コミュ障の悪役令嬢と心の読める令息さん
「あ・・あぢゅ・・あの・・」
「まぁお姉様。そこにいたんですの?あまりにも存在感がないので気がつきませんでしたわ!」
「は、はぁ・・」
私はただ踏まれた教科書から足を退けて欲しかっただけなのだが変に目をつけられてしまった。
私はレピラ・スワジン。スワジン伯爵家の長女だ。ーで、今現在私の教科書を思いっきり踏みつけているのは妹のリル・スワジン。
昔は仲が良かったはずなのだが、いつからか私に意地悪してくるようになってしまった。
学園に入学してからというもの、今までに教科書を一回、制服を三回隠されていた。
物的証拠があるので、学園内では「姉を虐める妹」という噂が立ちそうだが、逆である。
何故か私が妹を虐める姉として認識されている。
本当に不思議なものだ。
なのでリルに会うたびに「噂消してくれない?」と言っているつもりなのだが、中々通じない。
今日も通じないかもしれないが、継続は大事なので一応言ってみることにした。
だが急に本題に入るのは違う気がする。私は数秒悩んだ末、リルの服装を褒めてから本題に入ろうと考えた。
「あ、あぶ・・す!(てきな服)だね!!」
※()部分はレピラが言えてると思ってますが言えていない部分です。
「ブ、ブスですって・・?」
「ふぇ?」
(わ、私素敵な服とは言ったけどブスとは言ってないよぉぉ)
心の中で嘆くが目の前の相手は顔を真っ赤にして怒っている。もしかして服を褒められたくなかったのかな?と思い、別のことを褒めることにした。
「あばば、ば、か(わいい髪型)だよ!似合ってる!!」
「まぁ!なんて酷いことを」
「そうですわ。バカがお似合いなんて、相変わらずレピラ様は酷い方ですわね」
リルの取り巻き二人がそう言った。
(えっ!?なんで髪型を褒めたのに馬鹿がお似合いなんてことになるの!?リルの耳おかしいのかな?)
「わたくし気分が悪いですわ!どいてくださる?」
「ふぎゃっ!」
リルは私をおしのけ、どこかへ行ってしまった。
(あーあ。教科書汚れちゃった。まぁ破られるよりはましか)
私は教科書から汚れを拭き取り、その場を離れようとした。
「すみませんレディ?」
「?」
白銀で紫の瞳の男子生徒に呼び止められた。顔は王子様のようにかっこよく、イケメン?という類に入る人だった。
* * * *
(今日も人の心が聞こえてきて嫌だな)
七月五日、今日も太陽が鬱陶しいほど俺の肌を照らす中、俺、レルディン・ラスリアは憂鬱な表情をしていた。
(はぁー。ここ数ヶ月急に人の心声が聞こえるようになったんだよな。最初は誰かが喋ってんのかと思ったがそう言うわけでもなかったし)
そう。俺は数ヶ月前から人の心が聞こえるようになった。きっかけは分からないが、本当に突然聞こえるようになったのだ、
だが人の心がわかるようになったせいで友達だったと思っていた人は友達じゃなかったことが分かったし、俺の悪口も聞こえるしで良いことがない。
それに人の心がずっと聞こえると言うのは気持ちが悪い。
(あぁーもう!能力だが何だか知らないが、もう人の心なんて聞こえなくて良い!・・ってあれ・・)
心の中でそんなことを言っていると視界の端で、揉め事らしきものを捉えた。
気になったので見に行くと、そこには三人の令嬢と一人の令嬢が向かい合っていた。
一人の令嬢の方は見た目がなんかこう地味だ。今時の貴族令嬢であんな奴いるんだと言うくらいには。
やばくなったら助けようと自分に言い訳をし、少し様子を見ることにした。
一方的に三人組が話すだけで地味な方の令嬢は一向に口を開かない。だかそう思った瞬間微かに地味な方の令嬢が口を動かしてこう言った。
「あ、あぶ・・す!(てきな服だね)!」
「ぶっ」
「ブ、ブスですって・・?」
思わず笑ってしまった。だってあんな地味な格好をしているのに相手に向かって悪口を言っているのだ。意外とこの令嬢の心の中は面白そうだなと思い、心の中を聞いて見ることにした。
(どれどれ、この令嬢の心の中は?)
面白半分覗いて見ることにしたが、地味令嬢の心の中は俺の思っていたのどはのとは違った。
(わ、私素敵な服とは言ったけどブスとは言ってないよぉぉ)
そう令嬢は心の中で言っていた。他にも言い方が言い方が悪かったのだろうかなど、現実で発している口調とは全然違った。
一言で言えば心の中はめっちゃうるさい。だ。
物凄い早さで心の中の呟きの内容が変わっている。なんでこんなに心の中はうるさいのに現実ではああなんだ?と言いたくなるほど。
そう思いながら見つめていると、令嬢はまた口を開いた。
「あばば、ば、か(わいい髪型)だよ!似合ってる!!」
「ぷはっ」
「まぁ!なんて酷いことを」
「そうですわ。バカがお似合いなんて、相変わらずレピラ様は酷い方ですわね」
そつキャンキャンと犬のように地味ではない方の令嬢の取り巻きたちが言うが、地味令嬢の心の中が聞こえている俺としては面白いだけだ。
心の中では「可愛い髪型」と言っているのに実際には「バカ!似合ってる!!」だ。
どうしたらそうなるのか本人に聞いてみたいものだ。
次はどんなことを言うんだろうかと楽しみにしていると、地味じゃない令嬢たちの方がどこかへ行ってしまった。
どうやら面白いショーは終わってしまったみたいだ。
だがお目当ての令嬢はまだその場にいた。野次馬も散っていったので、俺はチャンスだと思い令嬢に声をかけた。
「すみませんレディ?」
と。
* * * *
「えっと」
(こ。このひとだれぇぇ!??)
私何かした?いや、でもこの人を見るのは初めてだし!
「レディ?あなたの名を教え得ていただけませんか?」
あ、名前を知りたかったのか。と納得し、私は安心した。だってこんなイケメンが話しかけてくると思わないし。
「わ、(わだ)じ・・レ・・ア!!!」
「あぁ。レピアだね。よろしく。俺はレルディン」
レルディン。確か今年の生徒会副会長の名前のはず。じゃあやっぱり何故、その人が何故私に話を?
「ぷっくくっ、いやっ。すまない。その。突然なんだが・・」
(なんだが?)
「俺と婚約してくれないか?レピア嬢」
「ここここここここここんにゃやく!??」
私は言葉に驚きその場で倒れた。
周りの生徒はレルディンの言葉により手に持っていた教科書などを一斉に落とした。




