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ため息

「そろそろかな、」


 今日で三回目、まなが出てくる法則性を調べてみることにした。


 図書館の椅子に座る。というところはわかっているが、それ以外は分からない。前回はなぜか座って少しした後に現れた。何か法則性があるはずだ。


「やあやあ、待たせたね」


 そこには何やら大きなリュックを背負った倉本先輩がいた。


「先輩、その大荷物は一体なんなんですか?」


 大体察しは着くけど。

 先輩は目をギラギラさせながら答えた。


「何って、、決まってるじゃないか。ゲーム、だよ。」


「あー、ほどほどにしてくださいね。」


 まったく困った人である。


「今日は勝たせてもらう。ああ、それと渡辺は後から来るらしいぞ。」


「了解です。先に行ってましょうか」


 というか、図書館で大きなリュックってちょっと変だし、ゲームをしていい場所ではないと思うのだけど、、まあいいか。


 前回俺はただ座っていただけで、何か行動を変えた訳では無い。そこで、まなが現れるトリガーは座るという行動に加えて、時間が関係していると予測した。


 腕時計を机の上に置き、いつもの椅子の上に座る。前回着席したのが1時55分。時間は倉本先輩がちゃんと覚えていた。


 机の上の腕時計を見ながら座って時間が経つのを待つ。


「それにしても、彼女は強い人だね。自分の状況を理解しながら、あれだけ普通を演じていられるんだから。」


 演じている。か、


 先輩に隠し事はできない。まなが死にたくない。という思いを表に出さないように我慢していたことに気づいていた。


 ずっと一緒にいたはずの俺はつい最近まで気づかなかったのに、、、


「まなは、なんで泣かないようにしていたんでしょうか。」


「……分からないかい?」


 ……俺に、心配をかけないため。


 そう思うのは俺の思い上がりだろうか。




 ━━━その時、目の前の席にいきなりまなが現れた。時刻は午後二時をさしている。


 先輩はすぐにまなの方へ向き直した。


「やあ!昨日ぶりだね。早速で悪いけど、リベンジさせてもらう!」


「お、おう、いきなりだね。」


 どうやら先輩は昨日猛練習をしてこの格ゲーを極めてきたらしい。まあ、この日も先輩はまなに一勝もできなかったわけだが。


「遅くなってごめん。」


 と、渡辺さんも合流して、みんなでワイワイした…………


 いや、こいつらなんのために来てんだ?


 今のところ、ゲームして遊んでるだけなんだよな。まなの未練を叶えるという目標は一体何処へ、、、


 俺は久しぶりに大きめのため息をついた。

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