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デジャブ

 今度は俺の部屋にまなが現れた。俺が2時に図書館の席に座るという条件を完全に無視して、だ。


 俺は慌てて時間を確認した。時刻は午後1時を指していた。どうやら2時でもないらしい。


「どういうこっちゃねん………」


 ため息混じりにそういうと、俺は先輩達にこのことを連絡した。


「まなは、心当たりとかないのか?」


「えーーーーわかんない。」


 どうやら、事態は迷宮入りしたらしい。

 そのまましばらく経ったあと、いきなり近くでドンッ、という大きな音が聞こえた。


 それと同時に、


「痛っ!」


 という声も聞こえてくる。

 声のした方を向くと、そこには頭を抑えているまながいた。


 どうやら本棚の上にあった本が頭に落ちてきたらしい。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫大丈夫………なんだろこれ、デジャブかな?」


 まなは少し黙ったあと、急に大きな声を出した。


「あーー!!!」


「うわっ!!なんだよ?」


「私わかっちゃったかも!」


「わかった?」


 まなは俺の肩を大きく揺らしながら少し興奮気味に言った。


「じゅんたは1年も前のことだから、忘れちゃったかもしれないけど、私にとっては2週間くらい前のことだから細かいところまで前回の夏休みを覚えているわけ!」


「というと?」


「つまりね!1年前の今日のこの時間、私はじゅんたの家に来てたってことだよ。1年前の今日、今みたいに本が頭に落ちてきたの覚えてるもん!」


 1年前の夏と同じ状況を作れば、まなが現れるということか。


「んー、なるほどな、でもさ、霊って周りの物にも影響あんのか?さっき本が落ちてきたみたいに、当時と同じ状況になるみたいなさ、」


「そんなの私にわかんないよ。」


「まあ、そうだよな。」


 そんな時、見知った声が後ろから聞こえてくる。


「あるんじゃないかな?霊が現れることによって周りの状況が変化する。っていうのも。」


 俺とまなはその声に驚いて少し声が出た。


「先輩、いつから居たんですか!」


「ついさっきからだよ。」


「というか、どうやって入ったんですか」


「君のお母さんに入れてもらってね。」


「母さんはなんて?」


「あらあらって言いながらニコニコで招き入れてくれたよ。」


 なんだか誤解が生まれていそうだが………まあそれは一旦置いておいて、、、


 しかしまだ疑問は残る。まなはいつも集合場所に1時ピッタリとか、2時ピッタリに集合していなかった。5分とか6分とか誤差があったはずだ。それなのに、まなはいつも2時や1時ピッタリに現れる。


 まあ、霊の仕組みなんてどうでもいいか、

 今は、こうしてまたまなに会って喋れている。ということの方が俺にとっては重要だ。今こうしていられるんだから細かいところなんて、気にする必要はないんだ。


 そう、だから、今はこの奇跡を噛み締めよう










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