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ゲーマー

「それにしても、霊といっても人間とほぼ見た目は変わらないのだね……」


 倉本先輩は興味深そうにまなを見つめる。先輩はまあ、いろいろとアレな人だが美人なのは変わりないので、見つめられると緊張する。まなはなんだか居心地が悪そうな顔をしていた。


 (それにしても…)


 渡辺がいて、先輩がいて、そしてまなもいる。なんだか不思議な感じだ。まったく別のつながりで知り合った全員が、いま集まって会話している。そしてその人物すべてが俺の人生において、きっとなくてはならないものなのだ。


 俺は今、妙な幸福感に満たされていた。


「そうそう、私たちは初対面だからね、親睦を深めようと思ってこんなものを持ってきたんだ。」


 先輩は思い出したようにそう言うと、バックの中を探りだし、ゲーム機を取り出した。


「君はこのゲームが好きだと聞いたんだけど、、」


 それは、俺とまなが長年一緒にやっていた格ゲーである。その時、渡辺が俺のところにやってきて聞いてきた。


「まなさんってこのゲーム強いんだよね?どっちが勝つのかな。」


「どうだろう。まなは尋常じゃないくらい強いからな、あの先輩にも勝ってしまうかもしれない。」


「うわ、そんなにうまいんだ」


 あらゆるゲームで先輩に打ち負かされてきた俺と渡辺の間では、倉本先輩に勝つ。ということはほぼ不可能に近い挑戦である。そんな俺たちにとって、先輩に少しでも勝てるかもしない人は、相当な強者を意味していた。


 まなとの勝負の記憶を思い出す。


『やったあ、まなの勝ち!』

『じゅんたよわすぎない?もう百連勝だよ?』

『あー純太も飽きないね、いいよ飽きるまで対戦してあげよう。』

『フフフ、今日も私が勝ち越しっと。』


 結局、俺はまなには一度も勝てることがなかった。別に俺が弱かったわけでは断じてないのだ、、たぶん。でも実際、このゲームにおいてマナは最強だった。指の動きが異次元なのだ。


 だから俺はこの勝負に興味がある。なんたって、俺の知る限りの最強同士の勝負だからだ。しかし、いくらまなとは言えど、相手はあの倉本先輩だ。このチート先輩に果たして勝てるのだろうか?

 そんな俺の思考をよそに、勝負の火蓋は切って落とされた。


「「いざ勝負!!」」


 、、、、、


 今まで見てきたどんなプロゲーマー同士の戦いよりも高レベルな戦闘が目の前で繰り広げられた。もう指どころか、キャラクターですら目で追うことができない。


 だが、両者の間には明確な差があった。最初こそは接戦だったものの、最後はかなりの差をつけて勝利。しかしまあ、こんな化け物二人といつも相手していた俺は間違えなく被害者といえるだろう。緊迫しすぎて息が止まっていたことに、自分の息が荒くなっていたことで気づいた。




「こ、こここここのわわわ私が、ま…負け、負けた?」


 地面に膝をついているのは、倉本先輩だった。


「こ、ここれは、何かの間違えだ、、、へへ、、そうに違いない。」


 正直、こんなにも動揺している倉本先輩わ初めて見る。それだけ、今まであらゆることにおいて敗北を知らなかったのだろう。あまりのいつもの様子とのギャップで俺も渡辺も動揺していた。


「先輩確かに強いんだけど、なんだか動きがコンピューターっぽくて先読みしやすいんだよね。」


 先輩の無駄の一切ない動きが裏面に出たらしい。


「もういっかい、、、もう一回だ!!」


「フフフ、いいでしょう相手してあげるよ」


 、、、、、、、、、、


 それから、倉本先輩は五連敗するのだった………


 そして、今日は予定があったらしく、先輩は泣き目で「絶対次は勝ってやるからなあ!!!」と言って走り去っていった。なんだか、悪いことをした気分である。




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