俺たちは出会ったんだ。
「この席です。」
ちょうどお昼時、ということもあって図書館はいつもよりがらんとしているようだった。
「じゃあ早速座ってみてくれ。」
了解です。
「……」
「どうした?」
「あの、いきなり知らない人が2人もいたら驚くと思うので、少し離れていてくれますか?後で合図するので。」
「ああ、確かにそうだね。じゃあ私たちは一旦ここを離れるよ。」
そう言うと、先輩は渡辺を連れて席から離れる。
ふう、と一息つく、なんだか今になってまながまた俺の目の前に現れたことに実感が湧いてきた。
まるで白昼夢を見ていたようだ。いや、あるいはあれは本当に白昼夢で、俺の妄想だったのでは無いのだろうか?
まなへの罪悪感が都合よく俺にみせた夢だったのでは無いのだろうか。
そんな事を考えていると、急にこの椅子に座るのが怖くなってきた。
しかし、いつまでもオドオドしている訳にもいかない。今は人を待たせているのだ。まだ決心が着いてないまま、俺は半ば強引に席に座った。
……………
「あれ?」
おかしい。前回は座ったら直ぐに現れたと言うのに、一向にまなが現れる気配はない……
条件の何かが違うのだろうか?時間か?服装か?
考えたくない考えが、俺の頭の中によぎる。本当にあれは俺の妄想で、都合のいい夢だったのでは無いのだろうか。
そう思うと、色々なことに合点がいった。俺は霊を見たばっかりだったし、あの日はまなのことを考えていた。まなが霊になって出てくる夢を見てもおかしくないだろう。
「はは、」
そうか、やっぱりそうだ。あれは夢、だったんだ。
まなが俺を許すわけが無い。
俺の前に現れてくれるわけが無い。
俺が、忘れていいわけが無い。
俺は、、、許されていいわけが無い。
俺が……伝えていいわけが無い
情けない。俺は男のくせに、こんなにも泣き虫だったとは……流れてくる涙を堪えるための堤防は機能していなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
泣いている女の子がいた。その子はいつも1人で砂場にいた。
僕は、その子に声をかけた。
「ねえ、どうして泣いてんの?」
「……」
「お友達と遊ばないの?」
「私、お友達いないもん。」
「ふーん……………」
本当はここで会話は終わるはずだった。関わり合うはずなんてなかった。
でも……
「え、それってもしかして!イカスミマン?!」
「イカスミマン、知ってるの?」
「うん!大好き。」
俺たちは出会ったんだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
どこか聞き覚えのあるセリフが、俺の耳に届く。
「ねえ、どうして泣いてんの?」
「……え?」
「大丈夫?じゅんた。」
彼女は昔から何一つ変わらない。太陽のような眩しい笑顔で俺を照らした。
時計の針はちょうど2時を指していた。




