使うか?」
パンッ!!
敵の頭部が吹き飛ぶ。
だが。
セレナは、即座に首を横へ振った。
「まだよ!!」
二本の槍で大型個体を弾き飛ばす。
「まだ温存してて!!」
鋭い目で戦場を見る。
「決定打の時に使う方がいい!」
ジャンヌも、剣を振るいながら頷いた。
「私もそう思います!」
敵を斬り払いながら続ける。
「今は攻勢に見えていても……」
少し険しい顔になる。
「このままだと、いずれ疲弊します!」
ラファエルが、大剣を振り抜いた。
ドゴォォォンッ!!
敵群が吹き飛ぶ。
「だが、どうする!?」
さらに次の敵へ踏み込む。
「援軍は増えたが……この物量だと……!」
その時。
晴明が、静かに札を構えながら口を開いた。
「食い止めるしかありません」
札が、宙へ舞う。
次の瞬間。
雷撃が、敵群へ降り注いだ。
美雪も、前へ出る。
「少しでも楽になるように――」
白銀の妖力が、広がった。
「敵の動き止めるよ!!」
その瞬間。
地面が、一気に凍結する。
バキバキバキッ――!!
広範囲へ氷が広がり。
次元イーター達の足を拘束した。
「ギィィッ!?」
「ガァァァッ!!」
敵の動きが、目に見えて鈍る。
その瞬間――。
「今だ!!」
総司が、一気に踏み込む。
「新選組、斬り込むよ!!」
浅葱色の隊士達が、一斉に突撃。
さらに。
奇兵隊。
源氏軍。
アストラルディア軍。
全軍が、一気に敵群へ襲い掛かった。
斬撃。
銃撃。
槍。
矢。
凍った敵群が、次々と破壊されていく。
美雪が、少し息を切らしながら笑う。
「この調子で支援していく!」
総司が、すぐに振り返った。
「無理はしないでね、美雪ちゃん!」
その時だった。
近藤が、敵を斬り伏せながら笑う。
「そうだ!!」
豪快な太刀筋。
異形を吹き飛ばす。
「君に倒れられたら――」
そのまま総司を見る。
「今後、総司に合わせる顔がないからな!!」
総司が、思わず苦笑した。
「近藤さん、それ今言います?」
近藤が、豪快に笑う。
「当然だ!!」
そのまま刀を振り抜く。
ズバァッ!!
次元イーターを斬り飛ばしながら続けた。
「幼い頃から見てきた――」
一拍。
「親心みたいなもんだ!!」
総司が、苦笑する。
「近藤さん、それ戦場で言う事ですか?」
だが。
その表情は、どこか嬉しそうだった。
その時だった。
――ドゴォォォォォンッ!!!!
突如。
ゲート付近で、巨大な爆発が巻き起こる。
土煙。
衝撃。
大型次元イーター数体が、一気に吹き飛ばされた。
「何だ!?」
「今のは!!」
全員が、咄嗟に視線を向ける。
海側――。
さらにその沖合。
そこには。
巨大な戦艦が、海上へ姿を現していた。
異様なほど巨大な艦体。
幾つもの主砲。
圧倒的な存在感。
その艦橋では――。
観測員が、双眼鏡を覗き込み叫ぶ。
「着弾確認!!」
水兵が、即座に返答した。
「次弾装填完了!!」
砲術長が、鋭く指示を飛ばす。
「主砲、右三度修正!!」
「主砲、右三度修正!!」
復唱が飛ぶ。
砲術長が、拳を振り下ろした。
「第二弾――撃てぇぇぇッ!!!」
次の瞬間。
ズドォォォォォンッ!!!!
凄まじい轟音。
主砲が火を吹く。
放たれた砲撃が。
遥か先――。
ゲート付近へ直撃した。
巨大爆発。
大型次元イーター達が、まとめて吹き飛ぶ。
坂本が、思わず目を見開く。
「すごいのぉ!!」
海側から叫ぶ。
「あんな距離を撃ち抜くがか!!」
その目が、艦体側面の文字を捉えた。
「大……和……?」
次の瞬間。
坂本が、驚愕する。
「日の本の船じゃ!!」
さらに目を見開いた。
「それにしても、大きいのぉ!!」
その間にも。
戦艦大和による艦砲射撃は続く。
ドゴォォォォンッ!!!
