顔合わせ
「どうして泣いてんの?大丈夫?じゅんた。」
「ああ、うん。大丈夫」
まなはクスッと笑った。
「なんだか、じゅんた泣いてばっかだね。」
「そうだな、情けないよ。」
本当に情けない。
「小さい頃は、泣いてばかりだったのは私の方だったんだけどね、」
昔のまなは泣き虫だった。ちょっと転んだり、友達と喧嘩したりするとよく泣いてしまう。まなはそういう時、決まって俺のところに来た。それは小学校でも中学でも高校でも変わらず、何か悔しいことがあると絶対に俺のところに来ては、慰めろと言わんばかりに傲慢な態度をとる。
「ほんと、懐かしいな。」
「私の体感だとつい最近なんだけどね。」
「そういえば、そうだったな……あ」
ここで本来の目的を思い出した。感慨にフケっている場合では無いのだ。完全に人を待たせていることを忘れていた。
早速本題に入ろうと会話を切り出す。
「なあ、今からここに人呼んでもいいか?」
「ほう、なんというか急だね。私の知ってる人?」
「いや、知らない………あー、ある意味知ってるかもな。2人来るんだけど。」
そういえば、倉本先輩は有名人だった。さすがのまなでも先輩の無失点伝説は知っているだろう。まあ、俺は知らなかったけど。
「お前のことを話したらどうしても会いたいって言ってきてさ、」
成仏させるための手伝いを頼んだと言うのは秘密にしておくことにした。
「ふーん、まあいいよ。今から?」
「ああ、今から。」
「りょーかい」
俺は手早くスマホを取り出すと、OKの連絡を入れた。
そしてしばらくして、図書館の入口に2つの人影が見えてきた。
2人はまっすぐここに来ると、一人が口を開いた。
「やあ、君がまなさんか、倉本だ。よろしく。」
「えと、渡辺唯です。」
「よ、よろしく。」
ふたりが現れた瞬間、目を丸くして固まっていたまなが、しばらくして一気にこっちに向き直った。
そして俺に顔を近ずけると早口な小声で何やら訴える。
「ちょっと、何あの美人二人。目が保養されすぎて視力10は軽く超えそうなんだけど!しかも片方あの倉本先輩じゃん。うわ、サインもらおうかな。」
思った以上の反応に内心驚いた。というか、美人って言うならまなだって負けず劣らず━━
いきなり倉本先輩が話を進める。
「単刀直入に聞くけどさ、君ってその、、、幽霊?」
単刀直入すぎる!!!
「あ、はい。そうです!」
お前は軽すぎる!
なんだか、心配していたのが馬鹿みたいだ。それに、声には出ていないが、ものすごく目をキラキラさせていて、倉本先輩の興奮具合が伺える。
そして渡辺、わかるよ。なんか話に入りずらいよな。
「じゅんた、一体どうやってこの方たちと知り合ったの?」
「じゅ!?」
「ん?渡辺さん、なんか言った?」
「な、なんでもないよ。」
何やら先輩がニヤニヤしているが、とりあえず放っておこう。
「実はな、人間観察部なる部活があってだな。」
「人間観察部?何その怪しさ全開の部活。」
「ああ、俺も最初はそう思った。しかし、違ったんだ。」
まなが緊張した面持ちで聞いてくる。
「と言うと?」
「実はな、人間観察部と言うのは名ばかりの、カードゲーム部だったんだ、、、」
「なんやねん!」
「この2人とはそこで知り合ったんだ。」
まなは一気に緊張が溶けたような顔になった。
「そうなんだ。とんだラッキーボーイだね、じゅんたは。こんな美人二人とお近ずきになれたんだから。」
美人二人、ねぇ、、三人の間違いだろ。
何やら「じゅ、じゅんた、、へへへ」とか言っている渡辺さんと、それを見て笑っている先輩を横目に俺たちは会話を楽しむのだった。




