玲子の遺書
お父さん、お母さん
先立つ不孝をお許しください。
もう心身も限界で死ぬしかないと思いました。
お父さんとお母さんには隠していたけど、去年の秋頃からクラスメイトの尾形君、三田さんに売春を強要されていました。
理由は私が尾形くんの告白を断ったのが生意気だったから、だそうです。
最初は校内の男子との性交に留まっていましたが、いつしか顔も知らない大学生、スーツを着たおじさんたちにまで関係を強要されていました。
お母さんが何度か私の帰りが遅いと心配してくれたことがあったよね。
その日もそうじゃない日も私は繁華街奥のラブホテルで何人もの男の人たちと売春させられていました。
お金は尾形君と三田さんとその友達たちが分け合ってたみたいで私は一銭も受け取っていません。
妊娠をしたことも何回かあったけど、大西君の病院で中絶させられました。
何度も手術をしたせいで私はもう赤ちゃんを産むことが出来ない体になったみたいです。
もう死ぬ私には関係のない話だけど。
お父さん、まだまだお父さんと一緒にお出かけしてハンバーグを一緒に食べたかった。
いつも優しく私を見守ってくれたお父さん。
こんな汚い娘になってごめんなさい。
もう私はお父さんに優しく抱きしめられる資格もない娘になっちゃったよ。
大好きなお父さん、私は死ぬけど月子と心のことも優しく見守ってあげてね。
お母さん、パートが忙しくて、いつも家事に走り回ってるお母さんは私の憧れだよ。
厳しい時は厳しく、でもその後にはちゃんと優しくしてくれて本当に嬉しかった。
お母さんの作るご飯はどれも私の大好物だよ。
これからは私がいないから家事が大変になるかもしれないけど本当にごめんね。
月子、あなたは頭もいいし、愛嬌もあるし、友達も多い自慢の妹だよ。
お姉ちゃん、実は月子にずっと憧れてたんだよ。
これからは私の代わりにお母さんのお手伝いと心の面倒をみてあげてね。
月子ならどんなことがあっても強く突き進んでいけるってお姉ちゃん信じてるからね。大丈夫だよ。
情けないお姉ちゃんでごめんね。
心、あなたは私と月子とは全然違うタイプの子だから一緒にいて常に楽しかったよ。
心はこれからどんどん大きくなっていくのにお姉ちゃんはそんな心を見れないのが悲しいな。
宿題はちゃんとやること、月子に迷惑をかけないこと。いい?
でも、明るくて活発で手を焼かせるあなたのこと、お姉ちゃんは大好きだよ。
もし生まれ変われるなら、またこの家族の子どもに生まれ変わりたいな。
どんなにつらい思いをしても家にいる時間だけはかけがえのない、心安らぐ時間でした。
本当にありがとう、そして本当にごめんなさい。
私は先に死にます。
私の大好きな家族がこれからも幸せでありますように。
天野玲子




