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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第三章 学園編

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123/166

第123話 夏休みを満喫するために

 夏の合宿の開催場所は、ゲームと同じバッサーシ辺境伯領内のクッケン湖だった。

(うーん、やっぱりクッケン湖かぁ……。ゲームだとここでスタンピードが起きて、(アンマリア)かサキの覚醒イベントが起こるのよね……)

 私がそうは言ってはいるものの、これは選択肢次第である。強制イベントとはいえども、選択肢次第では私はスタンピードに遭遇しない。その場合はサキの覚醒イベントが1枚のスチルとモノローグで語られる。

 そうでなかった場合は私がスタンピードに巻き込まれ、イベント戦闘を挟んで(アンマリア)の覚醒イベントが起こる。

 まあ、私がスタンピードに遭遇しないなんてのは確率的に言うとかなり低い。だって、お休みが不十分でぶっ倒れるという選択肢しかないんだもの。

 なんで私がそこまで知っているか。全パターンをやり込んだからよ。特に強制イベントを体調不良で迎えた場合はどうなるのか気になるじゃないの。いやぁ、こんなパターンで回収されるスチルなんてなかなか見れたものじゃないわね。ちなみにだけど、このスチルを発生させると、フィレン王子ルートはほぼ絶望的。だって、聖女を伴侶に据えた方がいいじゃないのよ。この時点じゃ、私はただの武術と魔法の両方が得意なだけのただのデブよ? 有能でもデブなんて時点で敬遠されちゃうのよ。結局は見た目なのよ、み・た・め。

 さて、それはそれとして、私は領地に帰省しながらも合宿にも参加する方法を考えた。となると、やっぱり瞬間移動(テレポート)の出番となるのである。合宿にまで移動という事になるし、瞬間移動も人数制限がある。どう考えたところでスーラもネスも連れて行けない事になってしまう。たとえ帰省に連れていっても、1週間は領地に放置する事になる。はてさてどうしたものだろうか。私は作戦を考える事にした。

 とりあえずはモモと話をして、合宿の参加を取り付ける。リブロ王子除くを攻略対象とライバル令嬢は勢ぞろいさせておく必要はあるからね。ええ、ゲームでは全員参加でしたわよ。だって、それがゲームでしょ?(暴論)

 そして、それを終えたら、次の手順に踏み込む。モモやスーラたちに、この魔法の事を教えておかなければならないのだ。

「モモ、スーラ、ネス。今から私が見せる魔法の事は、誰にも内緒ですからね」

 夕食後、私の部屋に三人を呼んで念を押しておく。

「本当は三人同時に体験させられればいいんですけれど、今の私の熟練度では一人ずつしか無理ですからね。……まずはモモ、手を出してちょうだい」

 私の呼び掛けに、モモがすっと手を出してきた。そして、その手を取った私がちょっと集中すると、私とモモの姿がそこから一瞬で消え去った。

「なっ、アンマリアお嬢様、どちらに!?」

「モモ様、モモ様?!」

 スーラとネスが大騒ぎする。しばらくすると、部屋の扉が開いて私とモモがひょっこりと顔を出した。

「ああ、お嬢様、一体今のは何なのですか?」

 部屋に戻った私に、スーラがものすごい勢いで駆け寄ってきた。急に消えたものだから相当に心配したようだった。

「ごめんなさいね、スーラ」

 私はスーラを宥めると、モモと一緒に部屋の椅子に座る。そして、私は今さっきの魔法について語り出した。

「今のはテレポーテーションといって、思い描いた場所へ一瞬で移動できる魔法なのよ」

「そんな魔法が! ……ありましたね」

 一瞬驚いたスーラだったが、実際に見せつけられたのを思い出して急に落ち着いた。うん、急に落ち着かないでよ。

「でも、アンマリアお嬢様。急にその魔法を見せられて、一体どのような意図がございますのでしょうか」

 ネスが訝しんで真意を尋ねてくる。疑ってかかるのは仕方ない事ね。

「これを使って、ファッティ領への帰省と学園の合宿の両方へ行こうと思うのよ。幸いながらファッティ領の屋敷もクッケン湖も、どちらも行った事がある場所だからイメージができるの、不可能じゃないわ」

「ですが、それではアンマリアお嬢様のお体に負担が……」

 私の言い分に、スーラが侍女らしい心配をしてくれる。

「大丈夫よ。まぁさすがに帰省初日は王都との間で2往復半の移動をする事になるから、その時は大変だろうけれどね。現状では同時に移動できるのは一人だけだから仕方ないわ」

 私は心配要らないと余裕の態度を見せる。

「お姉様、私も心配です。お姉様にもしもの事があれば、私……」

 モモが泣きそうな顔をし始めた。ああもう、この子ったらすっかりお姉ちゃん子になっちゃって……。私は嬉しくて、つい泣きそうになってしまった。

「そうです。私もお嬢様のお体が心配です。私たちは王都の屋敷で留守番致しますので、お二人だけでお戻り下さい。領地の屋敷ならば安心できますし」

 スーラが胸を張って私に主張してくる。そのくらいに私の体を心配してくれているのだ。

「……分かったわ。先触れだけは出しておきましょうかね。急に帰ってびっくりさせるのは可哀想ですし」

「はい、ぜひともそうして下さいませ」

 スーラたちの説得によって、ファッティ領への帰省は私とモモの二人だけで行う事になった。

 はてさて、この夏休みは一体どんな事が待っているのやら。今からものすごく楽しみな私なのだった。

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