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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第三章 学園編

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第88話 アンマリアは自重しない

「こっそりと魔物討伐に出ていたかいがあるってものね。このトレントの木材を使えばっと……」

 私はリブロ王子の部屋の中で突然DIYを始めた。異世界多しといえど、王子の部屋で日曜大工をする人間なんて私以外にはそんなに居ないんじゃないかしら。

 とはいっても、組み立ては全部魔法よ。そんな金槌に釘なんてものはないんだから、魔法でやっちゃうに決まってるじゃないの。さぁ、木材ちゃん、さっさと形を変えちゃいなさい!

 私が魔力を使うと、トレント木材はじわじわと形を変えていく。このトレント木材もクッケン湖周辺の産物である。

 で、このトレント木材というのが面白くて、魔物となっていた事もあってか、魔力との親和性がもの凄いのである。どのくらいかって言ったら、そりゃ魔力を流すだけで形がぐにゃぐにゃに変わるくらいに親和性が高いのよ。ケルピーの骨もそうだったけれど、魔力を流すと形が変わるって、どういう構造してるのかしらね、これって。

 ともかく、リブロ王子を先に任せている間、私はリハビリ設備の作製に取り掛かっていたのである。人一人が立って両方の支えを掴んで歩ける数mの手すり付きの歩道。それと脇の下に支えを付けた杖。私はこの2種類の道具を魔法で作り上げているのである。リハビリで使う歩行訓練の器具と松葉杖である。リブロ王子の状態は腕の方から良くなってきている。ならば回復の遅れている脚のためにこう言った道具は必要なはずだから。

「お姉様、何を作ってらっしゃるのです?」

 気になったのか、モモが私に声を掛けてきた。

「歩行を助ける道具よ。車椅子だと脚の機能が回復できないから、歩くための補助具を作っているの。こっちが歩行訓練を行う装置。手すりに掴まりながらゆっくり歩く練習をするのよ。で、こっちは脚代わりになる杖を使って歩行を助けるのよ」

「へえ、すごいですわ、お姉様」

 よくは分かっていないようだが、とりあえずすごい物を作っていると感じたモモは素直に褒めてきた。いやまぁ、前世だとそれなりにあったものだから、私のアイディアではないんだけれどね。この世界にはないものだから、そうなっちゃうかしらね。

 モモに目を輝かせて見つめられながら、私は最終調整をしてあっという間に歩行訓練装置と松葉杖を作り上げてしまったのだった。

「ふぅ……。これでだいぶマシになったかと思います。申し訳ございませんリブロ殿下。私の力が未熟ゆえに完全に治療ができませんでして……」

「いや、だいぶ楽になったから素晴らしい限りだよ。ここまで喋れるようになったんだからね」

 リブロ王子の魔力循環の治療をとりあえずサキは、完全に治療できなかった事を詫びている。だが、リブロ王子は咎める様子はなかった。まあ、魔力循環不全なんていうのは難病指定されるようなものだから仕方がないだろう。

 それにしても、たしかにリブロ王子の声の調子がかなり戻ってきている事は間違いない。活舌に関してはほぼ完治しているようだった。

「それにしても、アンマリアは一体何をしていたんだい?」

 フィレン王子が私の方を見て愕然としていた。さっきまで何もなかったところによく分からないものが出現していたのだから、それも無理はないというものだった。

「リブロ殿下の脚の治療にと思いまして、作らせて頂きました。使い方をお見せしますのでよろしいでしょうか」

 私はにこりと笑う。だが、次の瞬間、私は気付いてしまった。

(しまった。私の体形ではこの歩行器の間を通れないわ!)

 そう、リブロ王子に合わせて作ったがために、私の体格ではその間に入れないのである、そこで私はモモに声を掛ける。

「モモ、ちょっと見本になってあげて」

「えっ、お姉様?!」

 急に話を振られて驚くモモ。そこで、私はモモに使い方を教える。モモはなるほどと納得して、歩行器の方へと歩いていった。

「では、モモに実演してもらいますわ。モモ、よろしく」

「はい、お姉様」

 モモは歩行器の平行になった手すりの間に入り、手すりを両手で持つ。そして、ゆっくりと手で支えながら歩行器の中をゆっくりと歩き始めた。

「この器具は見ての通り、脚が悪い方の歩行訓練のための道具になります。いくら魔法で脚が直ったからといって、すぐに歩けるとは限りませんもの。そういった人のために歩行の感覚を取り戻して頂くのが、この器具の役割となります」

「なるほど、そういう事も確かにありうるな。長らく歩いていないと、感覚を忘れてしまう事がないとは言えないものな」

 私の説明にフィレン王子はとても納得がいっていた。ついでに松葉杖も説明しておいた。従来の杖とは違って脇を支点するので、これもこれで興味を引いたようだった。

「とにかく、一日も早くリブロ殿下が回復されるように願っておりますわ」

「ありがとう、アンマリア、サキ」

 お礼を言うリブロ殿下が笑顔を見せていた。

「リブロ、お前……。久しぶりに笑顔を見せたな」

「えっ、兄上?」

「まったく、どれだけ心配したと思っているんだ。もっとその顔を見せてくれ」

 混乱するリブロ王子をフィレン王子は泣きながら抱き締めていた。美しかな兄弟愛。こういうのは良いわね……。

 リブロ王子の調子もだいぶ良くなったし、うん、今日はいいものをたくさん見せてもらえて満足だったわ。ほくほく顔の私は、モモとサキと一緒に王子の侍従の案内で城を後にしたのだった。

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