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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第七章 3年目前半

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345/388

第345話 転生者たちによる対策会議

 翌日、メチルは早くに起きてメイドに連れて行かれる。一人になった私は朝食だけ国王と王妃とともにとると、瞬間移動魔法でサーロイン王国へと戻っていった。

 すぐさま家で学園の講義の支度をすると、その日は普通に学園の授業を受けた。

 学園の一日が終わると、モモとタミールの二人と別れた私は、エスカと一緒にミズーナ王女の馬車に乗り込んで城へと向かった。

「エスカから少しお伺いしていますけれど、ベジタリウス王国(私の実家)でのお話を聞かせてもらえますか?」

 ミズーナ王女にはこう聞かれたので、とりあえず城に着いてから話をすると答えておいた。

 馬車の中では落ち着かないし、乗っている時間もわずかだ。話が長くなるのは必至なので、そのように条件を伝えたのである。ミズーナ王女もエスカもそれはしっかりと了承してくれたので、黙々としたまま城まで馬車で移動したのだった。

 そのままミズーナ王女の私室までやって来た私たち。そこで私たちと向かい合うようにミズーナ王女はソファーに座っていた。

「では、アンマリア。話をお聞かせ願えますか?」

 にっこりと微笑むミズーナ王女。その顔は確かに笑顔なのだが、謎の圧力に満ちあふれていた。なんとなく怖いのよ。

 だけど、私しか持ってない情報だし、転生者全員で共有しておく事は悪い事じゃないものね。

 私は咳払いをひとつして、ベジタリウス王国であった事を話し始めた。

 話をしている途中から、二人揃って顔色が怪しくなり始めていた。それでも構わず私は話を続けていく。知らせておく必要があるからね。

 話が終わった頃には、反応に困っているのかものすごく顔が渋い事になっていた。まあとんでもない話ばかりだから仕方ないわね。

「魔王はともかくとして、その手下である魔族が暗躍ですか」

「ええ、ベジタリウス王城にやって来たメチルという魔族からの話では、そういう感じでしたね。話を聞いてみた感じ、本当に転生者のようです。『アンマリアの恋愛ダイエット大作戦』のゲーム内容を完璧に覚えていましたもの。私みたいなゲーマーだったみたいですね」

 メチルの印象について話す私。恐ろしいほどにゲームの内容をしっかり覚えていたので、転生前の記憶が戻ったのは恐らく最近だろうと思われる。

 なぜそのように推測できるか。それは、私の記憶が少しずつ曖昧になってきているから。時間が経つと同時にこちらの世界に適応していくために、どうしても前世の記憶は不要な部分から忘れていってしまう。おかげで、空で言えていた全テキストデータも、言えないものが増えてきてしまっていた。困ったものね。

「メチルの話からするに、去年のテールやロートント男爵の件は、『呪具使いのテトロ』という魔族によって引き起こされたものだと考えられます」

「確かに、原因は呪具による呪いでしたものね」

「ふぁー、めんどくさいわね……」

 私の話に対する反応は、二人でまったく違うものだった。ミズーナ王女は深刻な表情で考え始めているし、エスカは天井を見上げて嫌そうな顔をしていた。

「とりあえず、そのメチルという魔族はこちらに転んできたけれど、暗躍しているテトロ以外にもまだサンカリーとテリアっていう魔族が居るのよね?」

 エスカが確認を取ってくるので、私は無言で大きく頷いた。

「ミズーナはそのRPGなゲームの事は知っていましたか?」

「出ていた事は知っていますけれど、シミュレーションの方をクリアする方に一生懸命でノータッチでしたね」

 私がミズーナに質問すると、そのように返ってきた。

「一応情報サイトは漁っていましたので、ひと通りのストーリーくらいは把握していますけれど……。内容を詳しくといわれると思い出せませんね」

 ミズーナ王女は、目をつぶって首を左右に振っている。どうやらダメのようだった。

「そうですか。となると、メチルから得た情報を元に対策を立てるしかないですね」

「そうみたいね」

 自分たちの知識だけで太刀打ちできないと分かると、大きなため息を吐くしかなかった。

「ひとまず、私たち三人と聖女であるサキ、それと王子の中から二人というのが最強メンバーという事よね?」

 エスカが確認を取ってくる。

「ええ、ゲームでは6人制のパーティーらしいので、そのようにしてクリアしたらしいですよ」

「魔王が闇属性であるから、光属性を持つサーロインの王子が最有力ってところか……」

 メチルから聞いた情報を伝えると、エスカは横を向きながら考え込んでしまった。

「でも、ここは現実ですよ。六人である事にこだわる必要はないのでは?」

「物語の強制力の事もあるので、油断はできませんけれどね」

 ミズーナ王女は少々楽観的な事を言うものの、私は懸念を伝えておく。

 実際に学園入学まで体重120kgが確定したという過去がある。物語による強制力はないとは言えない話なのだ。

「時々メチルに会って、情報を仕入れるしかありませんかね」

「ええ、そうですね」

「それしかないわね」

 今回の結論としてはそういう事で落ち着いた。魔族に関する情報は少なすぎるのが現状だもの。

 それと並行しながら、私たちも強くなるために鍛えていかないとね。最悪命の危険があるからね。

 話を終えた私たちは、ミズーナ王女と別れてファッティ伯爵邸に戻ったのだった。

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