ゲート周辺が、次々と吹き飛ばされていく。
セレナが、思わず呟いた。
「これは……」
少し驚いた顔になる。
「松平が、自衛隊送ってきたの?」
その時。
千代女のSDが、通信音を鳴らした。
ピッ――。
千代女が、画面を見る。
「ん?」
少し目を細める。
「恒一くん?」
表示されたメッセージ。
『戦艦大和、到着』
それを読んだ千代女が、ふっと笑う。
そして。
周囲へ向けて叫んだ。
「みんな!!」
敵を斬り払いながら続ける。
「あの艦砲射撃――」
口元を上げる。
「戦艦大和よ!!」
その瞬間。
セレナが、目を見開いた。
「大和!?」
大型個体を槍で吹き飛ばしながら叫ぶ。
「リストには“あれば良いな”くらいで記載しただけよ!?」
さらに敵を弾き飛ばす。
「本当に呼び出したの!?」
千代女が、苦笑した。
「どうもそうらしいわね……」
その目が、王城方向を見る。
「エルグランの奴、秘策隠してたわね……」
セレナが、笑った。
「でも助かる!」
ゲート方向を見る。
「敵の大型と超大型が溢れてきてる中――」
再び轟音。
大和の砲撃が炸裂する。
「この艦砲射撃は大きい!!」
だが――。
その時だった。
大型次元イーター達の動きが、突然変わる。
グジュッ……
異様な音。
その背中が、脈動し始めた。
茜が、シンの上から目を見開く。
「なに……!?」
大型個体の背中が裂ける。
そこから。
巨大な翼のような器官が、形成され始めた。
「空飛ぶつもり!?」
晴明が、険しい顔になる。
「このままでは突破できないと判断したのでしょう」
札を構えながら続ける。
「やはり、多少の知能はある……!」
ジャンヌも、剣を握り直した。
「でも、空を飛ばれると――」
上空を見る。
「上からの攻撃に対処できません!」
さらに険しい顔になる。
「こちらの攻撃も届きにくくなる……!」
セレナが、舌打ちした。
「厄介ね……!」
その瞬間。
ピッ――!!
セレナのSDへ、緊急魔術通信が入る。
画面に映ったのは――。
松平だった。
「自衛隊の派遣許可が降りた!」
セレナが、即座に叫ぶ。
「松平!!」
大型個体を槍で弾き飛ばす。
「遅い!!」
松平が、苦笑する。
『総理が渋ってな……』
セレナが、呆れたように返した。
「これだからお偉いさんは……!」
だが。
松平は、すぐ真剣な顔になる。
『そちらの召喚魔法陣』
『ゲートのように使うことは出来るか!?』
セレナが、即座にSDを操作。
王城へ魔術通信を繋ぐ。
「エルグラン魔導師長!!」
通信先で、エルグランが振り返る。
『どうした!?』
セレナが、叫ぶ。
「召喚陣はゲート化できる!?」
エルグランが、険しい顔になる。
『……やってみなければ分からん』
セレナが、即答した。
「今すぐやって!!」
王城。
エルグランが、巨大魔法陣へ杖を向ける。
「空間固定!!」
魔力が、奔流のように流れ込む。
「マジックジュエルとの魔術回路接続!!」
巨大魔法陣が、激しく発光する。
エルグランが、叫んだ。
「これでどうじゃ!!」
セレナが、SD越しに反応を見る。
そして――。
笑った。
「良いわね……」
口元を上げる。
「最高よ、エルグラン!!」
即座に、松平へ通信を戻す。
「松平!!」
「ゲート化出来たわよ!!」
松平が、強く頷く。
『よし!!』
一拍。
『まずは航空戦力を送る!!』
その瞬間。
AX班全員が、驚いた。
「「航空戦力!?」」
晋作が、思わず叫ぶ。
「ありがたいが、出来るのか!?」
松平が、即答する。
『そのためのゲート化だ!!』
さらに続けた。
『そちらには滑走路がない!』
『だから補給も含め――』
『ゲートを通して行き来させる!!』
――北海道、航空自衛隊 千歳基地。
警報が、基地内へ鳴り響いていた。
通常ではあり得ない状況。
基地上空。
空間そのものが歪み。
巨大な光のゲートが、空中へ展開されている。
滑走路周辺では。
整備員達が、慌ただしく動いていた。
誘導灯。
ジェット燃料の匂い。
張り詰めた空気。
格納庫前。
数機のF-15Jが、並んでいる。
その機体尾翼には――。
第801戦術飛行隊。
“ヴァルキリーズ”。
管制室。
管制官が、上空ゲートを確認しながら通信を飛ばす。
「第801戦術飛行隊 “ヴァルキリーズ”」
一拍。
「発進許可、降りました」
通信が返る。
『こちらヴァルキリー1、了解』
コックピット内。
パイロット達が、次々と最終確認を行っていた。
『各機、最終チェック』
『火器管制正常』
『レーダー正常』
『エンジン出力安定』
『データリンク正常』
隊長機。
ヴァルキリー1が、静かに前を見る。
目の前には。
空に開いた異常な“穴”。
誰も見たことのない戦場への入口。
だが。
その声は落ち着いていた。
『ヴァルキリー隊、各機』
『これより特別防衛出動任務へ移行する』
通信越しに、緊張感が走る。
『状況は全員理解していると思うが――』
一拍。
『相手は未確認生命体』
『加えて、異世界だ』
すると。
僚機から、少し苦笑混じりの声が返る。
『ほんと、とんでもない任務になりましたねぇ……』
『こんなの映画でも見たことありませんよ』
別機が、笑う。
『だがスクランブルよりは派手だ』
緊張を解すようなやり取り。
しかし。
全員の声は真剣だった。
ヴァルキリー1が、静かに続ける。
『先行部隊からの情報では、地上は大規模戦闘中』
『友軍識別は慎重に行え』
『誤射は絶対に避ける』
『了解』
『了解』
『ヴァルキリー4、了解です』
その時。
地上管制から通信が入る。
『ヴァルキリーズ、こちら千歳タワー』
『滑走路クリア』
『発進どうぞ』
ヴァルキリー1が、即答する。
『ヴァルキリー1、了解』
次の瞬間――。
ゴォォォォォォッ!!
