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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第七章 3年目前半

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第387話 混乱の果てに

「お、お前の相手……だと?」

 魔王が困惑している。

 まぁそうなるのも仕方ないわね。あのエスカの表情を見る限り、結婚相手にする気満々だものねぇ……。魔王を伴侶にとか本気なのかしら。

 当然ながら、魔王どころか周りのみんなもざわついている。前代未聞だものね。

 そもそもエスカはミール王国の王女なれど、その行動はなかなかに突拍子のないものが多かったものね。そのせいで、私は驚くというよりも呆れたという方がいい状態になっていた。

(頭が、痛いわ……)

 もうね、なんて言ったらいいのか分からない。

 とはいえ、これがうまくいってこれ以上魔族と争う事が無くなれば、それはそれでいい事だと思う。そんなわけで、私は魔王の答えをじっと待つ事にした。

 考えはみんな一緒なのか、全員の視線が魔王に集中している。

「おい、やめろ。我をそんな目で見てくれるな……!」

 この視線には、さすがの魔王もたじたじのようだ。効果は抜群だった。

「さぁ、魔王、どうしますか?」

 そんな中、エスカもまた圧力をかけていく。物理的にも精神的に圧力を強めていくエスカ。これには、さすがの魔王も耐えきれなかったようだ。

「分かった、分かった。お前の要求を受け入れよう!」

 魔王が降参を叫べば、エスカの笑顔は最高潮に達していた。

 そういえば、私たちは15歳だから、学園を卒業すれば、早い人は結婚をしてしまう。エスカは1つ下の14歳ではあるものの、こうやって相手を見つけておけばいろんな周りからの雑音を撥ね除けられるものね。なんといっても一国の王女なんだから。

 とはいっても、まさか魔王を伴侶にするつもりとは……。闇属性の重力魔法だけでもとんでもないのに、発想が怖いわね、この王女様。

 話題の人ともなると、あちこちから婚約の話が舞い込んでくる。エスカだって一国の王女だもの、それは相当の申し込みがあるでしょうね。なんといっても、魔道具をいろいろ開発してたみたいだし。

 しかし、普通の王女様なら悩むところだろうけれど、転生者であるエスカはそういったものが面倒に感じてたんでしょうね。

 そこに、自分の好みにあった顔の人物が現れた。それがたまたま魔王だったわけよ。

 私はいろいろ考えているうちに、魔王が哀れになってきてしまった。

「ええ、よろしくお願いしますわ。これで、面倒な婚約者選びからも解放ですわよ。おーっほっほっほっ」

 うわぁ……。笑い方がまるで悪役令嬢だわ。

 エスカの姿にドン引きする私だった。周りは最初っから引いてるから、エスカはこの場に居る全員から変人の烙印を押されたというわけか。まっ、自業自得よね。

 もはや、私にもエスカを擁護する気持ちは存在していなかった。

「……えっと、とりあえずこれでベジタリウス王城に戻って報告すればいいのかしらね」

「そ、そうなると思います……」

 私がベジタリウス王国の人間に問い掛けると、メチルが代表して答えていた。

 そんな時だった。

「う……」

「こ、ここは?」

「お父様、お母様」

 突然聞こえてきた声に、アルーが反応していた。

 その声に私たちも続いて反応して振り向くと、アルー、いえメチルの両親が目を覚ましていたのだった。

「私たちは……一体どうしていたのだ?」

「ええ……何をしていたのかさっぱりです」

 頭を押さえながら辺りをきょろきょろと見回すエチルの両親だった。

「お父様! お母様!」

 アルーが二人に飛びつくと、二人とも驚いた反応をしていた。

「な、なんだこのちっこいのは!」

「あなた、この顔は……メチルですよ」

「なんだって?!」

 思ってもみなかった姿での再会に、両親とも驚かないはずがなかった。最愛の愛娘が、まさか精霊という小さな姿になっていたのだから。

「しかし、こっちがメチルだというのなら、あっちは……?」

 メチルの父親が指差す先に居るのは、転生者の魂が入ったメチルの体である。

「お父様、お母様。私もメチルです。お二人が魔王の復活を目論んで行った術式の副作用で、私たち二人に分かれてしまったんですよ」

「ちょっと待て。魔王の復活の儀式……だと?」

 メチルが話した内容に、顔を押さえて青ざめるメチルの父親である。

「メチル本人だとしても、覚えているよりも成長している……。教えてくれ、その儀式とやらはメチルがいくつの時に行われたのだ?」

 どうやらまったく儀式を行った事を覚えていないようだ。

「……魔王?」

 その話を聞いたエスカが、魔王を冷ややかな笑顔で見つめている。

「我は知らんぞ。復活を望んでいたのは間違いないが、無理やりやらせるのは我の性分ではない」

 必死になって言い繕っている。

「と、とりあえず、詳しい話は城に移動してからに致しましょう。屋敷は燃え尽きてしまいましたし、野宿ではゆっくりと落ち着いて話もできませんから」

 反応に困っていた兵士たちの隊長が、様子を見かねて提案してきた。

「そ、それもそうですね。思い出の家が焼けてしまったので、感傷に浸ってはいたいのですが、事の真相を明らかにする用が優先ですからね」

 メチルはとても寂しそうに、屋敷のあった場所を眺めていた。

 話し合いの結果、やむなく一度王都イサヤまで全員揃って移動することになったのだった。

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