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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第七章 3年目前半

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第362話 取り調べの中で

 ようやくベジタリウス王妃たちが国へと戻っていく。

 具体的な魔族への対抗策は出てこないままの帰国となってしまったが、あまり国を空けるわけにはいかない。ベジタリウス王国での対応はとりあえずメチルとアルーの二人に任せる事になった。

 ベジタリウス王国には私が瞬間移動魔法で跳べるとはいっても、魔力の消耗が激しすぎる。到着してもすぐに対応できるというわけではないから、現地の人に任せるのが一番だもの。

 そんなわけで、無事に(?)フィレン王子の誕生日パーティーも終わって、私たちは日常へと戻っていった。ただ、本格的に魔王との対決が予想されるだけに、光魔法が使える私やサキ、それと二人の王子たちを中心に魔法の訓練に力を入れなければいけなさそうだった。


 ―――


 その一方で、捕まったベジタリウス王国の諜報部隊の取り調べが進んでいた。

 しかし、クガリ以外からの情報は取れそうになく、かなり扱いに困っているようだった。

「多分、いくら吐かせようとしても無駄だと思う。幸い私はなんともなかったが、そいつらはサーロインに潜入してからというもの様子がおかしくなっていったからな」

 唯一様子がまともな状態のクガリは、取り調べに対して素直に応じている。

 ちなみに本人からは逃げるつもりがないという明確な意思表示があったために、手足の拘束もなく淡々と取り調べが行われている。そして、クガリはサーロイン王国に入ってからの行動に関して、余すところなく喋っている。

 それによれば、王都からそう遠くない場所に拠点を構えていたらしい。それを聞いた兵士たちが、すぐに捜索に向かおうとする。だが、クガリはそれを必死の形相で止めた。

「やめろ。死にたくないのなら行くべきじゃない。諜報部隊のみんながおかしくなったのは、その拠点を使い始めたからだ。私だけが無事な理由は全く説明できないが、何の準備もなくそこへ行けばお前たちも同じようになってしまうぞ」

 嘘だと笑おうとした兵士たちだが、あまりには苦心の表情をしているものだから笑うに笑えなかった。

 みんなが黙り込んでいるところへ、とある人物がやって来た。

「みなさん、取り調べは順調ですか?」

「こ、これはミズーナ王女殿下。どうしてこちらへ?」

 そう、ベジタリウス王国の王女であるミズーナが、クガリの取り調べの状況を確認しに来たのだ。サーロインの兵士たちは思わず驚いてしまう。

「犯罪者となったとはいえ、彼女たちは私の国の民です。気にならない方がおかしくはございませんか?」

 ミズーナ王女の言葉に、思わず黙り込んでしまう兵士たちである。

「もちろん、やらかしてしまった事に関しては、私も申す事はございません。そちらの法律に則って処罰をお願いする次第でございます」

 淡々と話すミズーナ王女。それでもクガリはとても冷静に構えていた。自国の王女が出向いてきたとはいっても取り乱さない。そこには彼女なりの覚悟があるのである。

「クガリと申しましたかね」

「……はい、その通りでございます。王女殿下」

 ミズーナ王女に名前を呼ばれたクガリは、下を向いて淡々と返事をしている。

 顔を合わせたミズーナ王女とクガリは、どちらも真剣な表情をしている。そこで、目を一度伏せたミズーナ王女は、兵士たちに声を掛ける。

「申し訳ございませんが、私とクガリの二人だけにして頂いてよろしいでしょうか」

「ええ?!」

 ミズーナ王女の突然の申し出に、兵士たちは驚きを隠せなかった。

 しかし、すぐにそれに従って部屋を出て行く。いくら他国で犯罪を犯したとはいっても、自国の王女を手に掛けるような事はしないだろうと判断したからだった。

 兵士たちが出て行き、取り調べの部屋の中にはミズーナ王女とクガリの二人だけとなった。

「さてと、あなたたちの隠れていた拠点について、詳しくお聞かせ頂きましょうか」

 ミズーナ王女がにっこりと微笑むと、クガリはそれに応じて兵士たちに話していた事をミズーナ王女にも繰り返した。

「ふむふむ。拠点に居た時に、みなさんの様子が段々とおかしくなっていった、ですか」

「はい、その通りです。ただ、私だけはなんともなかったので、それだけは不可解ですが……」

 納得したように頷きながら話を聞くミズーナ王女に対して、申し訳なさそうに縮こまりながら話すクガリである。

「ああ、それでしたら、なんとなく説明がつきそうですのでご安心下さい。メチルから聞いた話と照合するに、おそらくは呪具の効果でしょうね」

「呪具……でございますか?」

「はい。持ち主を呪い蝕んでいくという呪具です。イスンセはその呪具の専門家に体を乗っ取られていましたから、それを使ってみなさんを取り込んでいったのでしょう」

 ミズーナ王女の言葉に、クガリは黙り込んでしまう。

「おそらく、あなただけが無事だったのは、イスンセの必死の抵抗によるものでしょうね」

 ミズーナ王女はそうとだけ告げると、椅子から立ち上がった。

「さて、呪具の仕業となると、私も動くとしましょう。光魔法を扱える私なら、みなさんを助けられるでしょうからね」

「助ける? それはどういう……」

「呪具に蝕まれると、呪いによって最終的に死に至ります。呪具の呪いはそう簡単に解けないんです」

 ミズーナ王女はその言葉を残して部屋を出て行った。

 言葉を失ったクガリは、その場で首を垂れて黙り込んでしまっていた。

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