F-15Jのエンジンが、一斉に唸りを上げる。
爆音。
熱風。
機体が、滑走路を加速していく。
『ヴァルキリー2、続く』
『3、続く』
『ヴァルキリー4、続きます!』
次々と機体が加速。
そして――。
離陸。
轟音と共に。
ヴァルキリーズが、大空へ舞い上がった。
基地内の隊員達が、その姿を見上げる。
誰も口には出さない。
だが。
全員が理解していた。
これは。
日本史上、前例のない出撃だと。
上空。
ヴァルキリー1が、ゲートを見据える。
空間が、脈動している。
まるで巨大な嵐。
『……本当に入るんだな』
少し緊張したような声が返る。
『なんか、まだ実感ないですね……』
ヴァルキリー1が、短く答えた。
『命令だ』
そして。
前を見る。
『全機――』
その声が、通信回線へ響く。
『これよりゲートへ進入する』
『ヴァルキリーズ』
一拍。
『Follow me』
『Roger!!』
次の瞬間。
先頭機が。
異世界へ繋がる光のゲートへ突入した。
その後を。
次々とF-15Jが続いていく。
光が、機体を包み込む。
そして――。
航空自衛隊初となる。
異世界への出撃が、開始された。
光が、視界を包み込む。
機体が、激しく揺れた。
『っ……!!』
空間そのものを突き抜けるような感覚。
次の瞬間――。
視界が、一気に開けた。
そこは。
見たことのない世界だった。
荒れた大地。
巨大な谷。
無数の軍勢。
爆炎。
そして――。
空に浮かぶ巨大なゲート。
『……うわ』
思わず漏れた声。
『ほんとに異世界じゃないですか……』
ヴァルキリー1も、前方を見据える。
『各機、状況確認』
『高度維持』
『味方識別急げ』
レーダーへ、無数の反応が映る。
地上には。
馬。
旗。
鎧姿の兵士。
さらに。
砲撃を行う巨大戦艦。
異様な光景だった。
『地上部隊確認……って、何だあれ!?』
別機が、驚愕する。
『騎馬隊いるぞ!?』
『待て待て、剣で戦ってる!!』
『いや何だあのデカい怪物!!』
混乱混じりの通信。
だが――。
ヴァルキリー1は、即座に切り替える。
『浮足立つな』
『目標確認』
その瞬間。
レーダーへ、新たな反応。
『隊長!!』
『飛行体反応!!』
前方。
大型次元イーター数体が、翼を広げながら上空へ浮上していた。
不気味な羽音。
異形の咆哮。
その姿は、どこか爬虫類を思わせる。
だが。
明らかに地球の生物ではない。
『あれか……!』
『地上から報告受けてた飛行型!!』
ヴァルキリー1が、即座に指示を飛ばす。
『全機、迎撃態勢!!』
『ミサイルは温存!!』
『まずはバルカンで落とす!!』
『了解!!』
F-15Jが、一斉に旋回。
敵編隊へ向かう。
その時。
飛行型次元イーターが、一気に加速した。
『速っ!?』
『鳥っていうよりミサイルだぞあれ!!』
異形が、真正面から突っ込んでくる。
ヴァルキリー1が、ロックする。
HUDへ照準が重なる。
『ヴァルキリー1、射撃!!』
次の瞬間。
ダダダダダダダダダッ!!!
20mmバルカン砲が火を吹いた。
曳光弾が、空を裂く。
命中。
飛行型次元イーターの翼が砕ける。
そのまま姿勢を崩した。
『当たった!!』
さらに。
ヴァルキリー2も、敵へ接近。
『撃ち抜く!!』
ダダダダダダダッ!!
