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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第五章 2年目前半

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第258話 気負い過ぎは禁物

 結局、2年生で20ある的をすべて落とせた者は居なかった。最高はラムの19個。それでも大したお嬢様だと思うわね。

 その次に多かったのは、カービルだったわ。18個でこれまたなかなかな腕前。でも、ラムに勝てなかった事をものすごく悔しがっていた模様。なんだかこの二人、雰囲気が変わった気がするんだけど気のせいかな?

 それはそれとして、これで2年生の前期末試験は終わったので、学生たちはさっさと訓練場を去る。後は1年生と3年生ね。

 ちなみに私は試験舞台の維持管理を任されている以上、訓練場を離れられなかった。まったく面倒な事を引き受けてしまったものだわね。

 しばらく試験が行われる訓練場で待っていると、3年生が入ってきた。

 その3年生たちは私の姿を見つけると、どういうわけかぎょっとした顔をしていた。見ちゃいけないものを見たような顔はやめてくれないかしらね。

 そんな事があったとはいえど、試験は無事に順調に終わる。

 3年生で最高の成績は15個だった。最高成績は2年生には劣るものの、平均を取ると2年生を上回っているので、実力自体は総じて高いみたい。さすが3年生といったところかしらね。

 教師の方も教師の方で、同じものを使って試験をしたものだから、成績に対してかなり興味深そうにしていた。今までは教師や学年によって試験方法が違っていたみたいだものね。

 それにしても、3年生の面々ってあまり知った顔が居なかったわね。パーティーなんかで顔を合わせるから、名前くらいは押さえていたけど……。悔しいけれど誰が誰なのか結びつかない事もあって反省だったわね。貴族社会じゃ名前を間違えるのはとても失礼だもの。……はあ。

 試験を終えた3年生もぞろぞろと出ていく。愚痴みたいなのも聞こえてくるけれど、それでもいい評判の方が多いみたいなので私はほっとひと安心したわ。

 しかし、最大の問題である1年生がこのあとやって来るのである。何と言っても、エスカとミズーナ王女が居るものね。リブロ王子とレッタス王子は武術型なのでこちらにはやって来ない。とはいえども王族二人が相手なので、なかなか緊張するものなのよ。

 特にエスカの相手は大変だと思うわ。

 ここまで付き合ってきて分かったけれど、結構わがままなのよ、エスカって。転生者にはありがちなものだけど、ただの異世界転生だと思っていたところでお姫様だものね。割と異世界転生者が陥りやすい状況にどっぷりはまったと思うのよ。

 舞台の調整をしていると、ようやく1年生たちが現れる。みんな初めての期末試験という事もあって、かなり緊張した様子が見て取れる。

 他の1年生たちが緊張に包まれる中、エスカとミズーナ王女だけは雰囲気が違っていた。エスカは並々ならぬ表情を見せているし、ミズーナ王女はそんなエスカを見ながら困惑した表情を浮かべている。一体何がどうしたというのよ。

 その最中、ふとミズーナ王女と私の視線が合う。そして、ミズーナ王女は表情だけで何かを伝えてこようとしていた。

 それで察してしまうのが私で、どうやらエスカは座学試験でボロボロだったらしく、この実技で一発逆転を狙っているという状況のようだった。なるほど、それがあの気合いの入り方というわけか。

 でも、私はまったく手加減する気はないわ。試験舞台の調整を終えた私は、試験官に対してその旨を伝えた。

 私からの報告を受けた試験官が1年生たちに対して声を掛けると、エスカが割れんばかりの声で前に出てきた。トップバッターらしい。慎重さを失って、やる気だけが前面に出てきているようだ。

 ……はたして大丈夫なのかしら。

 私には不安しか過らなかった。

 試験内容は簡単である。舞台に設置された動く的20個を魔法を使って撃ち落すだけというもの。

 ところが、これを実際にやってみるとかなり難しいもので、気合いの空回りしているエスカは結果は散々となってしまったようだった。最後はごり押しで12個という結果に終わってしまった。

 その結果にお姫様らしからぬ感じでなんか叫び声を上げていたけれど、様子見もしないで突撃したエスカの自業自得である。私はこっそりと見ながらその姿に呆れ返っていた。

 エスカの様子を見ていたミズーナ王女が続いて試験に臨む。エスカを見ていて要領を掴んだのか、ラムと同じ19個の的を撃ち落すという結果を叩き出していた。その結果にエスカがさらに吠えたのは言うまでもない。

 二人の後も1年生たちは的を撃ち落していったのだが、数人がエスカの12個を上回る13個という結果を出したくらいで、平均すればギリギリ2ケタという結果に終わってしまった。今年の1年生はかなり未熟なようだった。


 これで、3学年共に前期末試験のすべての日程を終えた。結果は明日にでも分かる。

 この日の帰り道では、いつも通り私はモモとエスカと一緒に馬車に乗り込んだわけだけど、エスカは終始下を向いたまま黙っているという、普段ではなかなかお目に掛かれない姿をさらしていた。

 その原因は実技試験の結果なわけだけれども、これは夕食も平らげられないほどエスカの中では1日引きずっていたようだった。

 一部始終を見ていた私は、とてもじゃないけれどエスカを慰める気にはならなかった。だって、自業自得だもの。

 私はモモにもエスカに近付かないように言い、その日はエスカの事をそっとしておいたのだった。

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