弾幕が、飛行型を捉える。
次の瞬間。
異形の頭部が砕け散った。
『撃墜!!』
『やれるぞ!!』
ヴァルキリー4が、敵後方へ回り込む。
『後ろ取った!!』
旋回。
照準。
そして――。
ダダダダダダダッ!!
バルカン砲弾が、飛行型の背中を貫いた。
異形が、悲鳴を上げる。
そのまま制御を失い。
地上へ墜落した。
『よしっ!!』
別機が、笑う。
『ちゃんと落ちるじゃないですか!!』
ヴァルキリー1が、冷静に続ける。
『油断するな』
さらに前方を見る。
そこには――。
まだ大量の飛行型次元イーターが、次々と上空へ飛び立っていた。
『……数が多い』
少し緊張した声が漏れる。
だが。
ヴァルキリー4が、前を見る。
『でも――』
機体を傾ける。
『空なら、こっちの領分です!!』
F-15J編隊が。
異世界の空へ。
本格的に突入していくのだった。
異世界の空。
轟音を響かせながら。
F-15J “ヴァルキリーズ”が、飛行型次元イーターを次々と撃墜していく。
ダダダダダダダッ!!
20mmバルカン砲。
曳光弾が、空を裂く。
飛行型次元イーターが、炎を上げながら墜落した。
その光景を――。
地上の者達も見上げていた。
総司が、敵を斬り伏せながら空を見る。
「速い……!」
さらに一体を斬り裂く。
「空を飛ぶ敵を、完全に抑えてる……!」
美雪も、驚いたように呟く。
「総司くんより速いかも……」
総司が、苦笑した。
「それはちょっと傷つくなぁ……」
その横で。
晋作が、拳銃を撃ちながら笑う。
「ははっ!!」
パンッ!!
敵の頭部が吹き飛ぶ。
「空飛ぶ鉄の塊とか反則だろありゃ!!」
茜も、シンの上から目を輝かせる。
「すごい……!」
空を旋回するF-15Jを見る。
「あんな速度で飛びながら戦ってる……!」
シンも、低く唸る。
まるで対抗心を燃やしているようだった。
晴明が、札を放ちながら空を見る。
「航空戦力まで投入してきましたか……」
雷撃が、敵群へ落ちる。
「これで空はかなり楽になりますね」
セレナも、笑みを浮かべた。
「流石に航空優勢取るの早いわね!」
槍を振るい、大型個体を吹き飛ばす。
「これで飛行型はかなり抑えられる!」
ジャンヌも、上空を見上げる。
「空の制圧……」
感心したように呟く。
「やはり現代兵器は凄まじいですね……!」
ラファエルは、大剣を担ぎながら苦笑した。
「いや、聞いてたけどよ……」
飛行型次元イーターが、一方的に撃墜されていく。
「実際見ると別格だなありゃ……」
近藤も、思わず笑う。
「空まで制圧されるとはな!!」
土方は、煙草を咥えながら空を見る。
「とんでもねぇ時代だ……」
永倉が、大笑いした。
「はははっ!!」
敵を斬り飛ばす。
「味方なら頼もしすぎるだろあれ!!」
原田も、槍を振りながら叫ぶ。
「これなら空から来ても怖くねぇな!!」
義経は、静かに空を見る。
「空を翔ける鉄の鳥……」
そして、小さく笑った。
「未来とは、ここまで行き着くのか」
弁慶も、感嘆したように唸る。
「ぬぅ……あれが未来の戦か……」
海側。
坂本が、戦艦大和と戦闘機を交互に見ながら叫ぶ。
「何じゃあの日ノ本は!!」
砲撃音の中でも聞こえるほどの大声。
「船は空飛ぶ敵を落とすわ!!」
さらに空を見る。
「空には空飛ぶ鉄の鳥がおるわ!!」
幸村が、静かに笑った。
「面白い時代だな……」
佐助も、空を見上げながら笑う。
「忍びもびっくりだぜ、ありゃ」
才蔵は、刀を振りながら呟く。
「空の戦まで変わるとはな……」
右側戦線。
アーサー王も、空を見上げていた。
「……見事だ」
その隣。
ランスロットが、静かに頷く。
「空を制する力か……」
ガウェインが、笑う。
「我ら円卓でも、空中戦までは想定しておりませんでしたな」
そして――。
空。
ヴァルキリーズが、再び旋回する。
異世界の空を。
日本の戦闘機が駆け抜ける。
その姿を見上げながら。
連合軍は、再び前へ進み始めるのだった。
第46話 完




